短編1
  • 表示切替
  • 使い方

事故地蔵

うちの近所の交差点に妙なお地蔵様が置いてあるんですけど、いつ誰が何のために置いたのか、全くもって謎なんです。

近所の図書館や郷土資料館で調べても詳細が載っておらず、また古くからこの土地に住む老人に聞いても皆、首を横に振るばかり。

「気が付いた時にはもうすでにあったよ」

────と、まぁ、これだけなんです。

ただこのお地蔵様、他にも妙な噂があって、この交差点で事故が起きる前日、何故か忽然と姿を消しちゃうんです。

で、事故が起きると途端に誰が戻したのか、また、ちゃんと元の場所に戻っている。

誰かの悪戯だと言ってしまえばそれまでなんですけど、ただ、その瞬間を誰も目撃してないんです。

そのうち、近隣住民たちの間で「事故地蔵」なんて呼ばれるようになって、このお地蔵様が消失した日には、みんなその交差点には近づかないようにしてるんですよ。

もちろん、私も絶対に近寄りませんよ。

だって自分がその犠牲者になったら嫌じゃないですか。

────因みに、さっきあの交差点の前をたまたま通り掛かったんですけど、そしたら無かったんですよ…

例のあの「事故地蔵」が…。

今から犠牲者の事を考えると、いたたまれない気持ちでいっぱいです。

Normal
コメント怖い
2
5
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ

@あんみつ姫 様
ひゃああ〜💦お読み下さり、ありがとうございますです!!以前、地元のご老人に伺ったところ、ひょっとしたら昔でいうところの「行き逢い神」や「柴神様」といった路傍神の名残りかもしれないと仰られておりましたです🤔なにわともあれ「触らぬ神に祟りなし」には間違いはなさそうでございますねです💦

返信
表示
ネタバレ注意
返信