3歳になる娘は、お絵描きがとても上手だ。
日中は殆ど絵を描いて過ごしている。
父親が買ってくれたスケッチブックとクレヨンを使い、楽しそうに絵を描いている娘を見ていると、こちらも心が和んだ。そんなに絵を描くことが好きなら、絵画教室にでも通わせてあげようかと親バカな考えも浮かぶ。
この日も娘は絵を描いていた。私は家事の合間、娘の様子を見にリビングへと入る。
娘はスケッチブックに小さな女の子らしき人物と、顔や体が真っ黒に塗り潰された人物を描いていた。
ギョッとして娘に尋ねる。
「何描いてたの?」
すると娘は小さな女の子の絵を指差して答えた。
「これ、わたし」
「じゃあ……これは?」
黒いクレヨンで全体的に塗り潰された人物を指差す。娘は1回瞬きすると言った。
「これ、ママだよ」
作者まめのすけ。