短編1
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体験談 其の参

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これは私が独り暮らしをしていた頃、

当時住んでいたアパートでの話。

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それは夏の終わりの、

蒸し暑い夜のこと。

「ずるずる・・・」

と何かが室内を這いずるような

音と気配に目を覚ましました。

気配の正体を探そうとしましたが、

動くことができませんでした。

金縛りです。

「ずるり・・・ずるり・・・」

音がするたびに

その音は大きく

(近く、ではありません)

気配は濃くなっていくのが

感じられました。

そしてそれに伴い、

「それ」の姿がはっきりとしていきます。

それは長い黒髪の女性でした。

ただしその腹から下は蛇。

人間の胴ほどの太さの蛇体が

延々とのびていて、

その先は半透明に薄れて消えていました。

「彼女」はしばらくそのまま

上体をゆらゆらさせながら

爬虫類そのものの眼差しで

こちらを見ていましたが、

やがてその姿は薄れて消えました。

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5年間生活したその部屋には

度々招かれざる異形が

やってきました。

他の「客」の話は、

またの機会に・・・

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