俺の名前はガク。
生まれつき目が見えない。
だが、その代わりに不思議な能力が俺にはある。
そんな俺の事が噂になり、いつしか駆け込み寺のような存在になっていた。
数多くあった相談の中で印象に残っている話を1つしようか。
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K子は付き合って半年になる彼氏がいた。
彼のことが凄く好きで結婚も視野に入れてるというK子。
だが、彼には決まった時間に必ず帰ってしまうという怪しい行動があるんだとか。
そこで俺に相談しにきたんだ。
俺が調べた所、K子の彼氏はどうやらペットを飼っていて、餌の時間に必ず帰宅しているようだった。
女の影もなく、もちろん家庭を持っているわけでもない。
俺はK子に調査結果をありのまま報告した。
「良かった~♪私、半年付き合ってて、一度も彼の家に呼ばれた事ないし、必ず決まった時間に帰るしで…不安だったんです!!でももう大丈夫です!ありがとうございました♪」
K子は満面の笑みで帰っていった。
暫くしてからどうやら彼氏の家にようやくお呼ばれされたらしい。
そこでK子は衝撃的な事実を知る。
なんと彼は蜘蛛のコレクターだった。
家中に水槽が置いてあり、室内は薄暗く、蒸し暑い。
流石に、最初は無理かもと思ったが、彼を好きな気持ちの方がこの時は既に上回っていたのだ。
気持ち悪いと思いながらも、何度か彼の家に訪れるうちにすっかり平気になっていたんだって。
そんなある日。
「あ、会社に忘れ物しちゃったー、ちょっと行ってくるよ。すぐ戻る!!」
そう言って理由をつけ、出かける事がこの日を境に多くなったらしい。
結婚も考えていたK子は仕事だからしょうがないと自分に言い聞かせていた。
「ッ!!痛っ!!」
またか…
そして彼が出かける用になった頃から背中がチクッと何かに刺されたような痛みが出るようになったのだ。
帰ってきた彼に見てもらうと
「虫に刺されたのかな?赤くなってるから薬塗ってあげるね!!」
そう言って、それを理由に毎日彼の家に呼ばれたんだとか。
その間も理由をつけて出かけるのは変わらずで…。
あまりにも毎日出かけるもんだからK子は彼に言ったらしい。
「せっかく私が遊びに来ても毎日出かけてるじゃない!!毎日来るのやめようかな…」
すると彼は意外な反応を見せたとか。
「嫌だ。離れたくない。K子の背中も心配だし、毎日姿を見ないと俺は…」
この時既に10箇所近く何かに刺されていたk子。
彼の反応が嬉しくてK子は毎日彼の家に通った。
だが…
ある日、背中に違和感を感じたK子。
ムズムズと何かが動く感覚が消えない。
掻きたくても、大好きな彼に絶対に掻いちゃダメだって強く忠告されていたので、K子は我慢した。
だが、日が経つうちに背中はボコボコとデキモノができ、ムズムズは更に増し、一向に良くならないので
K子は彼に
「病院は行ったらダメだよ?俺がちゃんと最後まで見てやるから」
そう言われていたが、罪悪感に苛まれながら、病院へ行くべきか再び俺のもとに相談に来た。
俺はすぐに異変に気付いた。
この時の俺は何もk子からは聞いていないが、
まず臭いが普通じゃない。
何かが腐っている臭いが鼻を差した。
「…何があった?身体…どうかしたのか!?」
俺が聞くとk子は
「…ガクさんはやっぱり凄いですね。何も言わなくてもわかるんだもの。」
そう言って、一部始終の話をしてくれた。
だいたい想像はつくが、俺の出した結論は…
「…すぐに医者に見てもらえ。皮膚科かな。恐らく直ぐに手術になるぞ…」
それしか言わなかった。
いや…言えなかった。
蜘蛛があなたの身体に卵を産み、
あなたの背中の肉を餌としながら、
彼が飼育して世話をし、
何十万匹の蜘蛛の子があなたの背中の中で生きてます。
なんて…言えないよな。
その後、K子から連絡はないんだけどね…
医者に聞いたら俺が紹介した病院には行ったらしい。
俺の予想通りK子の背中はもうほぼ腐りかけていて、
少しグジュグジュになっている皮膚をほじくったら
大量の蜘蛛の子が湧いて出て、思わずその場にいた全員が逃げ出し、嘔吐したんだと。
その間にK子の姿はなくなっていたんだとさ…。
作者upa
『ガクシリーズ』始めました♪
今はまだ方向性が決まっていないため色々模索中です|д゚)
誤字脱字ございましたら優しく教えて下さい(´・ω・`)
いつも閲覧して下さっている皆様へ
本当にありがとうございますヽ(;▽;)ノ