5月のGW明け、いつものように学校の廊下で腐れ縁の友人アキと高校に入学してすぐに意気投合したミズホと一緒にドラマの話題で盛り上がっていた。
私の名前はユウ、高校2年生。
特に自慢出来る様な事もなく、至って平凡な思春期真っ只中。友人との話題はテレビや男子の事ばかり。
今も流行りのドラマの展開を面白おかしく予想していた。
ふと視線を感じ振り返る。
隣のクラスの開け放たれたドアの向こう。窓際にもたれかかりコッチを見てる男子がいた。
彼の名前はアラタ。
物静かであまり目立たないが成績はいつも上位。クラブ活動もしてないみたいで放課後はたまに図書室で見かける。
その程度しか彼を知らない。
同じクラスになった事がないから挨拶すらしたことがない。
その彼がなぜコッチを見てるのか?
「ねぇ〜ユウ聞いてよ、観たい映画があるの。ギニー○ッグっていうんだけどレンタル店で一緒に探して〜」と、ミズホが甘えた声で腕をつかんできた。
私が彼に気を取られてる間にいつの間にか話題がオカルト系に変わっていた。
ミズホは大のオカルト好きで自称見える人。母親の妹が霊能者らしいが定かではない。
「またミズホはそんな物ばかり観たがって…気持ち悪いよ…」
オカルト、ホラー、スプラッタは苦手のクセに見えちゃって可哀想なアキ。
彼女も母親の弟が東北でお寺の住職をしていて見えちゃうのは血筋らしい。
本来なら彼女の母親は巫女さんになる縁を持っていたとか。
巫女さんになるのが嫌で縁を切ったらしい。詳しくは難しい話になるみたいなので良く解らない。
「あっ、私も観たかったんだ。帰りに探してみよっ。」
私もオカルト、ホラー、スプラッタは好きな方。ミズホに一票を投じ無理矢理アキを巻き込む形で放課後の約束をしたところでチャイムが鳴った。
教室に入ろうとした時、隣のクラスをのぞき込むとアラタはもう席に座って教科書を出そうとしていた。
この時は特に気にならず5時間目の授業を睡魔と戦いながらギニー○ッグ見つかればいいなぁ…などと考えてた。
私はいつものように廊下で友人のアキとミズホと一緒にいた。
昨日観たギニー○ッグの話で盛り上がっていた。
そこに1人の女子が通りかかる。
私は懐かしいような感じがした。
「ねぇ、あの子○○さんだよね!ちょっと行ってみようよ!」
私は今行かないともう2度と彼女に会えない気がして急いで追いかけようとした。
「ダメだっ!」
ものすごい力で腕を掴まれ振り返ると何故かアラタが息を切らせ私を睨みつけている。
「どうして?絶対○○さんだよ!私、いかなきゃっ!」
使命感の様な感情に支配されていた。
どうしても行かなきゃならない。いや、行きたい!どうして?どうしても!!!
自分でも解らない感情にパニックになりながらアラタの手を振りほどこうとする。
「行っちゃダメだ!」
両腕をガッチリ掴み真っ直ぐ私の眼を見ながらアラタは静かだがハッキリした声で言った。
その瞬間ハッとする、私はベッドにいた。
夢?
心臓がドキドキしてる。
全身にベットリを汗をかいていた。
アラタに掴まれた腕が痛かった。
夢じゃない?
混乱した頭で考える、あの子は誰だったの?顔も名前も思い出せない。
…っ!?
急に、耳の奥に激痛が走る。
両方の耳の奥でウヮ〜ン、ウヮ〜ンとサイレンの様な轟音がする。
辺りを見回すと足元に大きく黒いものがいる。
それは輪郭がなく、モヤモヤしていて目と口がある様だがハッキリしない。
耳が痛い、煩い、消えろ!
強く念じる、消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!!!
隣の家の時計の音が聞こえる。ボーン、ボーン、ボーン、、、3時かな?サイレンの様な轟音がしてるのにどうして時計の音が聞こえるの?
そんな事を考えてる場合ではない。
黒い大きな顔はすうっと足に降りてきた。
イヤだ!消えろ!消えろ!消えろ!
そのまま気を失ってしまったのだろうか?
気がつくと朝になっていた。
ものすごく疲れていた。
ダルい、学校行きたくない…
食欲もなく重い身体をなんとか動かし家を出る。
学校に着くとアラタが校門の前で立っていた。
「大丈夫?」
何もかも知ってる様だった。
「なんとかね。アラタ君が助けてくれたの?」
「俺は少しだけ力を貸しただけ。」
「何だったの?アレはなに?」
下記はアラタから聞いた話
私が夢で見た○○さんは誰でもなくただのエサ。
実は私は霊媒体質でけっこう強い守護霊に護られてるらしい。
浮かばれない霊は暗闇を彷徨っていて私の様な霊媒体質の人間は光って見えるらしく火に飛び込む虫の如く吸い寄せてしまう。
私の強い守護霊が邪魔でソバに来れない霊達がエサで私をおびき出そうとした。
エサ自体に守護霊は何も出来なかったので夢という形でアラタに協力を依頼し私がエサに喰いつくのを阻止したとのこと。
あの大きな顔は何体かの霊な集合体らしい。私の守護霊がなんとかしたらしいがあまり知らない方が良いと言われた。
「ところでどうしてアラタ君が?」
1番の謎、挨拶すら交わしたことがないのにどうしてアラタ君だったのか?
「俺が1番ユウちゃんの守護霊と相性が良いからかな?」
アラタは見たことがない笑顔で言った。
こんな顔で笑うんだ。
少し恥ずかしかった。どうしてかな?
あっ、そうそう忘れてたけどギニー○ッグは3巻借りてきました。
作者伽羅
はじめまして、初の投稿になります。
誤字、脱字など気をつけてますがもしあったらすみません、許してくださいね。
これは私の実体験を元に作りました。
これからも実体験を元にした作品を少しづつ投稿したいと思います。
未熟者で読みづらい所もあるかも知れませんがもしも、もし気に入って下さってまた読んでもい〜よ〜と思って頂けたら幸いです。