中編3
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覗く目

music:4

これまでの話を聞いてくださった方々ならば、この話のオチを題名で理解してくれると信じたい。

高校3年生の夏の話だ。

僕と自称霊能者である友人は、僕の知り合いの家のリビングにてお茶をしていた。

ただのお茶ではない、もちろんこの家にまつわる奇妙な話についてだが、この自称霊能者にお祓いをお願いしたいと言われたので連れてきたのだ。

内容はこうだ…

夜、トイレで用を足していると

『見たぞ』

と、囁く声が聞こえたり

洗面所で長い髪の女が佇んでいたり

またまた、リビングの換気扇から、視線を感じたりするという。

「ご家族はみなさん見たことがあると?」

と、友人が言うと

「そのようです」

と依頼者は返した。

「ふむぅ…」

と友人はシンキングモードに入る。

僕は友人に耳打ちをする。

「この家、何かいますか?」

すると

「正体はわからんが、何かいるのは確かかもしれんな」

と言った。

こいつは気配を感じているのか

と、少し驚く。

俺は何も感じない。

「みなさん見ているということは、そこそこ霊力のある霊のようですね」

続けて

「心当たりは?」

と尋ねるが依頼者は頭を振る。

そうですか…と言うと、友人は立ち上がった、友人お気に入りのバックからお祓いに使うあの紙のびらびらが付いた棒を取り出した。

マジかと思う。

こいつがお祓いなんてしてるところ見たことないぞ。

僕の額にはおそらく脂汗が浮かんでいるだろう。

「覗かれるっていうのはあの換気扇ですか?」

とキッチンの換気扇を指さすと、依頼者は頷く。

頼って良いのか迷ったようだが

「よろしくおねがいします」

と頭を下げた。

友人は換気扇をジッと見て動かない。

僕は催してきたのでトイレへと立った。

もちろん、依頼者にジェスチャーで行っても?と尋ねてからだ。

トイレの戸を開けた瞬間だ耳鳴りがなり、正面の窓の隙間から人間の目がギョロリと覗いていた。

踵を返して、リビングへ走る

依頼者が不審な面持ちでこちらを振り返り、どうした?

と聞いてくる。

友人は依然換気扇を眺めている。

「トッ…トイレに…っ!」

そこまで言うと、友人が動いた。

棒を持った手を下から上に突き上げたのだ。

え?そんな使い方やっけ?

という疑問が浮かんだ瞬間…

ギョエエエエエエ…!!!

カラスの首を絞めたような声が家中に響く。

とっさに、友人にどうしたのか?

と尋ねるとあっけらかんとしてこういうのだ。

「覗いてきたから目を刺した」

こちらに棒を投げる

紙がハラハラと虚空を描き、キャッチする。

ゾッとした、棒の先には血のような赤い液体が付着していた。

友人は依頼者にもう出ないはずです。

と言うとサッサと玄関に向かった。

依頼者はポカンとしていたが

「ありがとうございました!」

と思い出したかのように言った。

帰り際に友人に声をかけようとすると

「霊力が高いってことは、少なからず実体化してるってことだ

実体化するってことは、物理攻撃も有効だろう」

と言うのだ。

改めてこいつは恐ろしい奴だと感じた。

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