私が住む町には通称「自殺ビル」と呼ばれているビルがある。
何年も前に閉鎖されたこのビルは荒れ果てており、いつからか自殺者が絶好の自殺スポットとしてよく訪れるようになっていた。
学校帰り。私は軽い暇潰しのつもりで自殺ビルに出向いた。ビルを見上げてぼんやりしていると、いつの間にか隣にサラリーマン風の男性が立っていた。
彼は黙ったまま、ジッとビルを見上げている。
嗚呼、この人も自殺ビルを見に来たのか。それとも今からこのビルで自殺を図るつもりなのだろうか…。
嫌な予感を払拭させるよう、私は男性に話し掛けてみた。
「こんにちは。このビル、自殺ビルって呼ばれてるんですよー。自殺スポットとして有名なんです。怖いですよねぇ」
すると男性は私の耳元に唇を寄せ、呟いた。
「そうですね。私は4人目だったんですが」
作者まめのすけ。