2日程間が空いてしまいました。
私は水を使う仕事をしている為、週末は時間が作れなくなってしまいます。
大変申し訳ありません。
それでは続きを失礼させて頂きます。
三人でがむしゃらに走り続け、Iの屋敷に着く頃には辺りは暗くなりかけていました。
屋敷に着くなりIは、先程まで長距離を全力で走ってきたとは思えない程の声で叫び始めました。
I「爺ちゃーん!!!!爺ちゃーん!!!何処にいてるん?!爺ちゃーん!!!」
深い夕暮れに包まれた広い屋敷の庭先に、Iの甲高い声が響きます。
Iが息をぐぅーっと吸い込み、もう一度声を出そうとした時でした。
「なんやえらい声出して、どうしたんや!」
Iの祖父(以下爺)が口をモグモグさせながら奥から出てきました。
どうやら早めの夕食をとっていたそうです。
Iは足早に爺の下に駆け寄ると、近くにいる私とSにかろうじて聞こえる程の声で、おそらく今起こった事の経緯と詳細を話し始めました。
Iの早口の説明に、時折耳を改めて傾ける爺の姿もあったものの、話しの中程で大体の事を理解したのでしょう。
「大変やったな…。」と優しい笑顔で言った後、私達を家の中まで案内しました。
内心びくついていたのだと思います。
自分達は何をしてしまったんだろう。
自分達はどうなってしまうのだろう。
自分達は今から何をされるんだろう。
爺の後ろを着いて歩く私の頭の中を、色々な思いが駆け巡ります。
「まぁ取り敢えず入って座りぃや。」
私達が案内されたのは、意外にも先程まで爺が夕食をとっていた居間でした。
「すぐ婆さんに準備させるから、取り敢えず飯でも食おうか!」
爺は食べかけの膳の前に腰掛け、また食事をとり始めました。
私達も始めこそ戸惑いを感じたものの、爺の堂々とした立ち振舞いに、心地よい安堵感を覚え、その言葉に従いました。
間もなくIの祖母(以下婆)が私達三人分の食事を運んできました。
私はお会いした事が無かったので、それが初対面だったのですが、Sは昔から面識があるため、「婆久しぶり〜!」等と柔らかな挨拶を交わしていました。
「お口に合うかわかれへんけど、よろしゅう御上がりなさい。」
婆はそう言うと私達三人の前にご飯を並べていきます。
まずIの前に、次に私の前、そして最後にSの前に並べる時に、Sに何かを耳打ちしたのが見えました。
Sはその耳打ちに対し、笑顔で「ありがとう」と言っていました。
その光景も勿論疑問に思ったのですが、それよりもっと前から気になっていた事があります。
一言で言うと、
今私達はどういう状況に置かれているのか?
というものです。
おそらくIと爺は何か確信となる事をわかっているはずです。 じゃあSは婆は?
私の中で色々な事が交錯します。
体力的にも精神的にも限界だったのでしょう。
私にのし掛かる様々な形のストレスは、「できるだけ詮索はしないでおこう。」という思いをいとも簡単に断ち切りました。
「ほんまにごめんなさい。私は集落の人間からしたらよそ者だし、今回だって私から行きたいって言ったし、そんなのが色々あってできれば詮索みたいな事したくなかったんですけど、何がどうなってるんですか?こんな事聞いて本当にごめんなさい。」
私はできる限り言葉を選び爺に問いました。
一同の中に無音の空気が流れます。
「触れてしもうたんやね。」
沈黙を破り口を開いたのは私の予想を反した人物、婆でした。
S「触れて……って何に?」
Sが呆気に取られている私を横目に婆に質問を投げかけます。
「アンタ達が行ったのは舎○寺(以下B地区)やろ?」
S「うん。」
「そこで何か変わった事したやろ?イタズラとか?正直に言うてみ?」
Sは婆のその言葉を聞くと顔を真っ赤にして、
「イタズラなんかしてへんよ!あの人達困ってたから。助けただけやもん」
イタズラと言われた事がよっぽど悔しかったのかただ切羽が詰まっていたのか、Sは大粒のなみだをポツリとこぼしながら言いました。
婆は「分かっとる分かっとる。」と、Sをなだめました。
「しっかし、B地区のモンも質の悪い事をしよるで。」
婆とSのやり取りが終わるか終わらないかの所で、爺が口を開きます。
そして未だに事の発端、ならびに現在の状況を理解していない私の目を見据えて話し始めました。
そのお話しは私が生きて聞いてきた話しの中で最も冷たく、辛く、そして悲しいお話しでした。
すいません、一度切ります。
怖い話投稿:ホラーテラー 普通のたかしさん
作者怖話
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