僕が幼い頃の話でございます。
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この話を祖母から聞かされたのはついこの間。数年ぶりに祖母に会いに行った際に聞いた。
昔の話をしていると祖母が思い出したように語り出した。
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「あんたが...6歳の頃だったかなぁ..母親と父親が仕事で家を留守にするからってんで家で預かった事があってね...」
僕の両親は共働きだったのでよく祖父母の家に預けられる事があった。
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その日も祖父母の家に預けられ、僕が寝るまで祖父母は遊んでくれた。
寝る時間になり、祖母の布団の隣に布団をひいて寝た。
夜中0時位だったか..祖母が僕の異変に気付き目を覚ました。
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隣で寝ていた僕が祖母の布団の中に潜りこんでいたのだ。
「どうしたんだい?」
「...っ...ぅう...怖いよ...怖いよおばあちゃん。」
祖母にくっつき僕は泣きながら怖い怖いと言っていた。
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祖母は僕が泣き止むように背中をさすりながら怖くない怖くないと言った。
なかなか泣き止まないので祖母は僕に何が怖いのか聞いた。
すると..
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「おばあちゃん..スリッパの音がするよ。スリッパの音がする!廊下からスリッパの音がする。怖いよ..女の人が居る..スリッパ履いた女の人が廊下を行ったりきたりしてるよ!!!」
祖母はきっと母親が恋しいから夢を見ているのだと思った。
祖父は隣で寝ているし、スリッパはしまってある。この家でスリッパを履く者は居ない。
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「まだスリッパの音がするのかい?」
「うん。スリッパの音する..女の人がスリッパ履いてるもん怖いよ..」
祖母は廊下を確認してみたが誰も居ない。
祖父母の部屋のドアは磨りガラスになっていて、廊下に人が居れば透けてみえるようになっていた。
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寝室のドアを閉め僕にもう一度聞いた。
「廊下に誰も居なかったよ?まだ音がするのかい?」
「.....」
僕は何も言わずに祖母を見つめた。目に涙を溜めて。
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「きっとお母さんが居ないから寂しくなっちゃって音が聞こえるんじゃないかい?おばあちゃんが側に居るから大丈夫だよ。」
祖母は僕の入っている布団に入りながらそう言った。
「...スリッパの音は止まったけど..あそこのドアから女の人がみてるよおばあちゃん!真っ黒黒の髪の女の人がみてるよ怖いいいいい!!」
ゾッとして祖母は寝室のドアをみた..
誰も居ない。
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僕は眠りにつくまでずっと怖い怖いと言いながら泣いていたらしい。
僕は全然記憶にない。
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あの女は誰だったんだろう?
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おしまい
作者群青
どうして自分があんな事を言ったのか、何を見たのか全く記憶にありません。
祖母は僕が寝付くまで起きていてくれたみたいなんですが。
この話には続きがあって、後日また祖父母の家に預けられた時また夜中に怖い怖いと言って祖母を起こしたらしいのです。「怖い怖い..女の人か部屋に入ってきたよ」と泣き叫んだようなんです。
皆さんこのようなご経験ございますか?