僕は塾に通っている。
田舎に住んでいる僕は塾に通うのに農道を通って行くのだが、夏は虫が多く蒸し暑い。
冬は風が通りとても肌寒い。
外灯なんてものもなく、薄暗い月の明かりを頼りに自転車をこぐ。
ある冬の日のことでした。
その日は雪が降り、とても冷え込んでいました。
塾に嫌々ながら行き、帰りもなかなかのスピードで帰っていました。
すると、農道の真ん中あたりに子供が立っていました。
薄暗くて男の子か女の子か分かりませんでした。
なにをしてるんだろう。
と思いましたが、寒すぎたために、チラッとしか見ませんでした。
でも、僕はしっかりと見ました。
半袖、半ズボンだったのを。
こんな寒い日にそんな格好をする人なんてまずいません。
でも僕はあまり気にせず、その日は寝ました。
次の日にはすっかり忘れていました。
ですが、その日の塾の帰りにもその子供はいました。
耐えれる寒さだったので僕は興味本位でその子供に近づき、話しかけました。
「こんなところでなにをしているの?」
するとその子供は俯いていた顔をゆっくりと上げ、可愛くニッコリと微笑みました。
よく見ると、その子はおかっぱの男の子でした。
その男の子はこう言いました。
「お母さんのために強くなるんだ。」
僕は意味が分かりませんでした。
なので、詳しく聞きました。
「どうゆうこと?」
すると男の子は言いました。
「お母さんがね、こうして冬の寒い時に半袖、半ズボンでお外に行くと体が強くなるからって僕を外に出したんだ。
だからね、僕はこうしているんだよ。」
「でもね、ずっとお外にいると段々体が動かなくなってね、痛いんだ。
だからね、家のドアを叩いてお母さんを呼んだんだ。
でもね、ドアは開かなかったの。
それでも体が痛かったからドアノブをガチャガチャしてたの。
そしたらね、指、取れちゃった。」
と言ってニッコリしながら手を見せてきました。
僕はゾクっとしました。
男の子はこう続けました。
「僕があんまりドアを叩くからお母さんは僕をこの田んぼのところへ連れてきたんだ。
僕は家の場所が分からないからここにいるんだよ。」
と。
僕はとりあえずその男の子を家に連れて帰ることにしました。
自転車の後ろに乗せるのは危ないと思い、一緒に歩いて家まで来ました。
そして僕の母親に訳を話しました。
すると母親はその男の子をギュッと抱きしめて
「あら、今年はうちなのね。」
と言ってなんの躊躇もなく家に入れました。
僕は意味が分かりませんでしたが、聞く暇が無かったのでとりあえずそれを見ていました。
母親はその男の子を我が子のように扱い、お風呂に入れたり食事をさせたりしていました。
でも、半袖、半ズボンを着させたままでした。
それが不思議でたまりませんでした。
そして母親はその男の子を連れて一緒に寝ました。
僕はいろいろと聞きたいことがありましたが、寝てしまったので仕方ないと思い、僕も寝ました。
次の日の朝、その男の子はいなくなっていました。
それを母親に聞くと母親はこう言いました。
「そういえばあなたにはまだ寒坊様の話をしていなかったわね。そろそろ話をしなくちゃいけないと思っていたらまさか連れて帰って来るなんてね。この町にはね、昔から寒坊様ってゆう人がいるの。
昨日の男の子がそうよ。
その寒坊様ってゆうのはね、昔親から虐待を受けてた男の子がいて、真冬に適当な理由で外に出されてそのまま凍死したのよ。
その親は逮捕されなかったらしいのよ。
でもその男の子は死んだ後も成仏出来ずにこの世を彷徨っていて、こんな寒い時期になると現れるのよ。
その男の子を寒坊様と名付けて、1年に一回どこかの家に招いてお世話をするとゆうのがこの町の伝統になっているのよ。
今年はうちだったの。
あなたはいいことをしたわね。」
僕はそれを聞いてとても心が温かくなりました。
僕の町のみんなはこんなにいい人ばかりなんだなと思いました。
作者カイ
久々の投稿ですいません。
忙しくて出来ませんでした。
この話を制作するのになかなか時間がかかりました。
すいません。
文もよく分からなくなって読みにくいですが、多めに見てください。