友人と飲む約束をしていたので、夕方に家を出た。人通りの多い商店街を歩いていく。時間帯が時間帯だけに、帰路に着く人が足早に通り過ぎていく。
「…プッ……、ククク………ププ、クッ、……」
後ろから笑いを堪えているような声がした。何となく嫌な感じがして、そろりと振り向く。
「ププッ……、クスクスクス……。プッ……」
ギョッとした。中学生くらいの少女が目からダラダラ涙を流しながら、必死で笑いを噛み殺していた。その子の首には御札?みたいな短冊状の紙がぶら下げられてあり、そこには綺麗な字で、
【私は生まれながらにして神罰をくだされた可哀想な女の子です。神罰により、笑いたくなくても笑ってしまうのです。どうか不愉快に思わないで下さい。お願いします】
少女の隣には、母親とおぼしき中年の女がいた。目が合うと「ごめんなさいね」と申し訳なさそうに言い、軽く会釈された。
そして少女の肩を抱くと、人通りを縫いながらどこかへ歩いていった。
作者まめのすけ。-2