何かの不思議な体験・怪奇現象に人は遭遇すると、、、何故か再び会う事が多い。
社会人になりバリバリ働いていた頃職場の前で交通事故があった。
片側二車線、計四車線ある国道。
しかし自分の働く市場とタクシーの路駐の所為で実質は二車線しか使えない状態てした。
あの日。
路駐していた車の前でタクシーを拾おうとしたおばあちゃん。
片側二車線のうちの右側、、、つまり走行車線にハザードを焚いて止まるタクシー。
おばあちゃんを乗せようとドアを開ける運転手。
その瞬間道路には鉄のバリケードが出来た。
後ろから来たバイクは避ける術無く走行車線上にて急に開いたタクシーの後部座席のドアに正面衝突をした。
吹っ飛ぶバイク。
ギャリギャリと火花を散らしながら回転しガードレールと接触して止まる。
呆然と立ち尽くすタクシーの運転手。
転がるバイクの運転手。
俺はバイクの後部座席に乗っていたであろう人が動かないのを見て
「無茶な運転しやがって。自業自得や。」
と、心の中で呟き野次馬の中から仕事に戻った。
、、、
、、、、、
後でわかった事だが事故現場より遠くに飛ばされたバイクとその側にいた後部座席に乗っていたと思われた方は、、、
実はタクシーを拾おうとしたおばあちゃんでした。
そしてそのまま死亡したと。
俺は罪のないおばあちゃん、、、
命の火が消えかけていたであろうおばあちゃんに暴言を吐いてしまったのだ。
休憩時間に花屋に行きお供えの花束を購入。
そして現場に花束を添えた。
暫く経つと手錠をされたタクシーの運転手が警察と実況見分をしていた。
もちろん路駐の車、バイクの運転手も警察に色々絞られていた。
そんな事件。
初めて見た死亡事故後に市場にて自分を探す人がいると聞きお会いする事になる。
亡くなったおばあちゃんの娘さんでした。
母は普段あのような所でタクシーを拾わない事、いつも道路を渡る時には注意する事、、、色々聞かされました。
その中で花束を供えてくれた事に感謝してる事を告げられわかれました。
こちらこそ申し訳ない。
おばあちゃんはただ単に轢かれただけなんだという事。
そして自分が勘違いで罵ってしまった事。
本当はタクシーを拾うんじゃなく道路を渡ってバス停に行こうとした事。
勘違いしたタクシー運転手。
道路に鉄のバリケードを作られ避ける事が出来なかったバイクの運転手。
偶然が偶然を呼びこの悲惨な事故が起きた。
自分のお供えした花は早く枯れる気がした。
たぶん怒っている。
そして2年ほどすると件のタクシー運転手も普通に路駐するタクシーの列にまた並んでる。
そのタクシーの運転手は気がついてないかもしれない。
タクシー運転手が平気で路駐して停めてタバコに火をつけている反対車線のひしゃげたガードレールの端にて貴方を睨むおばあちゃんが今でもいる事に。
おばあちゃんの成仏はまだまだ先のようです。
偶然タクシーを拾おうとして手を上げると運転手が事故を起こした人だった時に乗り合わせた時に訪ねてみた。
「貴方、、、事故で人を死なせてますよね?」
「ホンマ最悪やったわぁー。客かと思ったら違うしバイク突っ込んでくるし、、、俺が被害者やのになんで過失致死やねん。阿呆らし。」
「その言い方は無いんちゃう?」
「あんた市場の人やろ?あんたの店の客やで?ちゃんと客の面倒見てくれよな!」
「、、、、、、、」
もちろんワンメーターで降りる。
そして別れ際に一言。
「今でも反対車線からタクシー睨んでますよ?あんまり被害者ヅラしてたらきっと目の前に現れるょ。」
と。
その後タクシー運転手を見かけない。
おばあちゃんの花束はいつも枯れたままだ。
作者パグ太郎