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短編2
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人違い

この話は、私が高校受験の時に経験した人違いの話しです。私は、友達二人と一緒に、京都の東寺にある私立高校を受験しに行きました。学生服を着た受験生が大勢。希望と不安を抱えて、神経を集中させて、問題を間違わないように、緊張するなか、学校からの会場案内を待っている時の事でした。

突然、〇〇君、何してんのこっちやでという声を掛けられました。私は、声を掛けて来た受験生が誰だかわからず、怪訝な顔をしていると、もう一人の連れの受験生が、そうやでこっちやでと同じように話し掛けてきました。

私は、二人とも初めて会う人だったので、返事に困っていると、二人のうちの一人が、えっ、〇〇君と違うの?うそやろ?と慌て始めました。

私は、益々困って、どう返事をしたらいいのか困ってしまいました。

そうこうしている内に、三人目の連れが近づいて来て、早よ行こう、こっちやでと話しに寄ってきました。そこで三人目の連れがえっ、〇〇君と違うの?と最初に声を掛けて来た二人に、信じられないという顔をして、まじまじと私の顔をを見て、似てるわ、ものすごく似てるわと言って三人で顔を見合わせて、ものすごく似てるわと言いながら向こうへ、歩いて行きました。

人違いで人間ってあんな風に怖がるものなんですね。

私は、信じられない、こんな事があるんだろうか?と半ば恐怖に駆られて遠ざかる三人の受験生に、もう1人の自分への好奇心を抑えながも、試験会場の教室へと向かいました。

しかし、三人の人に、疑うこともなく、人間違いをされるものでしょうか?

今でも、その時の彼等の怖がる顔が忘れることができません。

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もう何十年も前の話しですが、ふと、思い出すことで、一番不思議な出来事だったなぁと思います。同じ顔、同じ体格、同じ志望校、同じ受験場所、確率的には、かなりの低さです。そしてマジマジと眺めてなお、納得のいかない三人の顔。今でも時々思い出します。

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