この話は、私が高校受験の時に経験した人違いの話しです。私は、友達二人と一緒に、京都の東寺にある私立高校を受験しに行きました。学生服を着た受験生が大勢。希望と不安を抱えて、神経を集中させて、問題を間違わないように、緊張するなか、学校からの会場案内を待っている時の事でした。
突然、〇〇君、何してんのこっちやでという声を掛けられました。私は、声を掛けて来た受験生が誰だかわからず、怪訝な顔をしていると、もう一人の連れの受験生が、そうやでこっちやでと同じように話し掛けてきました。
私は、二人とも初めて会う人だったので、返事に困っていると、二人のうちの一人が、えっ、〇〇君と違うの?うそやろ?と慌て始めました。
私は、益々困って、どう返事をしたらいいのか困ってしまいました。
そうこうしている内に、三人目の連れが近づいて来て、早よ行こう、こっちやでと話しに寄ってきました。そこで三人目の連れがえっ、〇〇君と違うの?と最初に声を掛けて来た二人に、信じられないという顔をして、まじまじと私の顔をを見て、似てるわ、ものすごく似てるわと言って三人で顔を見合わせて、ものすごく似てるわと言いながら向こうへ、歩いて行きました。
人違いで人間ってあんな風に怖がるものなんですね。
私は、信じられない、こんな事があるんだろうか?と半ば恐怖に駆られて遠ざかる三人の受験生に、もう1人の自分への好奇心を抑えながも、試験会場の教室へと向かいました。
しかし、三人の人に、疑うこともなく、人間違いをされるものでしょうか?
今でも、その時の彼等の怖がる顔が忘れることができません。
作者パパ