続きを書かせて頂きます。
SとIが和解した後、待ってましたとばかりに、おじさんが話しかけてきました。
「ほんなら参拝の仕方を簡単に説明さしてもらっていいやろか?」
私達三人はハイと頷いておじさんの前に横並びになりました。
以下説明の内容です。
※集落の中に点在する御神体を三人で撫でて回る。
※御神体は「守り箱(もりばこ)」と言うモノの中に入っている。
※おじさん二人とおばさん、そしてハルさんは過去に参拝をした事があるので近くに近づく事ができない。
※最後に箱の中に貼っている御札を剥がし、新しい御札と取り替える。
以上がおじさんからの説明でした。
説明が終わるとおじさんはおもむろにポケットから古びた鍵と集落の地図そして新しい御札をSに渡し、「頼んだで。」と言い私達と距離を置きました。
Sは早速地図を拡げますが、拡げた途端にSの顔色が変わっていくのがわかりました。
私「S!どうしたん??」
唖然としていたSでしたが、私の問いかけにハッと気付き、
S「さっきここまで歩いてくる途中に気になってた「アレ」覚えてる?」
私「「アレ」って変な祠みたいなやつでしょ?」
Sはコクッと頷くと、拡げたままの地図を私に差し出します。そして地図を見た私は驚愕しました。どうやら私達が「アレ」と呼んでいたモノは、さっきおじさんが話していた「御神体」だったのです。
私S「…………マジで。」
ため息もその後にこぼれた小さなボヤキまでSとダブりました。
二人のテンションの変わり様に気づいたIが声をかけてきます。
I「アンタ達どうしたん?死人みたいな顔してるで。(笑)」
そう言ってクスッと笑ったIに対して、私とSは今までの事を説明しました。
すると今まで笑顔だったIの顔が真顔になり、
I「私達もしかしたら結構アカン事しようとしてるかもね。」
Iのさりげない一言に不安を覚える私とSでしたが、さっさと終わらせて帰ろうと言うSの意見に賛成し、取り敢えず集落の中にある御神体巡りを行う事にしました。
そうこうしてる内に一つ目の「御神体」の前に着きました。
「御神体」の入っている「守り箱」には一昔前に作られたような、ガッチリとした錠前がかけられていましたが、鍵をもらっていたのでその鍵を使って開けようとしました。
鍵穴の向きを確認して、一気に差し込もうとします。
私「あれ……………。」
鍵穴に鍵は刺さったものの、回す事がまったくできません。まるで何年も、いや何十年も開けられていないかの様に。
S「どうしたん?」
Sが問いかけてきます。
私「いや、回れへんねん。めっちゃ固い…」
I「でも毎年一回は開けてるんやろ?開くはずやけどね。」
結局、Sが錠前を持ち、私が鍵を握り、お互いに反対方向に回しあう事で鍵は開きました。
ガジッ…
と、鈍い音をたて、錠前は外れました。
S「ほんなら開けるで。」
Sはそう言うと、小さいながらに重そうな、観音開きの鉄の扉を力いっぱい引きました。
ギッギジジジジィジジ
とこれまたすさまじい音を立てて扉が開きます。埃臭い匂いと共に、その内容があきらかになりました。
箱の中には、ソフトボール大の何かと、その側面にぼろぼろに朽ち果てた御札が貼ってありました。
私「何これ?」
率直な意見だったと思います。御神体と言うからには、せめて人型のモノかな?と思いこんでいた。
しかし予想のモノとは全く違う。そんな事を考えている時でした。
S「何してんの?早くしようよ!」
そう言うとSは「御神体」と呼ばれているモノを二回程ポンポンと軽く叩き、朽ち果てそうな御札をフイッと剥がして新しい御札を張りつけました。
次の瞬間でした。
「……ル…ダ……トゥ……ダ」
私「何か言うた?」
S「えっ?何も言うてへんけど…。」
「空耳かなぁ〜。笑」とSに言おうとした瞬間でした。
「とぅるり………るり…だ」
私「ほら〜!絶対なんか………」
I「喋んな!!!!!!!」
私が全てを話そうとする前にIが私を怒鳴りつけました。Iは口は悪いですが、人を怒鳴りつけるなんて事はまずしません。
そのIが私を怒鳴りつけました。集落中に聞こえるくらいの怒声で…。
そしてそのまま、目に涙を溜めている私と、ポカーンと口を開けているSの腕を取り、「帰るで…」とボソッといい走り出しました。
I「取り敢えず前だけ見て走りや。絶対振り返ったらアカン。爺ちゃんの所つくまでダッシュや…」
私「自転車は……」
I「やかましい!!!!!早く走れ言うとるんじゃこのボケが!!!!!」
Sと私の腕を握る手はとても熱いのに、顔を真っ青にしたIがまたまた怒鳴ります。
ハッと気がつくと私は涙も鼻水も垂れ流しで必死に走っていました。
後ろに何が居るのかなんて知りません。しかしIが、そして本能が逃げろと言っています。
私達は走りました。
Iの屋敷を目指して。
すいません。切らせて頂きます。
怖い話投稿:ホラーテラー 普通のたかしさん
作者怖話
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