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思い出してはいけない 終

中編5
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思い出してはいけない 終

自分にとんでもないモノが憑いている事を身をもって痛感させられる出来事が次々と身の回りで起きたのはそれから●年後の事だった

あれ以来お祓いには行っていない

以前、見えるという人と話をした際に私に何が憑いているのかと問うた

その人はただ一言、言えない と答えられた

ソレは現在進行形で私に憑いている

物心ついた頃からの付き合いなので人生の大半をソレと共に過ごした計算になる

恐怖はない

私自身には生活に支障がでる様な霊障は無い事もあるが今まで身の回りで色々な事が起こり過ぎて感覚が麻痺しているのかも知れない

不安の種と言えるのは心霊現象があちらから勝手にやってきてポルターガイスト等のドッキリを仕掛けられる事だ

デジカメでの撮影が好きだった昔、パノラマ写真を撮影した際に手ブレで上手く撮れずブレない様に身体に力を込めて撮影した事があった

撮影自体は成功したが写真に不気味な笑みの女の霊がはっきり鮮明に写っていた為恐ろしさからトラウマになり以来極力自分でカメラを構えない様になった

その時のデジカメは今も自宅にある

触れたくもない為文字通り何もせず放置してある

お祓いもしていない

自宅、親類の家、旅行先、職場と

場所は問わずに心霊現象が起きる為私に霊を引き寄せる性質がある事は明らかなので絶対に心霊スポットや冷気を感じる場所には入らない様にしている

幼い頃に風邪で熱にうなされた際に私が療養している部屋の壁のあたりから人ではない大勢のうめき声が聞こえた事は一度や二度では無い

それは場所を問わず余りに頻繁に聞こえる為もはや風邪に罹患した際の恒例イベントとなっていた

皆が熱にうなされた際には同じ経験をするものだと勘違いをしていた程だったので

そうでは無く自分が異常だったと分かった際には驚きを隠せなかった

そうした経験から心霊スポットに行けば4、5人どころか数十人連れ帰る自信がある。自宅をお化け屋敷にはしたくない

先日、私が以前良く無い感情を向けた方が自宅で不審死を遂げられ警察が来る騒ぎになった

仮にこれが私に憑いたモノが関与した死だとするならばこれで3人が犠牲になった計算になる

偶然だと思いたい、そうでないと正気を保てない

事故、火災、怪我、これまで身の回りの人間が大勢不可解な災厄に見舞われた

周りにこれほど悪影響を及ぼす存在に憑かれながら何故私自身は無事で今もなお生き続けられているのか自分でもわからない

これはフィクションでは無く実話だ

そうであればどれ程良かっただろう

釣りでしたありがとうございましたと言えたならどれほど幸せだろう

しかし悲しいが実話である

目を背け現実逃避したくなる程の事実である

今までの出来事は全て悪夢で夢から目覚めたらごく平凡な毎日が、といくら望もうが現実は非情、変わる事などない

両親が私をお祓いに連れて行こうとしたきっかけの出来事は今もなお思い出せない

人間には自己防衛機能がある、嫌な記憶の無意識な消去もその一つだ

過去の私に忘れたい程の何かが起こり、自己防衛機能が働いてそれを記憶の奥底に封印したのだろう

決して思い出してはならない、そんな気がした

釣りでも創作でも無く私という人間が体験した現実に起きた出来事である。最も、悪しきモノをその身に宿しながら生き続けている存在を人間と呼んで良いか怪しいものだが。

日常で暮らす中時折自分の中に黒い感情が顔を出すのを感じる

それはとても邪悪な思想を持ち決して外に出してはならないものだ

私はソイツを半身と呼び普段は理性で鍵をかけ意識の底に閉じ込めている

以前、強い負の感情の昂りから理性の鍵が壊れ封じていた半身が表に出てしまった事がある

あの時は半身に支配され自我を失っていたからとは言え多くの人達に申し訳ない事をした

あの事を悔い無かった日はない

言い訳はしない、あれは間違いなく私が自身の身体を動かしてやった事だ

あれ以降半身の封印が私の命題になった

封印が緩んだ事が一度あったがその際には忠告に従い関連する事から身を引き時間を経過させる事で再封印を施す事が出来た

「そういう時にはコンテンツに触れないべきでは。」

あの時そう忠告をして下さった方はリアルの付き合いのある人ではなく世代も違っていたが、私は今でも深く感謝しており

あの時の言葉を戒めにして毎日を過ごしている

お陰で半身が表に出る事なく今日を迎えられている

最後に

人ならざるモノは存在する

決して、如何なる理由があろうとも心霊スポット、または得体の知れない場所に足を踏み入れてはならない

そういった危険な場所には冷たい空気が流れていたり空気が重いという特徴があるのでそれを感じる場所には決して近づかない事、

蒸し暑い日に涼感を欲した際はホラーゲームプレイ等危険の無いやり方に留めておく事を強くオススメする

憑かれた人間がどんな日々をおくるのか、周りの人間に何が起こるのかを私は知っている

心霊スポットに立ち入った人間が憑かれて被害に遭うのは自己責任だが、ソレがもたらす被害はその人間だけではなく周囲の人間にまで及ぶ

周りからすれば理不尽極まりない

理不尽な災厄を周りの人間に押し付けない為にも近づかない、関わりを持たない様に意識する事が何より大切だと思う

これを読んだ方々が同じ様な道を辿らない事を切に願いながら今回の筆を置く事にする

何も無い人生の有り難みは失ってから初めて気付くものなのだから。

ひと時の退屈を埋めるには失う代償があまりにも、あまりにも大きすぎるから

私は幼い頃にソレに話しかけられてあの場所に誘導され命を奪われかけ、奇跡的に一命は取り留めたが憑かれてしまった

多くの人間は 行かない 事でソレとの遭遇を回避できるのだから

回避出来る悲劇に自ら進んで行く事は無い

それはとても愚かな行いだ

これから先、肝試しに行く事になった際は今日私が話した実話を思い出して行く事を思いとどまって欲しい

退屈だという事は平和であると言う事

自ら進んで平和を手放してはならない

皆の毎日が平和であり続ける様に切に願う

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