これは僕が小学生の頃の話だ。
小学生の頃は無邪気でやんちゃでやりたい放題だったのを覚えている。
ある日、友人Tと友人Yとその他の友人3人ほどと遊んでいた。
僕の町は田んぼなどがある田舎町で田んぼでヤゴやザリガニ、タガメなどをタモで捕まえて遊んでいた。
田んぼがあるということは必然的に案山子があるのだ。
子供の頃はかかしは不気味な存在だったのではないだろうか?
僕は案山子に何かしらの恐怖を感じていて、周りの皆もそう感じていたと思う。
そんな案山子に恐怖を感じながらも、田んぼで遊んでいると1人の友人が突如、姿を消したのだ。
周りの皆が1人で帰っただのなんだの言うので、気にせずに遊んでいた。
そして、また遊びに夢中になっているとまた1人消えたのだ。
この時僕は頭に違和感があったのだが、流石に不思議に思い、近くのT宅により、その友達の家に電話をしてみたのだ。
するとその2人の友達の母は「え?まだ帰ってないけど…」
と言うのだ。
何処かに隠れて僕たちを脅かそうとしていると思い、見つけてやると、無意味な闘争心を燃やして、必死で探していたが全く見つからない。
するとTが飽きたのか急にゲームをやり始めたのだ。
僕たちも探すのをやめ、ゲームに没頭し、いなくなったことも忘れその日は帰ったのだが、僕の頭にはやはり何かしらの違和感があった。
すると、夜食を終え、ゲームを開始しようと思ったその時だ、いなくなった友人の母から電話があったのだ。
しばらくすると、母がきて、いなくなった友人のことを聞かれたが、わからないので「遊んでたらいなくなった」と言って終わった。
次の日、学校に着くとTとYが来て、昨日、いなくなった友人の母から電話があったか聞かれた。
僕は「うん、あったよ」不思議に言った。
なぜ聞いたのか聞いてみると、「俺たちも昨日、電話きたんだ」だそうだ。
そして放課後、3人で緊急会議を開いた。
----会議内容----
T「昨日、途中でいなくなった友人の母から電話があって、何処に行ったのか聞かれた、これで間違いないな?」
僕、Y「ウム」
僕「てか、なんかあそこの田んぼ、人がいなくなるごとに違和感あったんだよね~…」
Y「それは俺もあったな…」
T「マジで!?全く気にしてなかった(笑)」
Y「笑い事じゃねーよ、人が2人いなくなってんだぞ」
T「すまぬ」
僕「話を戻そう」
Y「彼奴らがいなくなった時間は?」
T「覚えとらん」
僕「我輩も」
Y「共通点は?」
T「知らん」
僕「んー、あいつら案山子いじくってたような?」
T「マジかよ、気持ち悪ぅ」
Y「そういえば、案山子の数、増えてなかったか?」
僕「あ、違和感それだな!」
Y「やっぱりか」
T「話についていけないんだが…」
Y「もともと案山子がいくつあったか覚えてるか?」
僕、T「知らへん」
T「あっ!そういえば写真撮ってたんだ」
Y「お、でかした」
僕、T、Y「どれどれ?」
T「えーと、1.2.3.4.5.6…6つだな」
僕「今から行くの?」
Y「それしかないな…」
T「マジかよ、もう5時でゲスよ」
Y「いいから行くぞ」
そこから僕たちは田んぼへ行った。
夕暮れ時なので、案山子が余計、不気味に見えた。
すると、Yが「写真では案山子は6つだったよな」それに対しTが「よし、今数えるよ」と言い、数え始めた「1.2.3.4.5.6.7.8…って、え?増えてない?」Tが驚いたように話す。
Yはやっぱりか、と言わんばかりにもとあった案山子の位置を写真で確認した。
写真には無かった案山子を見つめ、急にライターを出し、案山子を2つ燃やし始めた。
僕は慌てて「お、おい!Y!なにやってんだよ!?」思わずそう叫んだ。
次の瞬間、燃やされた案山子が奇声をあげて苦しみだしたのだ。
すると、煙の中から消えた友人2人が失神した状態で出てきた。
ここから1番近いT宅にTを行かせ、親を呼んで来るように頼んだ。
Tが行った時だった。
唐突に6つの案山子が動きだし、近寄ってきたのだ。
さらに何かを呟いている。
よくよく聞いてみると「返せ…返せ…返せ…返せ…返せ…」と何度も呟いているのだ。
僕は怖くて怖くて逃げようとしたが足が言うことを効かない膝が笑っている…もうダメだ…そう確信したときだ。
Yがライターを取り出し、近づいて来た案山子を次々と燃やしていった。
唖然としているとTとT父がやって来て失神している友人を運んだ。
後日、いなくなった友人は何事もなかったように登校した。
何があったか訳を聞いたところ、なぜか動けず、声も出せない状態でただただ周りを見ているだけだったという。
まるで案山子の様に……
案山子というのは、とても奇妙な存在というのを改めて思った。
今作はどうでしたか?怖がっていただければ幸いです。ですが、今回は奇妙というのもモチーフに作ってみました。
作者MINT61147020