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中編3
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公園

姉と公園の近くを通りかかったら、ばったり姉の友達とでくわした。

しばらく立ち話をしていたら、ふと公園からの視線を感じ、気になってそちらを見ると木と木の間におかしな格好をした男がたっていた。

姉もそれに気づいたらしく、俺にドスの効いた声で「おい、あんまりあっち見んな」と、ふくらはぎを強めに蹴られた。

姉の友達にはそれが見えていないらしく、「えっ?誰かいるの?どこどこ?」と、やっているが、姉はもともと霊感が強く、あのピエロみたいな格好をした人間はあまり良いものではないから関わらない方がいいといった。

姉の友達も右太ももに膝蹴りを入れられ、俺たちは場所を喫茶店に移した。

姉によると、あれはその昔、もともと墓場だった所を整地して出来た公園で、何年か前に花壇があった場所を掘り起こしたら無数の骨壷なんかが出てきたやら出てこなかったやらで、それ以来、地味に怪奇現象が目撃されだしただのされなかっただのという噂もたち、その界隈の人たちはあの公園に近寄らなくなったらしい。

すると、姉の友達が自慢げに話にのってきたかと思えば、「あの公園で女の子の泣きごえが聞こえてきても絶対に話しかけてはいけない。なぜなら変に構うと、お母さんを一緒に探してと手を強くひっぱられて、公園の奥までつれて行かれるの。そうなるともう二度とこちらの世界には戻って来られなくなるんだって」と言った。

それを聞いた姉は鼻で笑い、意地悪そうな顔で、「そんな女の子みた事ないけどね…どうせつくり話でしょ?」と友達のおでこにストローの先をおしつけた。

友達はそれに若干腹を立てたのか、生クリームのついたおでこを拭きながら「じゃあ確かめにいくか?はっきりさせようじゃねーの」と席をたった。

俺たちがまた公園を訪れたころには、もうすぐ陽が落ちるかどうかのゆったりとした時間帯で、耳をすませば、公園の中から小さな女の子の泣き声…ではなく、誰かと揉めているような声が聞こえた。

姉は茂みの隙間からそっと中の様子をうかがっていたが、一言。「ストロー刺してごめん。あんたの言ってた事は本当だったわ。女の子があのピエロのオッさんを奥に連れていこうと必死に手を引っ張ってる。オッさんめちゃくちゃ迷惑そうにしてるわw」

それから数ヶ月がたち、久しぶりに公園のそばを通ったら、中から沢山の子供や大人たちの楽しそうな笑い声が聞こえてきた。

公園の前に立ち止まり、その微笑ましい光景をながめる。ああ女の子は無事、あの邪悪なピエロをどこかへ連れていってくれて、この公園にも平和が戻ったのかなと、少し嬉しい気持ちになった。

ふと俺も公園で一休みしようかと足を踏み入れかけたその瞬間、後ろからとんでもない硬さのヒジ鉄が俺の背中に食い込み、俺は悲鳴も上げられずにその場に倒れ込んだ。

「なんか気になって後をつけてみたらこれだよ。もう一回公園の中よく見てみ?」

姉の言うがまま再び公園をみると、さっきまで沢山いたはずの人々はどこへ消えたのか、滑り台のそばに、明らかに時代にそぐわない古めかしい格好をした、おかっぱ頭の女の子が一人立たずんでいるだけだった。

「あ、あの子もしかして?」

「ああ、あれだよ。あの子ああ見えてけっこうやばそうだな。あぶねーあぶねー」

姉がにらみつけると、女の子は目に涙をいっぱいにためながら、「お母さんを一緒にさがしてー」と、しくしく泣き始めた。

姉が言うには公園のそとにいれば安全との事なので、あの女の子には若干申し訳ない気持ちを抱きつつも、俺は今後一切あの公園に近づく事はないだろう。

Concrete
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