どれ一つ作り話をしてやろう。
男はそう言った。
男「昔話だ。お前も知っているだろうが1990年代のお前の住んでいた町。荒れてたよな?」
確かに荒れに荒れていた。
暴走族はバイクと車で総勢100台近くが集まり逆走・ノロノロ運転当たり前。
交番のゴキ単は歩道にバイクで侵入し蹴り倒す。
暴走族のノロノロ運転で走り去った後に単車を起こしにくる警官。
お店や銀行には強盗が入ったなんかも日常茶飯事。
俺がたむろしていたゲーセンも何故かチャカがUFOキャッチャーの下に隠されていたり店員のO岩は店のカウンターで普通にコカインを鼻から吸っていた。
荒れていた時代だ。
その一言で済めばいいのかもしれない。
そんな中で青春を過ごしていたんだが、、、
男はこの時代を話したいらしい。
男「あの頃、、、ストIIXやってたお前なら知ってるだろうがSっておったやろ?」
............
すぐにキレる奴。
あまり強くないのに対戦台に座り負けては文句を言い、、、最悪殴り合いの喧嘩をするS。
当時中学生の俺から見ても短気極まりなく迷惑な客だった。
店員のO岩は薬を中学生の前で吸うか寝るか、、、又は客である俺達に筐体の掃除、灰皿の掃除を頼む始末。
要するにとりとめのない腐敗したゲーセンだった。
警察が喧嘩の仲裁に来るのも当たり前。
当時生徒会長していた先輩もバーチャをしていて相手の卑怯な戦法に睨んだだけでシルバーアクセだらけの手で殴られ唇が落ちそうになった。
そんな荒れた中で過ごしていたがふとSの姿が急に見なくなった。
空気読めない中学生代表としてSの事を話したら周りは凍りついた。
周りは知っていたのだ。
道頓堀や淀屋橋でホームレスを襲い川に落として殺害した殺人犯。
ニュースになったがその犯人がSとの事。
男は続ける。
男「S最近出所したってょ。」
作り話である事を願いたい。
作者パグ太郎
作り話ですょ。
あくまで作り話。
そういう事にしてください。