先程は失礼しました。
予定がキャンセルになった為、続きを一気に書かせて頂きます。
大変長い話しになってしまいますが、最後まで読んで頂ければ幸いです。
それでは始めさせて頂きます。
それからと言うもの私達三人はいつも一緒でした。
夏が終わり、秋が終わり、冬が来たかと思えば春になり、気付けば私達三人が出会ってから一年の月日が経とうとしていました。
夏休みに入り、三人で予定を立てます。何をしたいか、何処に行きたいか。
そんな事を話している時の事でした。いつもは話しの真ん中に立ちあーだこーだと喚き立てているIが静かにしています。
静かにしていると言うよりも何かに怯えていると言う表現の方が合ってるのかもしれません。
私『どうしたん?なんか落ちてる物でも食べてお腹痛くなったん?笑』
珍しい事だと分かりながらも、やはりIらしく無いと思い、わざとらしくおどけた感じで話しかけました。
I『もう高2やから。そろそろやねんなぁ〜。』
それまで普通だったSがピクッと反応しました。
私『??。どうしたん?』
明らかに乗り気ではないが渋々話そうとしたIの口を手で制し、Sがその口を開きました。
以下Sの話し。
『あんたにどこまで話していいのか、果たして話した所で信じてくれるのか私自身不安やったから話さなかったけど、ウチ達(IとS)の家柄は少し変わっててね。
こんな言い方したら怒る人も居ると思うけど、簡単に言うたら『部落』の生まれなんよ。
部落ってあんたは知らんと思うけど、分かりやすく言ったら、元ある町や村から外れて、独自のコミュニティを築いた集落の事やね。
今はあんたみたいに部落って言葉自体知らん子も多い。
今はそんな時代やけど、昔は差別が酷かったらしくてね。人を人やとも思わへん様な仕打ちを部落の人達にしてたんよ。
でも対抗する力も無くてね。されるがままやったらしいわ。
そんな時に生まれたのがウチ達のご先祖様や。『楊馬さん』(やんま)って呼ばれてね。心神的な儀式とか町との交渉とかね。部落の代表者みたいな人。
それをウチ達のご先祖様がやってたんよ。
ご先祖様が色々頑張ったお陰なんか時代が変わって行ったのかわからんけど、部落に対する差別も少しづつマシにはなって行ったんやって。
でもね、やっぱり人生って何でもうまく行かないモンで、問題がポツポツ起こり出したんよ。
その問題って言うのがね、やっぱり町の人達と交渉するって言うても、向こうの屋敷に言って話しする訳やから、ある程度身なりはしっかりせなアカンやん?それが気に食わなかったんやろうね。
一部の人が楊馬さんに向かって反抗し始めたんよ。楊馬さんが何言うても聞かんもんやから、みんなも楊馬さんもその内話せへん様になったん。
そしたらその一部の人達何したと思う?元々居た部落から抜け出して、別の所に新しい部落作ってしまったんよ。』
ここまで話して、まだまだ続くであろう話しの続きをしようとするSを今度はIが止めて話し初めました。
I『まぁそんな感じやねんけど、その……言うたやん?ウチ達のご先祖様が楊馬さんって呼ばれてる人達って……。
二代ごとにね、その楊馬さんを引き継がないとあかんのよ…。』
次は私の番とばかりにSが口を開く。
S『まぁその楊馬さんになるのも色々条件みたいなモンがあってね、まず二番目の子である事、あと女性経験が無い事。
理由はわからんけど、ぴったりウチ達やねん。笑』
話しを聞いてみれば確かにそうです、Sは上にお姉さんが、Iにはお兄さんがいます。そして2人は私と同じくゲイです。
これ以上無い程条件の一致した2人なので、見事に白羽の矢がささったのでした。
S『実は明後日から楊馬さんになる為の修行?みたいなんが始まるねん。3週間くらいらしいねんけど………。』
I『あんたが余りにも楽しそうに予定とか決めようとしてたから言われへんかった。ごめんなぁ。』
Iはそう言うと顔を下に向け、大きな溜め息を一つついた。
Sも先程までは普通だったが、Iの様子を見て申し訳なさそうに私を見た。
そんな2人を見て私もなんだか申し訳なくなり、どうしようと考えていた。
と私の頭の中に一つの考えが浮かんだ。
私『なぁ!その修行ってウチも参加したらあかんの??』
IS『???』
私『だってそうしたら毎日会えるやん!修行も3人やったら楽しくできそうじゃない?』
今思えば知らぬ事とは言え、一族の真面目な伝統の儀式を楽しもう等、ものすごく失礼な事を言った様な気がします。しかしそれほどまでに私はIとSの2人が好きでした。
目をキラキラさせながら2人を見る私にIが言います。
I『確かに面白そう!一回じいちゃんに聞いてみよう♪』
Sもウンと頷き、3人でIの家に向かいました。
実際は各々の家で修行を行うのですが、Sの家は楊馬さんであった祖父が既に他界していた為、在存する只1人の楊馬さん。すなわちIの祖父の下で修行する事になっていたのです。
Iの家は私が想像するよりずっと大きく、そこだけまるで別世界の様な佇まいでした。
緊張する私に気付いたIとSが、緊張する事無いよと肩をポンポンと叩き、中に入って行きます。
家の中は思ったよりもこざっぱりしており、あまり物が無いと言う印象がありました。
家の中を通り、Iの祖父が居る離れへ向かいました。
離れに着き引き戸を開けるとIの祖父がいました。顎に蓄えた立派な髭、綺麗に剃り上げられた頭、切れ長の目。
正直に話すと、第1印象は怖すぎて、少し帰りたくなりました。
そんな私を尻目にIとSはあらかじめ場所が決められていたかの様に祖父の前に腰をおろします。
I『たかし!ここ!ここに座り!』
Iが自分の左隣の床をポンポンと叩いています。
私が腰を下ろすのを確認してIが言葉を発します。
I『じいちゃん!いきなりでほんまにごめん!この子たかしって言うねん。同じ高校の友達。家もそんな遠くないねん。一緒に『タスク?』してもいい?』
Iが聞き慣れない言葉を口にしたが、おそらく修行の事だろうと思いました。それからしばらくした後、Iの祖父が驚く事を口にします。
祖父『別にええよ。』
3人『えぇ〜?!』
祖父『なんやねん!聞いておいてそんな態度おかしいやろ?』
3人とも恐らく一緒の考えでしたが、Iが代表して話します。
I『いや、そんな簡単に認めてもらえると思ってなかった……。』
祖父はニコッと笑みを浮かべて、
祖父『しても別に損になる事ちゃう!むしろ心が強くなって得する事の方が多い!』
そう言うと大きくウンと頷きました。
その日は取り敢えず話しだけだったので、Iの祖父にお礼とお世話になりますを言い、3人でI宅を後にした。
まだ少し長くなりそうなので一度区切りを入れます。
失礼します。
怖い話投稿:ホラーテラー 普通のたかしさん
作者怖話
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