最近友達同士で、知ってる怪談を語り合おうって集まりがあったんだけど、その時の話ん中で個人的に凄く気にいった話があるので聞いて下さい。
(私に文章力がないのと、1週間前に聞いた話なんで忘れちゃってる所は少し脚色しちゃってるかもしれないですがご了承くださいませ)
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ある大学生4人組が夏の終わりに肝試しをやろうって事になったんだって。
ただ、そこら辺のお墓とかでやってもつまらないから、どっかに心霊スポットがないか探してみたらしいんだ。
そしたら車でだいたい2時間ちょっと位の場所に有名な廃墟があるってんでそこに行く事にした。
んで肝試し当日。
夜の11時位にその廃墟に到着したんだけど、廃墟に入る前に言いだしっぺの奴(以降T)が
「俺ちょっと面白いネタ仕入れてきたんだけど」
って言ってきたんで、とりあえず肝試しを始める前に聞いてみる事にしたんだ。
なんでも、Tが聞いたそのネタってのが「幽霊に遭遇し易くなる方法」なんだと。
その方法ってのが【眼隠し鬼】って呼ばれてるもんで、そんなに難しい準備とかもいらないけどかなり効果が期待出来るもんらしい。
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簡単にその【眼隠し鬼】のやり方を説明すると、
●まず2人で霊がいそうな場所に集まる
●1人が目隠しをし(これ以降絶対に手を離してはいけない)お互いの片手を繋ぐ
●目隠しをしている人が「鬼さーんどーちら♪答えーておーくれ♪」と大きな声で呼びかける
●声を出さない様に息を潜め、耳を澄ます
●何も聞こえない場合は再度呼びかけるか、場所を変えて呼びかけてみる
●目隠しをしている人が何かしらの声や音が聞こえた場合は目隠しをしたままその方向に向う(その際目隠しをしている人が危なくない様、もう1人は移動の手助けをする)
●声が聞こえなくなったり、どちらの方向に向えばいいか解らなくなったらその場で再度呼びかけを行う
●これを繰り返す
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って感じ。
Tによると、人間ってのはほとんどの情報を視覚から得ているらしい(だいたい80%とか)
んでよく「目が見えない人は聴覚や嗅覚が異常に発達する」みたいな話を耳にすると思うけど、あれは霊感にも言える事なんだそうだ。
実際、怖い話とかでも目の見えない人が霊を感じやすいってのはよくあると思う。
この【眼隠し鬼】は、そんな「霊感が鋭くなった状態」に出来るだけ近づけて、霊を発見し易くする方法なんだそうだ。
その話を聞いた他の3人は正直あんまり乗り気じゃなかったらしい。
普通に廃墟を探索してちょっと怖い思いをして帰れればそれでいいと思ってたから。
でもTが「せっかく2時間もかけて来たんだしこれ位しないとつまらないだろ」と強引に勧めてきたんで3人も渋々了承したんだ。
廃墟の中に入ってすぐにTは、持ってきた黒い布で目隠しをし3人の内の1人と手を繋いだ。
そんで例の言葉を大きな声で呼びかけた。
辺りがシーンと静まり返り、3人とも息を殺してじっとTの反応を待った。
誰も一言も発さずに十数秒位経った時、堪らず1人が「な、なんか聞こえた?」って恐る恐るTに聞いたんだ。
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Tはすぐには返事をしなかったけど、少ししてから「虫の声しか聞こえねぇーや」とちょっと笑いながら言ったんだって。
その言葉を聞いて他の3人も一気に緊張が解けて「やっぱな~」とか「まぁそんなもんだろ」とかワイワイ喋りだした。
その後も場所を変えて「呼びかけ」を行ったんだけど、特に何か聞こえる事もなかったし4人共最初とは打って変わってこの状況を楽しんでたんだ。
だけど長い廊下みたいな場所に来ると急に状況が変わった。
「なんか聞こえる」
Tがぼそっと言ったその言葉に思わず他の3人の足が止まった。
ビビリながらも「冗談だろ?」と茶化してみたけど、Tの表情は真剣そのものだったらしい。
「なんか風の音みたいな感じで『オーーオーー』って言ってない?」
そう聞かれてすぐに3人も耳を澄ましてみたけど全く聞こえなかった。
Tは廊下の奥を指差して「たぶんこっちから聞こえてる」と言うので、仕方なく先に進む事にしたんだって。
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廊下の奥の方まで来るとTは「たぶんこれ上の方から聞こえてるわ」と言い出した。
それを聞いたTと手を繋いでる1人が急に「・・・・・お前目見えてないよな?」って言ったんだ。
どういう意味かと思い後ろの2人がその先を覗くと。
そこには階段があった。
Tは全く目が見えていないはずなのに「こっちの方」と2階への階段を指差していた。
もうみんなヤバイって思い始めてた。
でもTだけは違ったんだ。
階段があるって教えると興奮しだして1人で先に行こうとした。
慌てて繋いでる手を引っ張って止めると怒り出してちょっとした口論に。
他の3人はもう帰るべきだと主張したけど、Tは続けるべきだと言って聞かなかった。
数分の間行くの行かないので押し問答を繰り返してたら、Tが急にハッとした表情になって「静かに!」って言ってみんなを黙らせた。
「・・・・・聞こえなくなった」
そう言うといきなりまたあの呼びかけを大声で叫んで耳を澄まし始めたんだ。
最初の呼びかけよりずっと重苦しい雰囲気の中、30秒位してからTは「駄目だ、聞こえねぇー」とみんなに伝えた。
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瞬時に緊張の糸が途切れ、ほっと息をつくと「もう帰ろう」とまたさっきのやり取りを続けようとした。
だけどTは少し考える様な素振りを見せると「そうだな、もう帰るか」とあっさりOKしてきたんだ。
他の3人は一瞬呆気にとられてポカーンとしちゃったけど、すぐ理解して早く帰ろうと全員で来た道を引き返した。
何事もなく無事に車までたどり着けると、もうみんな安心しきっていたらしい。
その後の帰り道も特におかしな事が起こる事もなく、そのまま終われば単なる夏の思い出になるはずだったんだ。
それから何日かして、夏休みが終わってから初めての日曜。
あの時のメンバーの1人が自宅でぶらぶらしてたんだ。
せっかくの休みだけど特にやる事もなかったんで、昼過ぎまで寝ててちょうど昼の1時位だった。
とりあえず暇だからTに電話でもして遊べないか聞いてみる事にしたんだって。
電話をかけるとTはやけにテンションが高かったらしい。
なんかあったのかって聞くとTは信じられない事を言ってきたんだ。
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「実は今こないだの廃墟に向ってるんだわ」
一瞬耳を疑ったが、それより驚いたのがTは今1人でこの前の廃墟に向ってるんだそうだ。
なんで1人で行こうと思ったのか問い詰めると「本来の【眼隠し鬼】は1人でやるものだったらしい」とか「1人の方が霊が接触してくれる可能性が高い」「周りにお前ら(生きた人間)がいる状態だと霊を感知するのが難しい」だとか説明し始めた。
でもどう考えたって『たった1人で目隠しをして廃墟をうろつき回る』なんて事は危険極まりない行為だ。
すぐ止める様に説得したが「もう着くから」と言って一方的に電話を切られてしまった。
このままだとTが危ないと思い、あの時のメンバーでTのいる廃墟に向う事にしたんだ。
急な話だったので行くのは無理だって1人断られたんだけど、幸い一緒に行ってもいいっていう別の友人が1人見つけられたので3人で廃墟に向う事になった。
ただそのせいで出発に手間取っちゃって3人が廃墟に着く頃にはもう5時を過ぎてたらしい。
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廃墟を目の前にして正直3人共帰りたい気分で一杯だったんだけど、Tが怪我でもして動けなくなってたら大変なので日が落ちる前に早く探そうと勇気を振り絞ったんだ。
結論から言うとTはすぐ見つかった。
3階で不自然にドアが開きっぱなしになってる部屋の中にTはいた。
Tは部屋の中央で首を吊っていた。
目隠しをしたまま笑みを浮かべて・・・・
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結局Tの死は自殺という事になったそうだ。
まぁほとんど人が来ないような場所で一人で首を吊っていたんだから警察がそう判断するのは当たり前なのだろう。
でも残されたメンバーは誰一人としてTが自殺したなんて思わなかった。
あの時見てしまった、[目隠ししたまま天井からぶら下がるT]の姿は脳裏に焼き付いて離れないほど異常な光景だった。
そのせいかは解らないけど、事件後残されたメンバーはTに襲われる夢を何度も繰り返し見るようになったらしい。
噂によるとそいつらも気が狂ってしまい「Tに許してもらう為」とか言ってあの廃墟でまた【眼隠し鬼】を一人ずつしていったとかなんとか・・・・
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これで【眼隠し鬼】の話は終わりです。
この話を割と霊に詳しい友人に聞かせたら「それ相当ヤバイやつだぞ・・・たぶん何かの儀式的なもんだ」と言われました。
ここまで読んでくれた人なら解ると思いますが絶対に試してみたりしないで下さい。
何が起きても、何に取り憑かれても、私は一切責任を負いません。
作者バケオ
#gp2015