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ここまで、友人との奇妙な出来事を語ってきたが、彼との出会いもまた語っておく必要がある。
彼と出会ったのは小学校の時だ。
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僕には川端圭也という友人がいた。
彼は怖がりなくせに、怖い話が好きだった。
よく彼から、「俺の友達に凄い奴がおって…」と切り出す、その友人にまつわる怖い話を聞かされていたのだが、ある日、川端はそいつを紹介すると言い出した。
二日後、川端の友人がやってきた。
「どうも、霊能者です」
と自己紹介をする。
かなりインパクトがあった。
見た目は目まで届くほどの前髪、後ろ髪ともみ上げははくせ毛なのかクルンクルンしていた。
川端は横から
「変な奴やけど、悪い奴じゃないで」
と言った。
確かに悪い奴ではなさそうだ。
しかし、何処か近寄りがたい雰囲気を放っている奴だった。
彼と初めて行った心霊スポット。
ある小さな稲荷神社なのだが、その社の隣で首を括った男がいる、と言う噂話が流行っていたのだが、彼はそこへ行こうと僕を半ば無理やり連れて行った。
「ここで、首吊り自殺をした男がおったんよ」
彼がそういうので、知ってるとかえした。
すると、何がおかしいのか、ぷぷぷと笑いをこらえる真似をする。
夜の9時だと彼は囁いた。
耳鳴りがした。
後ずさりする。
ふと、彼が口を開いた。
「僕はさ、お化けが出る時って視線を感じるんよ」
視線?
「寒気がしたら、ゾワ〜って鳥肌が立つしな」
何が言いたいんだろうと思い、顔を上げると…、目の前に顔の穴という穴から内臓やら吐瀉物を垂れ流している《逆さま》の男がぶら下がっていた。
「ひゃっ」と悲鳴が出るが、彼は平然と僕を見ていた。
『まるでそこには何もないように』
そして彼は言う。
「ここで首を吊った人間なんて『居ない』」
続ける
「幽霊なんて所詮は人が生み出す幻だ
臆する必要はない
観察者がいなければ存在すらできないか弱い存在だ」
僕と同い年の子が言う言葉にしては小難しいことを連ねる。
いつの間にか、耳鳴りはなくなり、男も消え失せていた
まるで最初からそこには何もなかったかのように。
呆然と佇んでいる僕に彼は声をかける。
「人の恐怖心の生み出す悪い夢だ」
「僕には何も見えなかった」
と。
自称とはいえ、霊能者を名乗るほどの実力があるのだと感心した。
作者慢心亮
出会い