毎日遭う不気味なZ。
たまらなくなった私は主人に相談することにしました。
「それは気持ち悪いな。」
「必ず前から来るねんよ。ホンマ頼むわって感じ。」
「同僚さん二人には感謝するよ。多分、勤務地は割れとるね。顔も特徴あるから覚えとぉやろ。」
「特徴て。なんか嫌やね。普通に通勤したいのに、邪魔されて。」
「どこの世界でも障害物はあるよ。ただ、危害加えられんようにせな。なるべく一人は避けて。」
「うん。気をつけるわ。」
「それと。出来たら転勤希望出したら?マズい?」
「いや、それは大丈夫やけど。そやね、仕事内容見て出してみるわ。」
あくる日、いつもお弁当な私ですが、月に2回ほど外食を楽しみます。
大勢で、少数で、時には一人で。
この日は一人でした。
「なに食べようかな〜。」
ゆったり歩いていると。
「うわっ、またZやん。」
前の歩道をZがゆっくり渡ってきます。
直視しながら薄ら笑いで。
全身泡立ちました。
兎に角、Zを巻かないと。
近くに人通りの多いショッピングモールがあるので急いで駆け込みました。
その中の一軒のお店に入り、柱の陰の奥まった座席に座りました。
「とりあえず、巻けた。」
このモールは各階に飲食店が点在し、もし私を探そうとしても容易ではない筈です。
しかもこのお店、敷地も広く、私の選んだ座席は柱に隠れ、容易には見えないのです。
ゆっくり食事をしながら外の様子を見ていました。
「大丈夫そう。」
食事を終え、ゆっくりコーヒーを飲んでいるとだんだん落ち着いてきました。
そろそろ帰ろうとお勘定をしてもらいました。
レジの後ろが全面鏡になっているのですが、何気なく見渡すと。
「⁉︎」
Zがこちらを向いて座っているのです。
飲み物をすすりながら、でも、目線は私。
しかも薄ら笑い。
鏡越しに目が合うのは余計に恐ろしい。
「なんなんよ、一体• • • 。」
「• • • 様、お客様?どうされましたか?」
「え、あ、ごめんなさい!」
「では、680円のお返しとレシートでございます。」
「ごちそうさまでした、ありがとう。」
「ありがとうございました。」
私がお店を出る時、Zはいつもの薄ら笑いでやはりこちらを直視しながら座っていました。
その日は午後から社用で出かけました。
隣の区にあるその場所へはバスを利用することにしました。
用が済み、帰りのバスを待ちます。
暫くするとバスが到着しました。
後ろ側の座席に腰掛け、終わった書類に目を通していました。
何駅過ぎたでしょう。
ふと、前を見ると。
「なんで• • • 」
運転手の後ろの吊革を持ち、薄ら笑いで私を直視するZがいました。
バスを降りてタクシーで帰社しようか。
色々考えましたが、このバスを降りるにはZの横を通らなければなりません。
でもこのまま薄ら笑いで直視とか耐えられません。
私は別のお客さんが降車する機会を狙い、Zの横をすり抜け、無事降車することが出来ました。
バスを降り、タクシーを捕まえる時、Zを乗せたバスは発車しました。
立ち位置を私が降りた方向へ変え、こちらを直視していました。
もちろん薄ら笑いで。
GPS? ③に続きます。
ご拝読ありがとうございました。
作者ゆ〜
ストーカーとは恐ろしいものです。
こちらを必要以上に不安に陥れます。
警察に相談しようにも、事件性がない場合、言いようがありません。
結局自分で解決するしかないのです。
私が一番危惧したのは、自宅を特定され、一人娘に危害が及ぶこと。
こうなる前に手を打たなければ• • • 。
GPS?③もよろしくお願いします。