幼馴染から聞いた話でございます
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俺は都内某所でホストをやっていて今年で7年目になる。
今から話すのは今からちょうど三年前付き合っていた元カノの話。
出会いは俺が働く店で、初めは客とホストの関係だった。
俺をNo.1にしようと沢山の高い酒をいれてくれた。酒以外にもブランドの時計やアクセサリーもくれた。
彼女から猛アプローチされ付き合う事になるんだけど、俺の中で彼女は客には変わりなかった。
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そんな事も知らない彼女は付き合った後も沢山俺に貢いでくれて、俺は店のNo.1になる事ができた。
彼女には感謝している..けど愛してはいなかった 全ては金の為。
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彼女はOLの仕事をしていたが売り掛けの借金があり夜の仕事をはじめあまり店にこなくなった。
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同僚「お前の彼女店に来なくなったな。店に来なくていいって言ってるのか?」
俺「いや、言ってない。仕事が忙しくてなかなか行けないってさ。」
同僚「売り掛け結構あったしなー」
俺「売り掛け金は返済終わってるよ。新しい太客ついたから今の彼女と別るつもり。」
同僚「お前...残酷だな笑 彼女別れてくれないかもよ?笑」
俺「ふっ笑 知るかよ...」
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俺は彼女に別れを告げた...
「ごめんねお店行かなくて..やっとお金つくれたからお店に行くね!私が夜の仕事を始めてから私の家に来なくなったから寂しかったよ。」
「うん。でさ、大事な話があるんだ。」
「なに?どんな話?」
彼女はコーヒーの入ったカップの飲み口を撫でながら俺に聞いた。
「別れよう。」
「...どうして?...好きな人できたの?」
「違う。仕事に集中したいんだ..彼女がいると仕事の事を考えられない。」
「え..意味分からない。やだよ別れたくないよ!!!やだやだやだー!!!」
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彼女は泣きじゃくり俺に抱きついてきた。
嗚咽して何を言ってるのかあまり聞き取れなかった。
彼女が泣いているのに俺は、その時着て行った新しいジャケットが彼女の涙で汚れる事を気にしていた。我ながら冷たい男だと思う。
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「どうしても別れるっていうの?...」
「うん、別れる気は変わらない。」
「......」
俺は早くこの部屋から出たかった この後客と食事に行く約束をしていたのだ。
「じゃあ俺この後用事あるから...かえ..」
「私、貴方と一緒に居られないなら生きてる意味ない!」
俺は脅しだと思った どうせそういえば俺の考えが変わると思っているのだと。
「そんな事言うなよ..他にも男は幾らでも居る...生きろ。」
俺は彼女の肩を抱き諭すように言った。
「貴方も一緒に死ぬのよ...」
「は?」
いつの間に用意したのか 彼女の手には包丁が握られてた。
「まじかよ...」
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刃先は俺の方を向いている..刺身を切る時に使うような包丁だった。
「他の女に貴方は渡さない..一緒に死ぬのよ...」
「おい、ちょっ..と待て!落ち着け!!、」
シュッ
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彼女が包丁を上から斜めに振りかざし 俺は咄嗟に腕を前に出し防御した。
「いっ.,痛ぁっ!!!」
庇った際左手の甲を切られた。
思いの外傷口が深く血が肘に向かって滴った。
(こいつ本気だ!!)
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彼女を突き飛ばし玄関に向かって走った。
「待てえええええええ!!!」
血走った目をした彼女が追いかけてくる
彼女の部屋のドアはチェーンがかけられていて外すのに手こずっていると、俺の顔の真横に何か飛んできた。
「ひっ!!」
彼女が投げた包丁がドア横の壁に刺さった。
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後ろから羽交い締めにされたが肘で彼女の顔を殴りドアを開けた。
バァーンっ!
「やばいやばいやばいっ!!」
俺は左手の甲を右手で抑えながら走りタクシーを探した。
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タクシーを捕まえ近くの病院まで頼んだ。
手の甲を数針縫う怪我をし、今働いている店を辞め他店へ移った。
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新しい店に入って2ヶ月で俺はNo.1になった。
そこでも太客を捕まえ高い酒を沢山入れてもらった。
ある日とびきり綺麗な客が来店し俺を指名した。
その客は焦げ茶のロングヘアーにキレイ系な顔で俺のモロタイプだった。
初対面にも関わらず話が弾んだ。
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客「ねぇ〜貴方綺麗な顔してるよね。整形してんの?ふふ」
俺「あはははっ俺は整形なんてしてないよ。それに、君の方こそ綺麗だよ二重が可愛いね。」
客「ふふふ。私ね、整形したの...これが昔の私の写真なの〜」
そういって俺に写真を見せた。
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「どれどれ.......!」
「ねぇ、左手の傷は治った?」
「お前....なんでっ」
女が見せた写真には元カノの顔が写っていた。
「探すのに苦労したよ。ふふふ....どこに逃げても探し出すよ?貴方は私だけのものなんだから。」
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元カノは顔を変えて俺の店に来た...
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僕の元カノは今精神病院に入っている。
元カノとの思い出はまじでトラウマ...
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彼女は友達の紹介で知り合い、デートを重ね付き合った。
彼女はグラビアアイドルをやっていて 僕は読者モデルをやっていた。
彼女のスケジュールと僕のスケジュールが空いている時にデートしたりお互いの家に遊びに行ったりしてた。
付き合う前は分からなかったけど彼女は変わった嗜好をもっていた。
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「私..好きな人のものを集めるのが好きなの..あなたの一部が欲しい。」
「へ?」
初めそう言われたとき彼女は何言ってるのか分からなかった。
彼女は好きな相手の一部...要は髪の毛や爪などといった"体の一部"を集めるのが好きだった。
相手が居ない時にそれらを眺めたり触ったりして寂しさを紛らわすのだという。
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「え...いきなり何だよ...」
「だめかな?!あなたの一部が欲しいの...会えない時、寂しくて気が狂いそうなの!お願い!」
必死に訴える顔をみて不覚にも可愛いと思ってしまった。
「汚い物以外ならあげる。ヨダレとかその他汚い系は駄目だからな?それを約束するならいいよ。」
「本当!?ありがとう嬉しい!!!」
彼女の喜ぶ顔を見て満足した。
後に僕は後悔する事になる.....
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モデルの撮影が終わり仲間と談笑していると自分の携帯が鳴った。
「...メール...誰からだ?」
携帯を確認すると彼女からのメールだった。
彼女<あなたに会えなくて寂しい..あなたの一部をください。今夜私の家に来れる?>
僕<分かった、行くから待ってて>
返信し彼女の家へ向かった。
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「久しぶりね、会いたかった。」
「3日前に会ったばかりだろ?どんだけ寂しがりやなんだよ笑」
「だって....。ねぇ、あなたの一部をもらってもいい?」
彼女の手にはハサミが握られていた。
「ハサミなんて持って...なんか怖いよ?」
「髪の毛、頂戴?」
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モデルの撮影で最近髪を切ったばかりだったのでこれ以上切りたくなかった。
「髪は嫌だ...爪はどう?」
「うん!!爪!爪を頂戴!!!」
彼女は満面の笑みで答えた。
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その日は両手両足の爪を切り彼女にあげた。
その3日後また呼び出され、爪がまだ伸びてなかったから歯医者で抜いた虫歯を渡した。
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彼女のグラビアの仕事のスケジュールより僕のモデルの仕事の方が増えていき彼女と会う頻度が減った。
彼女と会わない日が長くなると彼女がやってる事が異常であると考えるようになり不気味に感じるようになっていった。
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一ヶ月ぶりに彼女に会うことになり、その日は泊まって欲しいと言われた。
「久しぶり!元気にしてた...!?」
「寂しかったよすっごく寂しかったよメールや電話だけじゃ寂しい。」
泣ながら彼女は僕に抱きついた。
「ごめん....ん?」
抱きついている彼女に違和感を感じ彼女の顔を見た。
彼女は僕に抱きつきながら僕の髪を食べていた。
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「おい!!お前何やってんの!!」
「だって...ここしばらくあなたの一部をもらってなかったんだもん。だからつい...」
「は..はは...」
泊まっていけと言われてたけどきっと泊まったらヤバイ事になると思った。
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「なぁ、悪いんだけど今日泊まれないわ。」
「どうして?なんで?」
「親父が怪我しちゃってさ..お見舞いに行かないといけないんだ。でもその代わり今日俺がご飯作るよ!な?」
「う、うん...。」
彼女は渋々了承し僕は食事の支度をした。
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まな板を洗い、野菜を切っていく様子を彼女が側でじーっと見ていた。
「どうしたの?」
「料理作ってるの見るの好きなの。」
彼女は瞬きせずじーっと僕を見ていた。
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人参を切ろうとして指を包丁で切ってしまい血が出た。
「痛っ!」
「ああぁっ!」
彼女は叫ぶと僕の指にしゃぶりついた。
「おい!何してんだよ!痛い!」
彼女は傷口を噛み、犬歯で傷口を広げていた。
「痛いよやめろ!!ぐうっ!!」
彼女から思いっきり溝うちをくらい床に倒れた。
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彼女が僕の上に馬乗りになり、人参を切ろうとした包丁を僕の首に当てた。
「何っ何すんのやめろ!!」
「一ヶ月分のあなたの一部を貰うの。あなたの血よ...少しくらい減っても死なないから大丈夫!」
にこにこ笑いながら語る彼女は本気だった。
包丁が振り下ろされる
僕は首を切られないように両腕を使って振り払った。
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両腕が切られ血が滴る...
数回切られたが彼女の一瞬の隙をついて顔を殴った。
「ぐふうっ!」
彼女が怯んだので今度は腹を殴った。
僕の上から横に転がったので、急いで自分の鞄と携帯を持ち部屋から出た。
「あいつ...俺を殺す気だったのか..はぁはぁ....携帯..携帯で警察に...」
冷や汗と傷口の痛みが増した。
「大丈夫かい?!酷い怪我じゃないか血が出てるよ!!!、」
近くを散歩していたおばあさんに声をかけられ助けてもらい警察に通報した。
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彼女は精神がおかしくなり精神病院へ入る事になった。
彼女につけられた包丁の傷跡は今も両腕に残っている。
「この傷跡を見る度にあの日を思い出す...忘れたくても忘れられない。」
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<おしまい>
作者群青
付き合う相手を間違えると大変ですね...