これは友人が中学生だった時の実話らしいです。
以下は、先日久しぶりに会った時に彼が語ったその内容の一部始終です。
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雨の降り止まない梅雨の頃だったと思うな。
その日も朝からずっと雨の日曜日だった。
両親が共働きで美容院をやってたものだから俺は朝から妹と二人、2階にある部屋で宿題をやったりコミックを読んだりしていたんだ。
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それで昼過ぎになって、そろそろ菓子パンでも食べようか?と思った時だったかな。
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shake
ピンポーン、、、
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突然ドアチャイムの音が鳴り響いたんだ。
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俺は妹と顔を見合わせると立ち上がり、部屋の入口ドアを開けてみる。
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すると階段の下から玄関ドアを忙しなく叩く音がして、
「警察です。開けてください。」
という男の人の切羽詰まった声がする。
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両親には普段から留守中に知らない人が来てもむやみに玄関を開けるなと言われていたんだけど、さすがに「警察」の人ということなら無視出来ないと思い、階段を下りて玄関先まで行くと「はい」と返事をして鍵を開けたんだ。
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いきなり視界に入ってきたのは黒い雨合羽を羽織り長靴を履いた大柄な男の人だった。
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雨合羽は雨の滴に包まれ、目深に被ったフードの下から覗く2つの瞳はビー玉みたいで何だか冷たかったな。
男は胸ポケットから黒い手帳をチラリと見せ、
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「こんにちは。お父さんかお母さんはいるの?」と尋ねるから黙って首を横に振ると男は、
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「実は先ほどこの近くで、女の人の遺体が発見されたんだ。
犯人はこの辺の住宅に隠れているかもしれないので、一刻を争う事態だから悪いけど今から家の中を調べさせてもらうよ」
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と厳めしい顔で言い放つと、さっさと長靴を脱ぎ、ずかずかと真っ直ぐ廊下を歩き始めた。
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男は奥の居間に入ると、勝手に家捜しをしている。
俺はその様子を不安な気持ちで眺めていたんだ。
男は一通り捜索を終えると俺のところまで来て、こう言った。
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「犯人は逃亡に金が必要な筈だ。
ところでこの家には金庫とかあるのかい?」
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俺は分からなかったから首を振った。
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すると男は「そうか」と言ってしばらく考えるような素振りをすると、やがて「ここにはどうやら犯人はいないみたいだから、失礼するよ」と言い、また玄関まで行くと長靴を履き、さっさと立ち去って行った。
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翌朝、両親と食卓で朝御飯を食べていると、
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ピンポーン、、、
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ドアチャイムが鳴った。
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母が立ち上がり玄関まで行き、「はい、どちら様ですか?」と尋ねる。
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すると男の低い声で「警察です」という返事だった。
母は慌てて鍵を開ける。
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「ああ、あの犯人とうとう捕まったのかな?」などと思いながら見ていると、制服姿の若い警察官が一人玄関口に立つと、こう言ったんだ
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「実は昨日の深夜にOLと思われる女性の遺体が、近くの川に浮かんでいるのが発見されました。
遺体には数ヶ所深い刺し傷があり、どうやらこの辺りの路上で、何者かに鋭利なナイフで刺殺され川に投棄されたようなんです。犯人は捕まっておらず未だに逃走中ですので、戸締まりの方しっかりお願いします。
また何かありましたら、本署にご一報願います」
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さらに警察官は帰り際に、
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「あ、それと、近辺の防犯カメラから分かっている犯人の特徴は30から40歳くらいの大柄な男性で、犯行時の服装は黒い雨合羽を羽織っていたようです」と言い残すと、さっさと立ち去って行った。
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「ほんと、最近、世の中物騒になったわね」とぶつぶつ言いながら食器を片付けている母を横目にしながら、俺の両膝はガタガタと震えていた。
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fin
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Presented by Nekojiro
作者ねこじろう