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最近起こったどうにも解せない出来事です。
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トド家は共働き。
なので、息子二人は保育園に通っています。
旦那の教育に失敗したなと感じ…心身共に疲れきっていました。何度も家を出ようかと考えた。そんなある朝の事
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「今日は早お迎えがいい!♪」
長男が言った。“早お迎え”とは、通常保育時間が終わる15時半にお迎えの事。トドは16時半上がりなので絶対に無理(゜ロ゜)!
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私「ごめんね、仕事はお休み出来ないから早お迎えは無理かなぁ。でも、できるだけ速く帰ってくるからね」
と、子供と約束をした。
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そんな日に限って、仕事が長引いてしまった。私は少しでも早く帰ろうと、愛チャリで緩い坂道を滑走する。
街路樹が立ち並ぶカーブ道。加速を止めず一気に下り降りていく
早く・・・早くっ!頭の中はそれで一杯だった
その瞬間、小道に左折する車が目の前に迫った!
「あっ・・・!」
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・・・ガシャッ‼
衝撃と共に身体が宙を舞う。
アスファルトに叩きつけられ、転がる。
ここは、かなりのスローモーションだった気がする
(あぁ、もうっ!転がってる場合じゃないのに!早く起きなきゃ・・・)
そこで、テレビの電源を落とすかのように意識がブッツリと途絶えた・・・
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保育園から徒歩1分程の所にあるトドの実家。
“私”は玄関に立っていた。
呼び鈴を押すが、音が鳴らない。「壊れてるじゃん。言わないとなぁ」なんて考えていたら、玄関から母が出てきた。
母「うわっ!ビックリした!」
“私”「こっちもだよ!てか、呼び鈴壊れてるよ?音が鳴らない」
母「あぁ、そう?で、どしたの?」
少し怪訝そうな顔をして、聞いてきた
“私”「急で悪いんだけど、お迎えに行けなくなってさ…子供達、お願いします!必ず旦那が迎えに来るから、それまで預けてていいかなぁ?」
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徒歩1分の場所まで来ていて、迎えに行けないとは何ぞや?
と、大いなる疑問を抱えつつ母は承諾した。
“私”「ありがとう!じゃあ、すぐ戻らないといけないから。またね!」
そう言って、踵を返す“私”に母は咄嗟に声をかけた。
「折角だから、あんたもたまにはゆっくり休みなよ?」
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「あ~、そうだね~」と背中を向けたまま手を振り夕暮れ時の住宅街へと消えていく“私”を見送った。
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呼び鈴を押す・・・
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ピンポ~ン・・・
呼び鈴は鳴った。
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目が覚めると、少し見慣れた天井があった。
どうやら職場の病室らしい。
職場近くで事故を起こした私は、赤色灯と共に出戻ってきた。恥ずかしい事この上ない…
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盛大に車に突っ込んだ割には、正面衝突なので自転車の先頭がクッションになり
宙を舞った割には、黒帯まで上り詰め身体に染み付いた柔道の受け身が衝撃を和らげた。
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グロテスクなかすり傷と左手手首の骨折
これで済んだのはかなりの奇跡らしい
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なのに、3日間目を覚まさなかった
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頭を打ったらしいが、特に問題はなく…色々と検査したけれど異常は見当たらなかった
なのに、目を覚まさなかった。ちょっと騒ぎになっていたらしい(汗
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病室には母と旦那が居た。
まぁ、良かったと話す二人・・・
「それにしてもお前、いくら早めのお迎え約束したからってお義母さん行かすなよ(笑)」と、旦那
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私「へ?」
旦那「あぁ、頭打ったから少し記憶が飛んだり混乱したりするんだって。覚えてないか~」
私「…?」
仕事に行く、と部屋を出た旦那をぼーっと見つめていた。旦那が去ったのを確認して、母があの時起きた出来事を説明してくれた。
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話を聞いて、矛盾が生じた。
まず、職場を出てすぐに事故を起こした私が実家に行くのはあり得ない。職場から実家までは自転車で10分かかる。あり得ないのだ
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じゃあ、あれは誰だったんだ・・・
だから、予め電話があった事にしてあるのだと母は何故か得意気に言った。
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あの時
無性に玄関を確認しないといけない気がして、行くと私が立っていた。何かあったとは思ったが、兎に角連絡を待ったそうだ…
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私は
子供の対応にも疲れていた。
でも、何としてでも迎えに行こうとしたんだろう
疲弊した心でも私はまだ「母親」だ
何か、奮い立つ思いが湧いてきた
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しかも、言われた通りちゃんと3日間休んだんだな
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てか、要するに化けて出たってこと?
何で普通に対応してるの?怖くないの?
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そう聞いた私に母は笑って答えた
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「化けて出ようが、何だろうが娘に変わりはないね!
死んだのかと思って焦ったけどねーwww」
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目の前の「娘」が本人でないと知っても、変わらぬ対応をした我が母親・・・
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が、ある意味偉大過ぎて一番怖いや・・・
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《終》
作者トド
お読み頂きありがとうございます。
初投稿なので、駄文長文ですみません(。>д