皆さんは死神を信じるだろうか?
幽霊を信じても死神は存在しないと思われている方が結構おいでになる。
多分・・・大きな首狩り鎌を持った姿を想像して異国のオカルトだと勝手に思われているのだろう。
同じ問いを私が投げ掛けられたなら・・・
「判らない」と答える。
何故なら私が見ているモノが果たして死神という存在なのか疑問だからだ。
私の見るソレは人型では無く大きな首狩り鎌も持っていない。
しかし、人の死に直面する時には必ず現れる。
それも2種類・・・
私がおそらく死神であろうと考えているソレは「黒雲(くろくも)」と「白雲(しらくも)」である。
私が勝手に呼んでいるだけで正式名称は判らない。
ただ、見える人にはそれで話は通じる。
私の経験上・・・
「黒雲」は寿命で亡くなる時(病気、老衰)
「白雲」は違う要因で亡くなる時(怪我、事故)に現れる。
本日現れたのは「白雲」なので、その話をする。
午後3時、私は旭川市内の某所を車で移動していた。
国道でもあるその道は片側2車線、両サイドにはホームセンターやスーパーが立ち並び車通りも多い。
次の営業先に向かっていたのだが、赤信号に阻まれ内側車線の先頭で止まった。
すかさず営業日報を書く。
秋の西陽が眩しく目を細めながらタバコに火を点けた。
窓を少しだけ開けてみたが西陽のせいで車内が暑く、止まっている間だけでもと思い窓を全開にした。
今日の最高気温は14℃・・・少し肌寒い。
歩行者信号が点滅し赤に変る。
自転車のおばちゃんが堂々と横断・・・
対面の信号が青に変った。
アクセルに足を掛けたのだが電動アシスト付自転車に乗った爺さんが左側から結構な勢いで渡って来た。
慌ててブレーキを踏む。
「死ぬ気か?じじい!!」
ん?!
「白雲」・・・
爺さんに「白雲」が憑いている。
とっさに右ミラーを見る。
信号の変わりばなに右折しようとヤン車が突っ込んでくるのが見える。
私の車が死角となり爺さんに気付いていないのだろう。
クラクションを鳴らすが耳が遠いのか爺さんは振り向きもせず止まる気配も無い。
最後の手段・・・
私は運転席のドアを「ガバっ!」と開けた。
「キキィーーーーーー!」
ヤン車は急ブレーキで停車した。
直後、ヤン車の前を爺さんが悠々と通り過ぎていった。
文句あり気なドライバーもその光景を見て開けかけたドアを「パタン」と閉めた。
先ほどまで憑いていた「白雲」は爺さんから離れ私の車の上を3度廻り消えた。
爺さんを連れて行く筈が・・・
私に文句を言いたかったのだろう。
だが、そんなことは気にしない。
私はまた・・・
同僚がやらかしたクレームの言い訳を考えながら車を走らせた。
作者andy兄
本日、クレーム処理で車を走らせていた時の出来事です。
短編で収める予定でしたが少々オーバーしたみたいで・・・
短いので時間があれば読んでみてください。