おとないさん。【姉さんシリーズ】

中編3
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おとないさん。【姉さんシリーズ】

俺には4つ年上の姉がいる。艶やかな黒髪、色白の肌、すらりとした長身の日本美人的要素を持つ姉といえば聞こえはいいかもしれないが、そんな外観にそぐわず、中身はサバサバしていて男前だ。

そういえば、こんなエピソードがある。ついこの間、クラスの女子友達とメールしていたら、姉さんに携帯の画面を後ろから覗かれた。

「朝美って誰?」

文面を覗き見どころか盗み見したであろう姉さんに尋ねられ、友達だと答えると、姉さんは俺の手からサッと携帯を取り上げ、ベキリと折った。真っ二つに折った。

「ガラケーなんて時代遅れだよ。iPhoneかスマホに変えな」

茫然自失となっている俺に、姉さんはそう言った。姉さんは俺が女の子と仲良くなることが気に入らないのか、こうした嫌がらせをしょっちゅうしてくる。このことがキッカケで、今度はへし折られないようにとスマホにした。姉さんのことだから、へし折れない分、水没させようとするかもしれないから要注意だ。

これだけ話すと、とんでもなく性格がブッ飛んだ姉だと思われるかもしれないが。実は姉さんにはある特殊な力がある。

姉さんには「見える」のである。

この世ならざるモノが。

アヤカシが。

怪異が。

更に付け加えると、「見える」だけではなく、簡単な御祓いなら可能らしい。かくいう俺も、今までに何度か妙な体験をしているが、その都度姉さんに助けて貰っていたりする。

今から語るのも、そんな奇妙な体験談ある。ちょっとした暇潰しと思って聞いてほしい。

ある日のことだ。その日は両親が残業で遅くなるとのことで、家には俺と姉さんしかいなかった。姉さんが作った「奇妙な味のする夕食」を食べた後、俺はリビングでテレビを見ていた。

何気なく後ろを見る。リビングの扉が少し開いていた。物臭な俺は、ドアをきっちり閉めないという悪癖があった。トイレのドアとかも毎回開けっ放しにしておくので、母親から再三注意されているが、直らない。その時も「嗚呼、開いてるなぁ」とは分かっていたが、面倒臭くてそのままにしていた。

やがて、番組も終わり、そろそろ風呂にでも入ろうかと立ち上がる。その時、ふと視線を感じ、ハッと振り返った。

「んん?」

リビングの扉の隙間から誰かが覗いているのだ。姉さんかと思い、声を掛けたが返事はない。近寄って確かると、長い髪の毛を垂らした女が顔を半分だけ出してこちらを見つめていた。

女は俺と目が合うと、歯茎を見せてニヤリと笑った。異様に小さい黒目が上下左右あちこち動く。扉に掛けた手は骨張り、血管が浮き出ている。

ーーーこの人は、生きた人間じゃない。

そう分かった瞬間、俺は恐怖で大声を上げて叫んだ。

「ぎっ、ぎゃあああああああああああああああ!!」

その数秒後、姉さんが警棒を持ってリビングに駆け込み、俺の胸倉をむんずと掴んだ。

「何だ!どうした!とにかく落ち着け!」

「ね、姉さん……。警棒なんて、どこで手に入れたの」

「あー、これ?護身用にネットで買ったんだ」

「……」

何と恐ろしい。今やネットで何でも買える世の中とはいえ、警棒も買えるのか。鬼に金棒、姉さんに警棒。ともかく、予想外な姉さんの登場に幾らか落ち着いた。落ち着いたところで姉さんに今の出来事を話すと、

「そりゃ”おとないさん”だね」

「おとないさん?」

「無縁仏のことだよ。誰からも供養をされていないから、成仏出来ずにさまよっているんだ。おとないさんは隙間を好む。扉や襖が開けっ放しにされていると、人恋しくて覗いてしまう。覗くだけで基本的に悪さはしないけどな。隙間を作るということは、心に隙が出来てしまうのと同じなんだ。今回はお前にとっていい戒めになっただろう」

それからというもの、俺は徹底的に開けた扉は閉めるよう心掛けている。隙間を作ることは心に隙が出来てしまうことと同じ。幸い、あれからおとないさんに遭遇したことはないが、あなたも気を付けてほしい。

あなたが今いる部屋の扉は、きちんと閉められているだろうか。

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真後ろの押し入れ開けっぱ…

振り向いて閉める勇気がない(T△T)

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我が家のバスルーム、お風呂に入る時にどんなにしっかりドアを閉めても、出る時になると2〜3㎝薄っすら開いてるんですよね(ーー;)

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欲求不満様。コメントありがとうございます。

彼女が出来ると、姉さんは豹変するようです(笑)。命が惜しければ、他の女の子て仲良くしないほうがいいかもしれません。

助間は怖いですよね。あれって、何であんなに怖いのでしょう。常に誰かが覗いているからでしょうか。

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やはり彼女が出来ると、弟君が怖い目に会うのですね。

奇妙な味の夕飯は笑いました。

隙間は昔から私も嫌いなので、よく子供に注意しています。

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端美豆様。コメントありがとうございます。

御主人様もそうなのですね(笑)。私も時折、開けっ放しにしてしまうことがあります(笑)。

弟君が結婚相手を連れてきたら……うーむ。言葉にするのが躊躇われるくらい、とんでもないことをしでかしそうです(笑)。

弟様がいらっしゃるのですね。私にはいないので、とても羨ましい。兄や姉、妹や弟がいたら、きっと楽しいのでしょうね。

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うちの宿六と同じ悪癖をお持ちでw
隙間は本当に覗かれている様で嫌です

でもネェさん…
携帯可哀想w
ただ弟を持つ身(血はつながってますょ)としては彼女にイヂワルしたくなる気持ちは分かるかもww
かくゆう私もイヂメタ口ですw

もし弟君が結婚相手連れてきたらどーすんだろwww

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死ん様。コメントありがとうございます。

たった今、死ん様のコメントを読み、深く感銘致しました。目から鱗です。

おとないさんの本質を見事に分かっていらっしゃる。

隙間を作ることは心に隙を生むこと。ちょっとした気の緩みであったり、油断から生まれる隙。それを戒めるために、おとないさんという霊が生まれたのかもしれませんね。

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おとないさんというのは、この話しのとおり
人のちょっとした心の隙を衝くことへの
戒めからきた霊でしょうな。
だから、隙ではなく全開にしていれば
相手も用心して近寄って来ないってことですな

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鷹司様。コメントありがとうございます。

コメント返しの順番がズレてしまい、申し訳ありません。

私は逆に密室空間が苦手だったりします。トイレに入る際には鍵は閉めるんですか、早く出たくて仕方ないくらい密室空間が苦手なんです。

閉所恐怖症とまではいかないんですが、どうにも慣れませんね。密室は。

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*chocolate様。コメントありがとうございます。

姉さん……どんどん男勝りになってきております(笑)。女子力が低いところは私と同じ…(笑)。

ホラー映画が好きと言うだけで、友人から「お前はつくづく女らしくないね」と笑われるんですよ。何気に凹みます。

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匿名様。コメントありがとうございます。

携帯が壊れるとショックです。本当、あれはキツイ……。

私は過去2回、携帯を破損させました。あの時は電話が繋がらなくて本当に困りました。

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死ん様。コメントありがとうございます。

おお…。大丈夫ですか?泥棒とか入りませんか?

かくいう私も、戸締まりを怠って外出してしまうことが度々あり、友人に「不用心過ぎる!」と叱られております(笑)。

ついつい、忘れてしまうんですよね。
戸締まり。

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隙間怖いです(;_;)思わず部屋の扉閉まってるか、確認しましたw

今回も男勝りで恰好いいお姉さんでした♪

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チェリッシュ様。コメントありがとうございます。

何だか前置きが長く、肝心な部分が呆気なさ過ぎでしたね。まだまだ力量不足で、失敗が多く申し訳ありません。

少しずつ精進出来るよう頑張ります。

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自分はマンションに一人暮らしだが
ちょっと近くのコンビニにどころか
朝から仕事に出かける場合でも
玄関にカギしなかったり、
窓を全開にして出かけたりと
おとないさんもビックリですわ
わっはっはっは

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ちょっと短い感じもするかもです笑笑
ネェさんシリーズ毎回楽しみにしてまあーす

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うわあ…
今俺、トイレのドアちょいと開けながら読んでた…
読んでる途中、怖くなって思い切り閉めたわw

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ngt kazu様。コメントありがとうございます。

確かに今回の姉さんは喋り過ぎでしたね(笑)。
少し修正を加え、要らない部分は出来るだけ削減してみました。あまり変わっていないかもしれませんが……

今回は説明文が多く、だらだらとしてしまいました。ただ、あまり説明文を削除してしまうと、おとないさんがどういうものか伝わらないような気がしまして。不出来な作品で申し訳ありません。

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姉さん、実は血縁のない弟に惚れているのか?(笑)

今回の姉さん、少し喋りすぎの感が…

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