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お祓いが出来ないⅡ。【姉さんシリーズ】

中編3
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お祓いが出来ないⅡ。【姉さんシリーズ】

俺には4つ年上の姉さんがいる。姉さんと言うのは名ばかりで、実際のところ俺とは血縁関係にはないんだが。まぁ、法律上は姉と弟だ。

姉さんは美人だが、無口でとっつきにくいところがある。いつもポーカーフェイスで、何を考えてるんだかまるで分からない。正直、あんまり得意なタイプではない。

そんな姉さんは、俗に言う「見える」側の人であるらしい。どこで教わったんだか知らんが、簡単なお祓いなら出来るらしく、姉さんの部屋には梵字の書かれた御札やら御神酒やら榊なんかがある。とても年頃の高校生とは思えない部屋だ。

事件は夏休みに入る少し前に起きた。

どこでどんな噂を聞いたんだか知らんが、俺のクラスの小堺って奴が姉さんを紹介してくれと泣きついてきたのがキッカケだった。

「ヤベェんだよ、俺……!!近々どうにかなっちまうかもしれねぇんだ!!」

そう話す小堺の表情は恐怖で引きつっていた。どうしたんだと尋ねると、小堺の奴は乾いた声で事の経緯を語った。

それは数週間前に遡る。小堺はサッカー部に所属してるんだが、部活仲間の連中と心霊スポットへ遊びに行ったらしい。そこは廃虚と化したビルで、ここら辺りじゃ有名な心霊スポットだ。

そのビルに行ってからというもの、毎晩金縛りに遭って魘され、ロクに寝ていないのだと小堺は言った。

「寝てるとさぁ、誰かが足元に立ってる姿が見えるんだ。上から下まで真っ黒な奴なんだよ……。目鼻立ちも性別も分かんねぇ。でも、いるんだよ。そいつが俺のことジッと睨んでるのが分かるんだよ。なぁ、助けてくれよ。お前の姉ちゃん、巫女さんなんだろ?なら、御祓いも出来るんだろ?助けてくれよ、友達だろ?」

……俺の姉さんは確かに御祓いは出来る(らしい)が、巫女ではない。それに俺とお前は友達というほど仲は良くないぞとも思ったが、今にも泣き出しそうな小堺のことを邪険には出来ない。

俺はその日の内に小堺を自宅に招いた。

待つこと数時間。帰宅したばかりの姉さんを捕まえ、事のあらすじを話し、小堺を紹介した。

姉さんは俺の話を黙って聞いていたが、眉間に皺を寄せ、難しい顔をしていたかと思うと。

「……あんた、何したの?何かしたんでしょ。あの場所で」

姉さんの問い掛けに、小堺は一層その表情を固くした。顔は血の気が失せ、唇は真っ青。おまけに小刻みに震えている。

姉さんは更に続けた。

それも絶望的な言葉を、容赦なく。

「残念だけど手遅れだね。1人や2人なら、まだ何とかなったんだよ。でも、あんたの場合は10人だから。10人の死者があんたの体の至る所に絡みついてる。怒った顔をしてね」

「うっ…、うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッッッ!!!!!!」

姉さんの言葉が終わるか終わらないかという内に、小堺は大声を上げて家から飛び出した。

「おい、小堺……!」

「行くな!あんたまでとばっちり食うよ!」

あとを追い掛けようとする俺の腕を姉さんが掴む。爪を思い切り立てて掴まれ、あまりの痛みに顔をしかめる俺。

「お前も馬鹿だね。あんな奴を家に上げるんじゃないよ。ほら、もう空気が淀んでる」

姉さんは清めだとか何とか言いながらキッチンに入り、食塩の入れ物を手に取った。蓋を開け、中身の塩を手で摘まもうとして、ふと止める。

俺は何も言えないまま、姉さんの行動を見守っていた。

「あ~あ。駄目だ、これは。お前はやっぱり馬鹿だよ。あんな奴連れてくるから、ほら見てみろ」

突き出された食塩の入れ物を覗くと、塩はぐっしょりと濡れていた。

その後、小堺がどうなったのかは知らない。

何度家に電話しても留守だし、学校にも来ていないのだ。担任も、小堺の親しい友人らも理由は聞かされていないらしい。

結局、あれから1度も姿を見せないまま、小堺は転校したと後から聞かされたんだが……。

真相は闇の中だ。

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姉さんシリーズを読みたくて最初から読んでました!
頑張って2018年まで読みます!

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お久しぶりです。まめのすけ。様。
覚えてらっしゃいますでしょうか?
恥ずかしながら前のアカウントの登録情報を完全に失念してしまい、
何も思い出せないのですが、
言葉遊びの風来坊だか、そのような名前だったと思います。

久しぶりに姉さんシリーズを読みたくなり、
再度登録してみました…笑
近頃は、年始があり多忙な為か活動はお出来になってないようなのですが
新しい話、待ち望んでおきます。
ゆっくりまめのすけ。様のペースで構いませんので、戻ってらしてくださいね。

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ngt kazu様。コメントありがとうございます。

以前からぼんやり構成していた話を形に出来、私としてもとても嬉しく思います。

主人公の姉さんは、私の理想像に近い人にしてみたかったんです。サバサバしていて、物怖じしない、ハッキリした性格にしたくて。私とは正反対な感じに(笑)。

100話目の投稿作ですが、以前より何度もコメントを頂いてる方や初めましての方からもコメントを頂け、とても嬉しく思います。

本当にありがとうございます。

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おぉ!なんかすごい話だな。
小堺冥福を祈る!

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死ん様。コメントありがとうございます。

小堺さん、「ごきげんよう」に出ていましたね(笑)。

創作の怖い話を作る時、実は名前決めが1番難しかったりするんです。
なるべく当たり障りのない、ありふれた名前にしようとは思ってるんですが……なかなかパッと出てこないので、いつも頭を抱えています。

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欲求不満様。コメントありがとうございます。

シリーズ化のお話、本当に嬉しく思います。
私も姉さんはお気に入りのキャラクターですので、幾つか話を掲載していけたらと思います。
温かいお言葉、感謝致します。

そのお言葉を励みに、更に努力を続けますので、今後とも宜しくお願い致します。

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*chocolate様。コメントありがとうございます。

小堺……一体、彼は何をしたんでしょうか。

心霊スポットなどに行った際、その場にある物を持ち帰ってはいけない、もしくはその場にある物を動かしたり、暴言を吐いたり、モラルに反した行動を取ってはならないと聞いたことがあります。

きっと小堺もモラルに反した何かをしでかしたのでしょう。
それがきっと、良くないモノの怒りを買ったのでしょうね。

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小堺なら「ごきげんよう」に出てるぞ

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シリーズ化して欲しいですね。
面白いです。

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小堺...何をしたんだ(||゚Д゚)w

それにしてもお姉さんは勇ましいですね。小堺に告げた言葉が率直過ぎて怖いw

お姉さんシリーズのお話、楽しみに待ってます!!(*´ω`*)

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端美豆様。コメントありがとうございます。

姉さんを褒めて頂き、とても嬉しく思います。

私は創作の怖い話を作る時、いつもオチがないんですよね(笑)。最終的にどうなったかということが詳しく書かれていないので、「続きはどうなるんですか?」と、読者様からよく言われます。

ネタが浮かべば、後日談として書くこともあるのですが、ネタ切れだとそのままにしてしまうことが多く……。申し訳ありません。力が及ばず……。

でも、私自身、男前姉さんはお気に入りですので、また彼女を主役としたストーリーを投稿させて頂くと思います。その時はどうぞ宜しくお願い致します。

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姉さん!
男前です!

その後の姉さん宅は大丈夫だったのでしょうか?
姉さん宅での物語はあったのでしょうか?
気になる
気になる☆
続き待ってます♪

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