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短編2
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消えた友人

今から話すのは、私の体験談ではありません。

そして、友人知人の体験談でもありません。

正確に言うと、私と友人が「体験したらしい」話です。

これは、私が小学校5年生の時の日記に書いてあった、当時の私の不思議な体験です。

私だけでなく、当時の友人2人の日記にも同じような事が書いてありました。それを簡単に要約しようと思います。

友人の名前はA、Bとします。

最初の日付は5月16日でした。

その日の日記には

「A君とB君と遊びました。釣りをしていたらひでと君と言う男の子と知り合いました。ミニ四駆や、ビーダマンで遊びました。新しい友達ができて嬉しかったです。」

どう言うような事が書かれていました。

その日から、頻繁に日記にひでと君という男の子と遊んだという事が書かれるようになりました。

5月20日

「学校が終わってからひでと君の家に行きました。ひでと君の妹と、お父さんと皆んなで鬼ごっこをしました。もう少しでお別れなので寂しいです。帰る時に、ひでと君が仮面ライダーの人形をくれました。」

5月25日

「ひでと君とA君とB君とゲームをしました。ひでと君はとてもゲームが上手くて、全然勝てませんでした。ひでと君は海の近くに行くので遊びに行くと約束しました。」

5月26日

「明日でひでと君とお別れなので、ひでと君の家でお別れ会をしました。A君は少し泣いていて、それに釣られて僕とB君も泣きました。ひでと君は笑っていました。」

5月27日

「今日はA君と釣りをしました。でも全然連れなかったので、家に帰ってゲームをしました。夜、お父さんと野球を見ました。」

26日の時点で、明日がお別れと言っていたひでと君に関する記述は27日以降一切ありませんでした。

そして、私はひでと君という友人を知りません。

A君とB君とは今でも連絡を取り合っています。

当然A君にもB君にも確認しましたが

「俺も知らない。でも日記には書いてある。」

と言っていました。

ただ、彼の事は誰の記憶にも無いのです。もちろん私の記憶にも、A君やB君の記憶にも。

そもそもひでと君なんて男の子は存在しなかったのでしょうか?

なぜ誰の記憶にも無いのでしょう?

ただひとつ確かな事は、あの時貰ったであろう(両親に買ってもらった記憶のない)仮面ライダーの人形は、今でも私の部屋にあります。

Concrete
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