短編2
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白昼ざんばら

「見なきゃよかった・・・後悔先に立たずとは正にこのことです。」

平日の午後。

服部さんは大学を休んでベランダでタバコを吸っていた。

マンション下から主婦らしき三人組が大声で笑っている声が聞こえた。

するとその中の一人がどこかを指さしている。

指の方向を見るとちょうど自分の向かいのアパートの方であることが分かった。

きになって服部さんは向かいのアパートを見てみた。

すると、アパートのベランダの手すりに不自然にくっついたお面があった。

「お祭りとかで売られてる一般的なお面です。キャラクターとかのあれ。」

ちょっと不気味に思え、視線をアパートの中へと移した。

カーテンは全開で部屋の中は、真っ赤だった。

赤い照明が当たっているのか、赤いペンキで壁紙を塗ったのか、とにかく部屋の中が真っ赤だった。

すごい趣味の部屋だと思いつつ部屋の中を凝視した。

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妙なものが視界に入った。

奥の方から変なものがベランダに近づいてきていた。

「部屋の奥、真っ赤なのでよく見えませんでしたが奥の方からやってくるんです。縦長の黒っぽい何かが左右に揺れながら。縦長の体?全体をブンブン左右に揺らしてるんです。」

健康器具の類が勝手に作動しているのかと思った。

それにしても妙な部屋だ。人がいる気配がないし、物が何も置かれていない。

変に揺れている”何か”以外に物はみあたらない。

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「考えていると、その揺れてる何かがベランダのドア前にいつの間にか移動してたんです。

ようみるとそれ、健康器具じゃないんです。」

体がお菓子のトッポを人の体位に太らせたような形で頭は人間。顔の表情は動いてるので見えないが髪がざんばらだった。

「左右に動くそれとベランダの手すりにくっついているお面を見てたらもう・・・怖くなっちゃって・・・」

煙草を吸うのをやめ、部屋に入りカーテンを閉めたのだという。

見間違いだと思い確かめようとカーテンを開けた。

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shake

「うああああああああ!!!!!!!!」

自分のベランダに先ほど見た左右に揺れる”何か”が居た。

一心不乱に揺れるそれの顔が一瞬見えた。こちらを凝視しニヤニヤ笑っていた。

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「びっくりしてそのまま気絶してしまったんです。恥ずかしいんですけど、失禁してました・・・目が覚めたらズボンの前が濡れてたんです。人生の汚点です・・」

恐る恐る向かいのアパートをみるとそこにはアパートなどなかったそうだ。

ただの空き地になっていたのだという。

「大学ずる休みしたから罰が下ったのかもしれません。これからはまじめに行こうとおもいます。」

あの日以来あまりベランダから向かいを見るのを控えるようになったそうだ。

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