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私には3つ離れた妹がいる。
一人は血が繋がってる『明優音』。
そしてもう一人の『萌々香』。この子は親から酷い虐待を受け施設に入りそうになった時、私の母親が引き取った。
家も近く生まれた時から遊んでいる為特に違和感も無かった。
その上妹二人は大のオカルトマニア。
しかも何故か私を含め三人とも『視える』。怪異、怪奇、幽霊、バケモノ、、、色々な呼び方があるだろうがまぁなんでもいい。此の世のモノではないということだ。
オカルトなんかにはいっそ興味のない私が、何故一番色濃く視え、感じられるのか神様に1度問い質したいがそれはまた今度にしよう。
この話は私と妹の明優音が体験した話だ。
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8月30日。
夏休み最後の休日ということで、私は妹の明優音と肝試しをする事になった。
家から程近い心霊スポット、通称『赤子トンネル』に。
反響した足跡が何故か赤ん坊の鳴き声のように聞こえる為、その名前がついたらしい。
毎度思うがそのリサーチ力や行動力を別の方面に向けて頂きたい。
例えば勉学に。
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私のバイクに乗り、トンネルまで10分程。
竹林の傍にそのトンネルはあった。
なんの曰くも無くても夜通ることは避けたい雰囲気だ。
一応カメラを回そうということになり、妹に命じられるままスマホのムービーを起動した。
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外に石碑のようなものがあった。
それを私はムービーで、妹は写真で撮した。
その石碑には
『〇〇(地名)365号トンネル 全長1.5km』とだけ記してあった。
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カメラを回しながら二人で歩く。
その道すがら足を踏み鳴らしたり、手を叩いてみたが、赤ん坊の鳴き声のように聞こえるなんてコト。
全く無かった。
「こりゃハズレじゃな」
「つまらん。アイツ偽の情報流したな。締めたらんと」
アイツが誰かは知らないが同情する。
ネチネチと責められるだろうから。
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最後まで歩ききり、辺りを見渡してみたが何も起こらなかった。
出てきたら出てきたで迷惑だが、ここまで何も無いと少しガッカリだ。
クマの一つでも出てこないかなぁと思った。
その時、ガサガサと竹林が鳴った。
「キタ!」
嬉しそうに声をあげた。
私は内心先程の願いを後悔したがそれも要らぬものだった。
出てきたのが一匹の犬だっからだ。
しかも小型犬で首輪までしている。
それを見るとなんだかテンションが上がって、二人で競争するようにトンネルを抜けた。
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バイクに乗って家に帰り、その動画をもう一人の妹、萌々香に見せた。
動画だと何か写っているかもと思ったが、やはり何も写ってなかった。
やっぱりハズレだなと明優音と言っていると、萌々香が急いで動画を巻き戻した。
「どしたん?なんか写っとったぁ?」
「お前ら走ったりしとらんよな」
「当たり前じゃろ。走ってたら画面が揺れる」
「じゃあ見てみ。この石碑」
そこには何の変哲もない石碑がアップで写っていた。
何かが写り込んでいる様子もない。
「なんなんかはよ説明してぇな」
そう急かすと萌々香は説明し始めた。
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「この石碑には全長1.5kmって書かれとるじゃろ?人間の歩く早さは1km10分くらいじゃ。でもこの動画ではトンネル抜けるまで5分もない。」
きっと私の顔は青ざめていただろう。
だって。
明優音の顔も青ざめていたのだから。
作者弥織(ミオリ)
実話です。
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