題名「霊」
飲んでて終電を逃し、親戚の家に泊まりに行った。急なことだったけど叔母は喜んでくれた。
この家のいとこが昨年の暮れに死んだ。
僕達は瓜二つくらいに似ていたから、僕の姿を見て、死んだ我が子が帰って来たように思えるのかもしれない。
死んだいとこには高校生の妹がいた。父方のいとこは彼女だけになってしまった。
彼女は僕にとっても妹みたいなものだ。
いとこの寝間着を出してもらった。
叔母は、
「まあ。伸幸が帰って来たみたい……」
そう言った。
「確かに」
僕もそう答えた。
◆
夜中、トイレに起きた。昨夜、ちょっと飲み過ぎた。少し頭が痛い。
そのとき、薄暗い廊下で誰かを見たような気がした。
伸幸……?
驚きながらも、そのまま通り過ぎてから思い出した。
──あそこには大きな鏡が掛けてあった……。
いとこの寝間着を着てるものだから、そこにいとこが居たような錯覚を起こしたのだ。
朝になって、そのことを叔母に話すと、
「あら。おかしなことを言うのね。あの鏡は粉々に割れちゃって、もう掛けてないはずだけど……?」
え? と思い、僕は廊下に出てみた。
鏡はなかった……。
あれは単純に、アルコールが僕に見せた幻……?
それとも、本当にいとこだったか……?
或いは、割れた鏡の霊が現れて、僕を映していたのかも……
了
題名「呪われた部屋」
東京の大学に入って初めての独り暮らし。
女の子の独り暮らしだから不安もある。
だから楽しいことを考えた。
ディズニーシーのことが思い浮かんだ。
それで「開けゴマ」と言ってみたら、私の両足を左右から引っ張る見えない力が……
虚無僧花(こむそうばな)
忘れてしまって欲しいことが 小渕優子には多すぎる
優子の記憶の中には 笑い顔は遠い昔
いつの日にか 表には出せない金の記録が
パソコンにありました
そして優子は手に取った 電動工具でとばしてやるわ
ドリル ドリル ドリル ドリル ドリル
ドリル ドリル ドリル ドリル
まわって まわって まわって まわる
作者いも
あれはゴマなのか?