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中編4
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つかれる山道

地元の人は近づかない山道がある。正式名称は知らないが地元民はそれを「つかれる山道」と読んでいる。

山登りが好きな若い男がいた。その男は富士山の登頂に成功している。

そのため山登りには自信があった。

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山登りをする仲間と飲み屋で飲んでいる時、男は「面白い山はないか」と尋ねた。

すると一人から「つかれる山道」というのがあると聞いた。

教えてくれたのは男と歳が近い佐藤(仮名)という男だ。

この佐藤という男は若いくせに熱を出したり咳き込んだりと病弱な体をしている。

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その日も「ゴホゴホ」と咳き込みながら飲み会に参加していた。

佐藤はどうやらその山道がある村で育ったらしく、昔地元の友達と行ったことがあるらしい。

佐藤の話によると道自体は綺麗に通っているが途中で酷く疲れて引き返したそうだ。

男は佐藤に案内を頼みその山道を登ることにした。

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佐藤が車で送ってくれると言うので男は甘えさせてもらうことにした。

5時間ほど車を走らせて現地に到着した。

佐藤から事前に村へ連絡があったようで男はとても歓迎された。

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疲れを取るために宿を用意してくれていたり、質の高い温泉へ案内してもらえたりと最高のおもてなしを受ける。

温泉に浸かった後で宴会の席に案内される。そこで佐藤が村の人たちに囲まれて楽しげに会話しているのが見えた。

それを見て「あいつ、愛されてるんだな」と男は思った。

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高級な刺身やら肉やらを食べてお酒を飲んで男は良い気持ちで過ごす。

村の人たちも芸を披露してくれたり、都会では聞けない話を聞かせてくれたりして大変楽しい宴会であった。

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あまりの楽しさについ酒が進み、その場でウトウト眠りそうになる。

その時、若くて可愛らしい女がそっと側に来て「私と夜をお過ごしになってくれませんか?」と頼んできた。

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浴衣の紐は少し緩んでいるようで女の胸が今にも晒されそうな状態にある。

ただでさえ泥酔した状況で女と来れば断れる男はそうそういまい。

男は女に誘われるがまま部屋に向かった。

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廊下を歩いている最中何度も女の胸や股を触ろうとしたが、ことごとく女にかわされてしまった。

「ちょっと触らせてくれよ」

「まだダーメ」

という風なやり取りを繰り返しながら、それも楽しみながら男は女と部屋へ向かう。

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部屋は和室で布団が敷いてある、そこに女を半ば強引に押し倒して浴衣をひん剥く。

女は「いけません、おやめください」などと言いながらもどこか欲しがっている様子を見せる。

男は興奮が絶頂に達し、さらに女を攻める。

触りたい部位を触り、味わいたいところを味わい。

全て自分の好きなタイミングで好きなことをする行為に男は今までに無い快感を覚えた。

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男は何回も何回も交わり、やがて疲れ果てて眠りにつくまで楽しんだ。

やがて朝日が上り次の日になる。男は不思議と早くに目が覚めて体もスッキリしていた。

「昨日あれほど飲んだり遊んだらしたのにな」と自分自身でも不思議に感じるほどだ。

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朝食を済ませて佐藤と合流し、「つかれる山道」へ案内してもらうことにする。

村からさほど離れていない場所にあり、男は意気揚々と一人で山道を登って行く。

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今まで登ってきたどの山よりも楽な道が続いたため、男は「疲れるなんて嘘だろう」と思った。

傾斜が大きいわけでも道が凸凹としているわけでもなく、普通に歩きやすい道が続いている。

「これは楽勝だな、佐藤のやつ昔疲れて帰ったって言ってたけど体力が無かっただけだろうな」

そう思いながら山道を登って行く。

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登って行くごとにどんどん体が軽くなるのを感じる。

『登ることが楽しい、体がラクだ』そう思い始めていると少し上の方で女が手招きしているのが見える。

近づいていくと昨日の夜、体を重ねた女だと分かった。

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「あれ、昨日の人ですよね。昨日は楽しかったです」

そう男は挨拶する。

「ここでもう一度私としてみたくはないですか?」

女は体をくねらせながら着物を少しずつ脱いで男を誘った。

男は昨日の快感が忘れられず、誘いに乗る。

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昨日以上の快楽を男は受けた。

今までにないほどの気持ち良さを感じながら男は体がどんどん軽くなるのを感じる。

それもそのはずだ。男の体は山道に入るところにあるのだから。

「疲れ」なんて感じるわけがない。体自体が置き去りになっているのだから。

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この山道は「疲れる山道」ではなく「憑かれる山道」として村では禁足地となっている場所だ。

一度入るとそこにいる強力な霊が取り憑いてくる。取り憑かれた者は連れて行かれる。

そういった伝説がある。

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佐藤は子供の頃に山道に入ったことで取り憑かれ、動かなくなった佐藤を友達が家まで運び込んだ。

親はすぐさま村の住職のところへ運び込み、お祓いを受けたことで佐藤は魂まで取られずに済む。

ただ完全に抜け切ったわけではなく、一部佐藤の中に残ったようだ。

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熱が頻繁に出たり咳に困らされたりするのはそのためだと考えられる。

なぜ禁足地を男に勧めたのか?それは取り憑き先が新しく出来ると自分は霊から解放されるから。

この仕組みを知ったのは自分に霊が取り憑き体調不良になった時、いつも学校を休みがちだった子が元気に登校し始めたからだ。

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佐藤である僕が言うのも何だが、人から変な名前の場所を紹介されたら事前に調べておくことをオススメする。

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