うちの近所の交差点に妙なお地蔵様が置いてあるんですけど、いつ誰が何のために置いたのか、全くもって謎なんです。
近所の図書館や郷土資料館で調べても詳細が載っておらず、また古くからこの土地に住む老人に聞いても皆、首を横に振るばかり。
「気が付いた時にはもうすでにあったよ」
────と、まぁ、これだけなんです。
ただこのお地蔵様、他にも妙な噂があって、この交差点で事故が起きる前日、何故か忽然と姿を消しちゃうんです。
で、事故が起きると途端に誰が戻したのか、また、ちゃんと元の場所に戻っている。
誰かの悪戯だと言ってしまえばそれまでなんですけど、ただ、その瞬間を誰も目撃してないんです。
そのうち、近隣住民たちの間で「事故地蔵」なんて呼ばれるようになって、このお地蔵様が消失した日には、みんなその交差点には近づかないようにしてるんですよ。
もちろん、私も絶対に近寄りませんよ。
だって自分がその犠牲者になったら嫌じゃないですか。
────因みに、さっきあの交差点の前をたまたま通り掛かったんですけど、そしたら無かったんですよ…
例のあの「事故地蔵」が…。
今から犠牲者の事を考えると、いたたまれない気持ちでいっぱいです。
作者トワイライトタウン