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住職さんが亡くなって3日…
私は魂が抜けたように過ごしていました。
あんなに優しかった住職さん…
いつも一緒にピエロと戦ってきた住職さんがいなくなってしまった。
心に大きな穴が開いてしまったようだ。
モミジは見る見るうちに元気になり、今日退院する。
モミジはショックのせいか、ピエロのことは覚えていないそうだ…。
しかし、ピエロという言葉を聞くと異常に怯えるらしい。
そして未だに存在し続けている憎きピエロ。
必ずまた私の前に現れる…
しかし今はもういつも助けてくれていた住職さんはいない。
私は毎日泣いていました。
コンコン - - -
「マイ?入るわよ?」
お母さんが様子を伺うように部屋に入ってきた。
「お母さん…、次ピエロが現れたら…私、どうなるのかな?」
一点を見つめながらそう言った私の横に腰を下ろし、何かを差し出してきたお母さん。
「住職さんからマイにお手紙が届いたわよ」
そう言って、真っ白の封筒を渡された。
「…え?…住職さんから?」
私は驚き、まだ中身を見ていないのに、住職さんからの手紙が届いたという事だけで嬉しくて、ボロボロ涙を零した。
涙で字が滲まないように、袖で何度も涙を拭いながら手紙を読みました…。
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マイちゃんへ。
今、マイちゃんがこの手紙を読んでいる頃、ワシはもう空にいる頃かのぅ。
最後までマイちゃん守れんことだけが、ワシの心残りじゃ。
すまんのぅ。
ワシはピエロに負けてしもうたんじゃ。
じゃが、モミジちゃんを助けてあげられた事、それだけが救いじゃ。
ただ最後に一つ、マイちゃんにだけは伝えておきたい事があったんで、最初で最後のおじいちゃんからのラブレターを許しておくれ。
ピエロがワシの前に現れたのは、モミジちゃんが病院に運ばれた日じゃ。
ピエロはワシにモミジを助けて欲しいならワシの命を捧げろと言ってきた。
ワシは、命を捧げる代わりに、モミジちゃんを助ける事と、マイちゃんに手を出さんことを約束しろと言った。
しかしピエロはどちらかを選べと言ってきた。
…もう分かってると思うが、モミジちゃんを助ける事をワシは選んだんじゃ。
ワシは信じとる。
マイちゃんは強い子じゃ。
ピエロに何度襲われようとマイちゃんは必ずピエロに勝つと。
そしてピエロは最後にこう言った。
『マイの大切な人、邪魔するものは全員マイ共々お前の元へ送ってやるから安心しろ』と。
気をつけなさい。
ピエロはマイちゃんだけじゃなく、マイちゃんの大切な人にまで手を出そうとしとる。
落ち込んでる場合じゃないぞ?マイちゃんがみんなを助けるんじゃ。
ワシはもう何もしてやれんが、ワシの代わりにサポートしてくれると約束した者も、今頃は寺に着いておるはずじゃ。
そいつはワシよりも力になってくれるじゃろう。
困ったらそやつを訪ねなさい。
何も恐れることはない!必ず勝て!ワシはいつでもマイちゃんの傍におるからの。
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手紙を読んだ後、私はただただ泣いた…
住職さんはもう本当にいないんだと思い知らされたから。
だけど…
「お母さん、私、必ず住職さんの敵を打つ!!そしてもうこれ以上、誰も失いたくない…」
私は涙をボロボロ流しながらお母さんの顔を力強く見つめた。
お母さんはただ頷いて、私の肩を摩ってくれていた。
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プルルルル ---
家の電話が鳴りお母さんが電話を取りに行った。
階段を降りていってすぐまた階段を上ってくる足音が聞こえ、お母さんが慌てた様子で部屋に入ってきた。
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!?
なんという事でしょう…。
お母さんのすぐ後ろにナイフを振りかざしたピエロがニヤニヤしながらこちらを見ているではないか…。
私の大切な人…
まさかお母さんを!?
「やめろーーッ!!」
私は大声で叫んだ。
お母さんはびっくりした顔をして後ろを振り向いた。
「キャアアァァアッ!」
お母さんは悲鳴を上げ、その場に力なく座り込んだ。
「お母さんに手を出すなーーー!!」
私は必死にピエロに飛びかかるが、ピエロと私の間に見えない壁があって跳ね返されてしまう。
ピエロに指一本触れることができない…。
まるで私が透明人間になっているかのように、お母さんにも触れない。
通り抜けてしまう…。
『…あーあ 残念♪ まずは一人目~ キヒヒ♪』
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ザシュッ ザシュッ ザシュッ - - -
そう言って何度も何度も笑いながらお母さんの身体にナイフを突き刺すピエロ…。
「いやぁぁああああ!!やめてぇぇぇええッ!お願いだからぁあ…」
私はどうすることもできずただただ泣いて叫び続けた。
お母さんはもう動かなくなっていた。
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ドタ ドタ ドタ - - -
!?
突然、階段を駆け足で上ってくる足音が聞こえてきた。
その瞬間、ハッとして辺りを見まわした私。
その光景はさっきと変わらない私の部屋。
しかしそこにはお母さんの無残な姿も、ピエロの姿もありませんでした。
唯一変わっているとすれば、私が部屋のドアの前で泣き崩れているという事です。
ガチャッ - - -
「マイ!?どうしたのッ?大声で叫んだりして…」
そう言って勢いよく入ってきたのはお母さんでした。
元気なお母さんの姿で部屋に入ってきたのです。
私はお母さんに勢いよく抱きつきました。
「マイ…、怖いことでもあった?」
優しく私に問いかけてくれるお母さんに私は何も言いませんでした。
これ以上お母さんに心配をかけたくない。
次に泣くのは嬉しい時だけにするからと心に決めて、今はただお母さんの腕の中でワンワン泣いた。
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私が落ち着くとお母さんが言いました。
「マイ、さっきハルナちゃんのママから電話があったの…。ハルナちゃんはマイには言わないでって言ってたけど、心配で電話をくれたんですって!」
「ハルナちゃん!?何かあったの?」
「最近、ハルナちゃんの夢に、ピエロが現れるんですって。でも別に怖いことするわけでもなく、風船を配ってたり、何か曲芸をしていたり…、だから昔の事とは関係ないかもしれないけど一応って連絡をくれたの…」
お母さんは私の反応を伺いながら話してくれた。
「そっか…。今回の事と関係ないといいね…」
いや、恐らく関係ある…。
私の大切な人…
友達ってことかも知れない…。
さっきだって…
あれは夢なんかじゃない…
幻?幻覚?現実に近い幻覚だ…。
現に私はドアの前で泣いていた。
でも…幻覚でよかった…。
もしさっきの事が現実だったら私はもう立ち直れなかったでしょう。
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翌日私はハルナちゃんとケンタ君とリョウ君を近所の公園に呼び出した。
3人は私の親友で前に一度、私と一緒に、ピエロに襲われたことがある。
「最近何か変わったことない?」
私は3人に確信をつかない程度に話を聞いてみた。
ケンタ「最近、俺寝れないんだよなぁ」
リョウ「ゲームのしすぎだろ!!」
ハルナ「…アハハ」
3人はモミジの事、住職の事を何も知らない…。
私は意を決して最近起こった出来事を3人に話した。
従姉妹のモミジが狙われ、現実に影響してたこと…
4年生の連続不審死はピエロの仕業だったこと。
住職が亡くなったこと…。
そして今、みんなが危険にさらされているかも知れないという事…
3人は私が話している間、ずっと黙って話を聞いてくれていた。
住職が亡くなったと話すとハルナちゃんは肩を震わせて泣いていた…。
「だからもし、何かあれば全員で共有したいの。ちょっとでもおかしな事があったらすぐに報告し合うって約束して!」
私は必死に3人に訴えた。
「マイ…大変だったんだな…」
リョウ君はそう言って泣いていた。
ケンタ君は眉間にシワを寄せ、2人とは逆に怒っている様子だった。
「ピエロの野郎…好き勝手しやがって…」
そう言って、下唇を噛み締めている。
そしてハルナちゃんがゆっくりと話しだした。
「…最近ね、私の夢にピエロが出てくるの…。前みたいに怖いことはしてこないけど、昨日、夢の中でピエロに話しかけられたの…。」
「なんて?」
「…僕の手伝いをしてくれれば君を守ってあげるって…。私怖くて…」
ハルナちゃんは肩を震わせて泣いた。
私はハルナちゃんを優しく抱きしめた。
「話してくれてありがとう」
そう言って、泣き止むまで私達は無言でその場を離れなかった。
「…マイちゃん、私、絶対にみんなを裏切ったりしないからね?」
ハルナちゃんはそう言って、ニコッ無理矢理笑った。
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!?
この感じ…
視線を感じ、振り返ると、ピエロがブランコに乗って無表情で私達をジッと見つめていた。
さっきまでは沢山人がいたのに今は誰もいない…。
「ピエロがいる…」
私の言葉に3人の身体がビクッと跳ね上がった。
私の視線の先にそれぞれが視線を移した。
ケンタ「…マジかよ…」
リョウ「………」
ハルナ「…やだ…怖いよ…」
どうやら3人にも見えているらしい。
ユラユラと揺れているブランコがピタッと止まり無表情だったピエロの顔がニタァっと不気味に歪んだ。
そしてピエロの身体がグワンと浮き、紐で吊るされているような感じでユラユラ身体を左右に揺らしながら手足をブランとさせ、私達の方に徐々に近づいてくる。
ハルナ「いやぁ…ッ来ないでぇ…」
震える小さい声でそう言って私の後ろに隠れたハルナちゃん。
『ピエロはね♪裏切り許さな~いホントだよ? だから裏切ったーら……』
《さっちゃんはね》の歌のリズムに合わせて歌い始めたピエロ。
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そしてピタッと歌うのをやめた瞬間、般若のような恐ろしい顔に変わり、グッと一気に私達との距離を縮めてきたピエロ。
!?
身体が動かない…金縛りだ
私の視界に入っているケンタ君もリョウ君も全く動かない。
そしてピエロは私の背後にいるハルナちゃんの方に回り込んだ。
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一体後ろで何が起きているのか…
ハルナちゃんは無事なんだろうか…
全く状況が掴めず、全神経を耳に集中させた。
ビンッ - - -
すると糸を弾いたような音が微かに聞こえた。
『キヒヒ 失敗したなぁ 見せてあげればよかったかなぁ コイツの最後を 』
「ひっ!?」
突然私の頭上から涙と血でグシャグシャになった首から上の部分だけのハルナちゃんの顔が現れた。
ハルナちゃんの髪の毛を鷲掴みにして私の顔の前でブラブラと揺らしながらニタァと笑っているピエロ…。
『ギヒヒヒヒヒ イヒヒヒヒヒ♪ その顔が見たかったんだよ~~♪』
悔しさと怒りと悲しみで歪んでいる私の顔を見て喜んでいるピエロ。
『ん~ まだまだ足りないねぇ~ …』
そしてまたピエロの表情は無に戻り、ハルナちゃんの頭をゴミを投げるように私の背後に投げ捨て、その瞬間ピエロの姿もパッと消えた。
ハッとして、その瞬間身体に自由が戻り、視界に入っていたケンタ君とリョウ君も動きだした。
ケンタ「あれ?ピエロは?」
リョウ「今さっきまで俺たちに向かってきてたよね…」
!?
ハルナちゃん!?
私は勢いよく振り向いてハルナちゃんを見た。
「…ピエロは?」
ホッ…
涙で顔はグチャグチャになっていたが、ハルナちゃんは生きてた…。
一気に力が抜けて私はその場に座り込んだ。
ハルナ「マイちゃん!?大丈夫?」
ケンタ「ピエロに何かされたのか?」
リョウ「え?なになに?何があったの?」
3人は金縛りというより、一時停止に近い状態にされていたらしい。
途中から記憶が一気に飛んでいるようだ。
突然座り込んだ私に驚き、動揺している3人。
私はピエロがハルナちゃんに何をしたのかをみんなに話した。
ハルナちゃんはガクガク震えて、精神崩壊寸前になっている…
私達は話し合い、住職さんがいない今、頼れるのは住職さんが言っていた代わりの人しかいない。
今日はそれぞれ帰宅し、親に事情を説明して、明日学校を休んでお寺に連れて行ってもらおうという事になった。
そしてもちろんそれぞれの親はピエロの恐ろしさを知っているので、拒むものはいなかった。
翌日 - - -
お寺に着くと、住職さんがいなくなったせいなのか…
お寺の雰囲気はガラッと変わっていた…
いつも綺麗にされていた階段やお寺の周りは落ち葉が大量に落ちていて
心なしか空気も重い…
いつもは気にならなかったお寺を囲む人形も不気味に感じた。
「すいませーん!!誰かいませんかー?」
「………」
私の呼びかけに返事が返ってくる様子はない。
「ごめんくださーい!ご相談があって参りました!」
「………」
お母さんの呼びかけにも応答はない…。
もう一度呼びかけようと息を目一杯吸い込んだ時だった。
「はいはい、聞こえてますよ~」
そう言って奥から現れたのは、やる気のなさそうな20代半ばくらいの若い男の人だった。
頭をボリボリ掻きながら、寝癖頭で現れたこの男…。
コイツが住職さんの言っていた力になってくれる人なの?
私だけじゃない…
ここにいる全員が思ったであろう…
こんな奴、信用できないと…
「コラコラ~、人を見た目で判断するのは良くないね~?」
!?
誰一人何も言ってないのに、若い男はまるで心の声が聞こえているかの様に話した。
まさか…偶然だよ…
「偶然か、それとも本当だったりして~!な~んてね、とりあえずお入り下さいませ~」
そう言って私達を中へ招いた男。
本当に心の声が聞こえているのかも…。
私は試しに心の中で言ってみた。
《変人》
すると男は
「あは♪よく言われる~!」
!?
本当に返答した。
この男は本当に心の声が聞こえるらしい…。
それにしてもこの男…目が…?
「そうなのー。俺、生まれつき目が見えないんだ、その代わり心の声が聞こえるっていう不思議な力を持ってるわけ。」
一点だけを見ながら話す彼の目の動きに不思議に思っていると男はそう答えた。
「…じいさんから話は聞いてるよ~。まぁ厄介なもんに好かれたな…」
そう言って、目を瞑った男。
「んー、なるほどね…、あぁ、なんとまぁ~…」
一人でブツブツ喋り始めた男。
「あの~…、お名前をお伺いしても…?」
お母さんが申し訳なさそうに言った。
「おっと!?まだ名乗ってなかったか、これは失礼…、私の事はガクとお呼びください」
「ガクさん…、今は何をされていたんですか!?」
ハルナちゃんのお母さんが聞いた。
「マイの記憶の中を覗いたんですよー、まぁ怖い思いしてますなぁ。じいさんからは聞いていたけど、かなり強敵だなぁ、このピエロ。」
そう言って、突然その場に横になり寝始めたガクさん。
「…え?ちょっと?…何してるんですか?」
すかさずお母さんが言った。
「え~?あぁ、俺、力使いすぎると起きてらんないんですよね~…もう今日は帰っていいですよ?ピエロは今日現れないですしー、俺も今日はもう起きませんから~♪」
それだけ言うと本当に寝てしまったガクさん。
いくら話しかけても起きない…。
仕方なく私たちは帰ることにした。
今はこの人の言う通りにするしか方法はない…。
頼りないし、不安だらけだけど…ガクさんは住職さんが頼っていい人だと言っていたから
私は住職さんを信じ、大人しく帰ることにした。
そしてガクさんの言う通り、今日、ピエロは現れませんでした。
翌日 - - -
祝日だったので元々学校はお休みでした。
私達はまたお寺へ向かいました。
道中、3人にも聞いてみたけれど、やはりピエロは誰の元にも現れていないそうです。
お寺に着くと、腕を組んで仁王立ちしているガクさんが入口に立っていました。
「来ると思っていましたよ~、さぁさぁ中へどうぞ~」
そう言って、私達を広間まで通してくれたガクさん。
「昨日、ガクさんの言う通り、ピエロは誰の元にも現れませんでした。」
第一声に私が言った。
「言ったろ?ピエロは今日は現れないって。昨日ピエロは俺と一緒だったんだ」
!?
「一緒だったってどういう事ですか?ピエロがガクさんの夢に入ってきたんですか?」
リョウ君が興奮気味で言った。
「ん~、まぁ簡単に言うと、みんなの夢の入口に結界を張ったんだ。そして俺は君たちの夢に入ろうとするピエロに付き纏って悪さをしないように見張ってたってわけ。パトロールをしてたって言えば分かるかなぁ?」
ガクさんの言葉に私達はポカンと口を開けて固まっていた。
「…よく無事でしたね?」
最初に口を開いたのはケンタ君だった。
「まぁね。俺までやられたら、じいさんの代わりに来た意味ないでしょ?笑」
そう言ってクスクス笑ったガクさん。
あのピエロを逆に追い掛け回したなんて…何者なの?
「あッ、大事な事言い忘れるところだった!ピエロをやっつける方法見つけたよ~♪」
あっさりそう言ったガクさん。
長い期間ピエロに苦しめられてきた私達にとって、ガクさんの言葉に耳を疑った。
「本当…ですか?…てかやっつけられるんですか?」
ハルナちゃんは不安そうに小声で言った。
ガク「まぁね、単純なことさ…、ピエロの存在をないものとすればいい。そして自分自身の感情を無にすることだ」
母「あのぅ、もっと分かりやすく説明して頂けないでしょうか?」
お母さんの言葉に腕を組んでウ~ンと考えて口を開いたガクさん。
ガク「ピエロのエネルギー…、まぁご飯としよう。それはなんだと思う?」
私「私達の命…ですよね?」
ガク「最終的にはね、でもその前によく思い出してみて?ピエロは最初、何の力もなかっただろう?そして徐々に力を増してきている…。今となっては現実にまで影響する程に…、しかし何故最初と今のピエロはこんなにも力の差があるんだと思う?」
確かに…、一番最初、ピエロは喋れもせず、夢に色もなかった…
私「何かをエネルギーにして力を増幅させているんでしょうか?」
ガク「正解♪それは心さ。ピエロは人間の恐怖心や絶望感、憎しみや歪んだ感情をエネルギーにしているんだ。最初はピエロに恐怖心など抱いてなかっただろ?」
私「はい…、昔はピエロ、好きでした」
ガク「今はどうだ?ピエロと聞くだけで怖くないか?」
私「はい」
ガク「それがピエロのご飯だって事!分かる?最初は人形に乗り移っていなきゃ動けなかったピエロが今は何かに乗り移る必要もなくなっているだろ」
確かに…
初めてピエロが現れた時、私は6歳
凄くピエロが好きでピエロと夢で遊べたのが嬉しかった…
二回目にピエロが現れた時は私にピエロの記憶がなかったけど…ピエロの事、嫌いで不気味だと思ってた…。
ハルナちゃんやケンタ君、リョウ君達も巻き込んで、危うく大事な親友の3人を失う所だった…。
そして今回はモミジ…
モミジは当時、学校でイジメにあっていて、親やクラスメイトを憎み、歪んだ感情を強く持っていた。
モミジが刺され、絶望的になった私の前にピエロが現れて住職さんや叔父さん、叔母さんを目の前で虐殺していった…。
もう人形はモミジに包丁で刺されてないはずなのに…
…ガクさんの言う通り、私達の負の感情が大きくなればなる程、ピエロの力は強大になっていった。
まさか…、こんな簡単なことにも気づかなかったなんて…
もっと早く気づいていれば住職さんだって助かっていたかもしれないのに…。
「こらこら、今教えてあげたでしょ?自分を責めたらダメだって。その気持ちや考えが、ピエロのご馳走になってるんだよ~?」
!?
そうだ…ガクさんは心が読めるんだった…。
そうだよね…、過去のことはどうしようもない。
未来の為に、強くならないと…。
ガク「いいかい?次にピエロが現れても、動じるな。怖いと思ったりしたらピエロは更に力を増すからね~。次、君たちの誰の前に現れるかまでは俺にも分からないけど、強くなれ。爺さんの敵を打ちたいならピエロに勝て。それがピエロをやっつける方法だ」
住職さん…
私達は必ず勝ちます…
ピエロなんか怖くない、人の負の感情を食いモノにするなんて…弱い奴のする事だ!!
見てて、住職さん。
次が、私とピエロの最後の戦いになる…
私とハルナちゃん、ケンタくん、リョウくん
そしてガクさんと一緒に、誰一人欠けることなく勝って見せるから…。
見守ってて下さい…。
作者upa
。・:*:・゚Merry Christmas♪
いよいよピエロとマイの最終決戦に近づいてまいりました。
この話は『ピエロシリーズ』を読んできた方でないと楽しく読んで頂けないかもしれません。。
またまた誤字脱字あれば優しく教えて下さい(´・ω・`)
いつも長編になってしまっている『ピエロシリーズ』を閲覧して下さっている皆様
心から感謝御礼申し上げます。
『ピエロシリーズ』5作目です♪
そしてv(゚∇^*)>o⌒☆merry X'mas☆ミ
※コメント欄にネタバレ含んでますのでドキドキしたい方はコメントは読まず、本編をご覧ください♪