宅配業者をしている佐々木さんの話。
ある時、佐々木さんの携帯電話電話があった。それは前々から知っている顧客で、大人しく控えめな女性からだった。
「もしもし」
「あ……、佐々木さんですか?ごめんなさい、お忙しい時に……。ちょっと宅配のことで伺いたいことがあるんですが……いいですか?」
「ええ、勿論。どうかしました?」
「あの……、い、生き物って宅配できます?」
「生き物……ですか?」
生き物というと動物のことだろうか。しかし、佐々木さんの宅配業者の方針としては、生き物を宅配することは出来ない。動物を運搬する場合は、それ相応の業者に頼まなくてはならないのだ。
佐々木さんはやんわりと断った。
「えー、すみません。ウチのほうでは動物は無理なんですよ。原則としてね、ちょっと難しいんですよね」
「……そうですよねー。生き物はやっぱりだめですよねー」
女性は納得したようだったが、最後にボソリと呟いて電話を切った。
「じゃあ、ちゃんと殺しておきますね」
作者まめのすけ。-2