1私はその日自殺しようとした。
動機は過去の自分が許せないのだ。
私は一人のクラスメイトをいじめていた。
理由は目が気に入らなかったからだ。
彼女は勉強がかなりできる子で成績上位者に名前をつらねていた。
その勝ち誇ったような目が気に入らない。
私は彼女とは逆で勉強が全くできない。
彼女の目は私の劣等感を刺激した。
私は数人の女子と彼女をいじめた。
彼女の所有物を盗み燃やしたり靴に画ビョウを仕込んだりした。
今考えれば馬鹿な話だ。
自分が嫌になる。
彼女へのいじめは徐々に悪化していった。
殴る蹴るの暴力をやりはじめたのが今から三ヶ月前。
彼女は最後まで泣かなかった。
強い子だ。
だが、その態度が気に入らなかった。
いじめは続き彼女は自殺した。
それがちょうど一ヶ月前だ。
それから私のまわりで怪奇現象がおきはじめた。
物が勝手に動いた。
常に何者かに見られている気配を感じる。
そして、金縛り。
その金縛りの最中例の彼女があらわれた。
彼女は片腕が変形し頭からは脳みそがたれ床を汚した。
その変形した腕で首をしめてくる。
脳みそが服に垂れる。
ドッとした 。
辺りをビニール袋を焼いた時のような悪臭がたちこめていた。
彼女は例の勝ち誇ったような目を私にむけた。
意識が徐々に薄れていく。
朝おきた時昨日の出来事が夢ではないことを知った。
服に脳みそがこびりついていたのだ。
それから毎晩のように同じことがおきた。
私は自分のしてきたことを後悔した。
私は例の彼女の親に謝罪しにいった。
だが、その親はどこかおかしかった。
いじめていたことを告白しても反応は特になくだからなに?といった。
私は家を出た。
私は彼女にしてきたことを思い出した。
吐き気がした。
自分はなんて馬鹿なことをしたのだろうと後悔した。
そして、彼女の家のことを思い出す。
彼女の家には彼女の私物がほとんどなかった。
彼女の部屋を見せてほしいといったがそんなものはないといった。
彼女はいったいどういう人間なのだろうか?
私にはわからなかった。
死にたい。
突如ネガティブな感情がわく。
それはスライムのようにじめじめとしていて私の心にまとわりついた。
死のう。
そして、現在目の前には首を吊るためのロープ。
ロープに手をかけたとき突如なにもない空間から手があらわれた。
私はドキッとしそれを凝視した。
それは10歳くらいの男の子だった。
「死ぬならそのまえに協力してよ」
少年はいった。
は?なに。
協力しろって何?
なんでこんなタイミングであらわれたの?
「今から君には過去にいってもらう。いいかい。君は過去を変えるんだ。死んだ彼女の死を全力でなかったことにするんだ。君にはそれができるしなにより君の運命だ。拒否は、できないよ」
死をなかったことに?
そんなことできるのか?
第一彼女の死を回避する意味はなに?
「簡単にいうと彼女は強力な悪霊になりつつある。彼女はまわりの霊魂を吸収している。ほっとけばこの町ひとつを飲み込みかねない」
意味がわからない。
彼女は私以外にも危害を加えるようになるというのか?
「そういうこと。本当はこういうことはリムの仕事なんだが彼女は今別の用件で手がはなせない。だからこそ君にたのんでいるんだ」
たのんでいるというより強制してなかったか?
というより過去に戻ることなんてできるのか?
「できるよ。七大神の一角ガイム様をなめちゃいけないよ。きみ。時間を司る僕に不可能はないよ。いやあるんだけどね」
え?なに?神様なの?この子。
「失礼だね。過去の君は重複しているので存在を無効に。簡単にいうと現在の君を過去に送ると同じ存在が二人いることになるだろ?だから過去の君の存在を一時的に無効。ようするに凍結するんだ。君が過去にいる間。じゃないと大変なことになる。細かいことは存在の神リムがやってくれるはずだから安心して」
でもどうして私なんだ?
神様ならそんなこと簡単に出来そうなのに。
「君しかできないよ。君は後悔しているんだろう?やるしかないじゃないか。彼女も救い自分自身も救うんだ」
確かに私は後悔している。
私がまわりを巻き込んで彼女をいじめた。
やるしかない。
「いい目だね。僕は好きだよ。人間のそういう所。ではいってらっしゃい」
2気がついた時私は学校にいた。
友達に今日が何日か聞く。
半年前だった。
無事に過去に戻れた。
私は安堵し例の彼女を探した。
いた。
自分の席で本を読んでいた。
私は放課後彼女を屋上に呼び出した。
彼女はきちんときてくれた。
私が未来から来たこと。
私は彼女が自殺してしまうこと。
私がいじめていたことを告白した。
彼女は目をパチクリさせ私の話をきいていた。
「あなたが私のこと嫌いなことなんてはじめから知っていたわ」
彼女は話を続けた。
「死ぬなら別にいいじゃない。私なんていきていてもいなくても一緒でしょう?」
私は慌てた。
本人の了解が得られないことには過去は変えられない。
「私は嫌なのよ。私が殺したみたいじゃない」
彼女は例の勝ち誇ったような目を私にむけこういった。
「あなたのせいじゃないわ」
私は動転した。
「どういうこと?」
私は彼女にきいた。
「私の父が殺したのよ。きっと」
驚愕した。
父親に殺されたですって。
確かに彼女の死は高所からの飛び降りだった。
自殺とも他殺とも簡単には言えない。
だが、私のいじめの件もあり完全に自殺だと思い込んでいた。
「それに私は自殺なんて絶対にしないわ。それにね。彼は異常者なのよ。私は彼専用の地下室で何人もの白骨死体をみたことがあるのよ」
白骨死体?
何故警察に通報しないのだろう。
それに父親のことを彼なんて呼ぶなんて不自然だ。
「警察に言えば私は彼に殺される。ああ何故父を彼と呼ぶかってことに答えないとね。私はあの男が嫌いなのよ。前科もちだし、精神異常者だしね。」
前科もちというのは私なんかに話していい内容なのだろうか?
そういえば、全く無関係だと思って忘れていたが、ここ二年のうちにこの臥薪町で何件も行方不明事件がおきていた。
「間違いないわ。彼がやったのよ。私は彼を止めたい。力貸してくれる?」
私は承諾した。
でも、そんなことしたら父親に殺されるんじゃないのか?
「さっきの私が死ぬ話を聞いて吹っ切れたのよ?どっちみち死ぬならいいことして死にたいじゃない?」
3すぐに警察にいくとばかり思っていたが違った。
「現行犯で捕まえるのよ。そのほうがいいわ」
私は彼女のしじに従った。
まずは過去の行方不明事件の情報にあたった。
情報は、かなり少なかったが行方不明者は全員女性ということがわかった。
行方不明になった時刻は数少ない証言から夕方がもっとも多い。
私たちは徹底的に彼を見張った。
彼はなかなかしっぽを出さない。
諦めかけていたそんなある日のこと。
ついに彼は動き出した。
一人の女性をいきなり気絶させ車にのせて走り出した。
私たちは自転車で追いかけた。
私たちは遅れながらひとつの小屋にたどり着いた。
「そこまでよ。お父さん」
彼の眉間に皺がよった。
「明里。なにやってるんだ」
彼の怒声が小屋中に響く。
彼はいきなりなぐりかかってきた。
彼女はかわし彼に蹴りをいれた。
ぐぁとうめく彼に後ろから打撃。
彼は近くにあった鉈を振り上げた。
私はギリギリまで引き付けかわし全力で殴りつけた。
彼女は彼の鉈を離した隙をつきロープで両腕両足を縛り上げた。
私は空手部。
彼女は剣道部。
日々鍛えていたかいがあったというものだ。
彼は逮捕され連続殺人事件は解決した。
4私が帰る日がきた。
彼女はそんな私にありがとうと言った。
「良かったら私と仲良くしてあげて」
彼女は頷いた。
だが、そこで疑問が生じた。
今から未来にもどると過去の私は彼女を、やっぱりいじめるのではないか?
「心配ないよ。過去の君に現在の君と同じ記憶を植え付ける。だから問題ない」
良かった。
私は安堵し彼女と握手した。
「また未来で会いましょう」
私は心の底では彼女と友達になりたかったのではないかと考えた。
もう、考えるのはやめよう。
彼女とはきっとうまくやれる。
今ならそんなきがする。
作者月夢改
皆さんは過去の自分が許せない時はありますか?
私は恥ずかしながらたくさんあります。
これは作り話ですがもしあなたの過去が変えることができるとしたらどうしますか?
これは私からの皆さんへの問いかけです。
意見は常に募集中です。
つまらないなどなんでもけっこうです。
追記
読んでくださった皆様申し訳ない。
致命的な欠陥を見つけたので修正致しました。
過去の自分の存在を一時的に無効化するという箇所です。
本当にごめんなさい。