短編2
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変なオモチャ屋さん

同僚から聞いた話です。

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ある日、息子が怪我をした。

オモチャの怪獣で遊んでいて指を切ったのだ。

怪獣を良く見ると買い与えた覚えの無いオモチャだった。

奇抜なデザインでネットで検索しても類似品は見当たらない。

会社のロゴも無い。

「どこで貰ったオモチャなの?」

と息子に聞くと「変なオモチャ屋さんのおじさんに貰った。」との事。

よく見ると怪獣の口に小さなカミソリの牙が仕込んであった。

勿論息子が改造したものではない。

何かの不良品?イタズラ?

それとも鋭利な部品のあるマニア向けのオモチャを誤って子供にあげてしまったのだろうか?

カミソリの牙を使うなんてホラーグッズの類か?

試供品として怪獣をあげるのは確かに太っ腹だが、こういうプロ意識の欠けた中途半端な仕事は許せない。

クレーマーとは言われたく無いが返品がてら文句を言いに行く事に決めた。

息子の案内でオモチャ屋に辿り着いた筈だった。

案内された場所にオモチャ屋は無くあるのは空き地だけだった。

「うわぁぁぁ確かに昨日はあったのにぃ!」

息子は恐怖からかブルブル震えだして車から降りようとしない。

まぁ息子はまだ小さいし住所を勘違いしてるだけか露天商だったのだろう。

どちらにしろ気持ちの良い体験では無かった。

例の怪獣は息子が痛く気に入ってるせいでとうとう廃棄する機会を逸してしまった。

ちなみにこの怪獣は時折脱走するらしく息子が大騒ぎして捜し回った挙げ句いつも屋根裏とか屋上とか変な場所で見付かる。

一応、粗悪品を売る違法露天商が出没すると町内会にも警告しておいたが・・・

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