名古屋君のスナッフフィルム

知人から聞いた話です。

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あれは気持ちの良い思い出では無かったな。

そうさね、高校時代・・・もう相当昔の話です。

俺が名古屋市に引っ越したばかりの頃に出来た友人に名古屋君(仮名)が居た。

名古屋君は謎のビデオマニアで様々な裏のブツを仕入れては俺に高値で売り付けていたボッタクリ野郎だった。

名古屋君は産まれも育ちも学校も自宅も名古屋と言っていたが、会話の時はいつも綺麗な標準語なので誰も信じちゃいなかったが。

ある時、名古屋君が逮捕されたという噂を耳にした。

そういや最近姿を見てないな。

逮捕された理由はスナッフフィルムの密売という話だった。

とうとうアイツも都市伝説の仲間入りか。

そう感慨深く感じているとある事に気付いた。

そういや俺も名古屋君からスナッフフィルムを何作か購入してたな？

部屋に戻りコレクションの中を探してみる。

これだ。

早速ビデオを再生してみる。

それはGE◯やT◯U◯AYAに平然と陳列してある何の変哲も無い某有名スプラッタ映画だった。

当然、作中の凄惨な殺戮シーンも全て特殊メイクに過ぎない。

しかし名古屋君の話によれば紛れもなく有名スプラッタ映画を装ったスナッフフィルムなのだそうだ。

俺は勿論その話を信じず大枚叩いてこんなもんを掴まされたと大激怒したのだが名古屋君は返金に応じてはくれなかった。

名古屋君版のビデオを巻き戻しながら、家にあるもう1台のテレビとビデオデッキを起動した。

GE◯で借りた同名スプラッタ映画を一緒に再生し観比べてみる。

やはりどちらも何の変哲もないスプラッタ映画か・・・名古屋君に化かされたという怒りが再びふつふつと蘇って来たその時だった。

ある虐殺シーンに差し掛かった時に俺は眉間に皺を寄せ画面を凝視した。

よく見るといつからか名古屋君版は明らかに女優さんの顔が違うのだ。

その顔はより恐怖に歪んでいる様に見えた。

凶器を手にする男達の顔も微妙に違う。

服装やセットこそ同じに見えたが俳優は全員別人だった。

映画では内臓を引きずり出されて拷問の果てに女優は絶命するが、名古屋君版では腹を割かれ腸が露出した直後にもうショック死している様に見えた。

俺はリモコンを床に落とし絶句しながら呆然と映像を観ていた。

殺戮シーンが終わると名古屋君版は画面がすげ替えられた様に画面全体にノイズが走る。

その直後に女優の顔も別人から元通りとなる。

気が付くと俺は激しく嘔吐していた。

ビデオ？

初詣の時に神社のお焚き上げに全部放り込んだからもう無いよ。