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短編1
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襖。

子どもが生まれたのを機に、一戸建てに引っ越した。3人で住むには広過ぎるくらいに立派な家だ。

引っ越しが済み、ようやくバタバタした生活から落ち着こうとしていた矢先だったと思う。

泣いている娘を抱き上げ、あやしている時だ。隣の部屋の襖が僅かに開いているのに気付く。

その時は単に閉め忘れたのだと思い、特に気にしていなかったのだが…。

数日後。部屋を掃除していたら、また襖が僅かに開いていた。嗚呼、またやっちゃったかと思い、襖を閉めた。

ところが…。ふと目をやる度、僅かに襖が開いているのである。引っ越ししたばかりで疲れているとはいえ、それでも気をつけていたつもりなのに。

それからは口に出して確認するようにするようになった。襖をきちんと閉め、「よし、閉めた」と独り言を言う癖をつけた。

「よし、閉めた」

襖を閉め、いつものように独り言を言う。すると娘が泣き出したので、抱き上げてあやした。

ふと顔を上げる。襖は全開していた。

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