俺は、自分が楽しければそれでいい。
気分を害するヤツには片っ端から攻撃していく、それが俺のルール
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俺の前を猫が通りやがった!
生意気な!
俺は全力で蹴りあげる。
「ギャッ」と短く鳴いた後、ぐったりと横たわっている。俺の前を通るお前が悪い。
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ふと視線を感じて、空を見上げると屋根から1羽のカラスがじっとこちらを見ていた。
「なんだよ、餌が出来たぞ、有りがたく思え」
吐き捨てるように言い、その場を後にした
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俺は手当たり次第攻撃していく
虫も動物も人も!気に入らないんだよ
踏まれたお前が悪い!
蹴られたお前が悪い!
殴られたお前が悪い!
そんな毎日を過ごした。それが楽しかった。
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ガァーガァー…
そう言えば、最近やたらカラスが増えたな
あいつらだけは、何をしても当たらない。腹立たしいやつらだ
ガァーガァー煩いんだよ!
冬の寒空の下、カラスを睨み付け俺はミリタリーショップへと足を運んだ。
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今度は何匹、矢ガモにしてやろうかな…
そう考えながらニヤニヤと品物を見る。池のある公園を探しカモを獲物に狩りをする。それが俺の週末の楽しみだ
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店を出て、俺は少し後退りした
電線・塀・屋根、辺りはカラスだらけだった
「っんだよ!餌はまだねぇよ」
気味が悪くなり、足早に帰った
ガァー
ガァー
ガァー…
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週末、俺はとある公園の池付近に身を隠していた。
草むらの陰から、どのカモに狙いを定めるか慎重に物色する
何とも言えない高揚感だ!
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ガサガサガサ…
周りの木々で葉が揺れるような音がした。
ここは木陰になっていて身を隠しやすい。本当に良い場所を見つけたな。
…ん?風は吹いたか?…まぁいい
狙いを定め、ボウガンを構える…
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…ゴッ!!
鋭い衝撃と共に激痛が後頭部に走った!
「な、なんだ?」
後ろを振り返り、俺は愕然とした…
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カラスだ。
枝の葉だと思っていた物は全てカラスだ!
音もたてず、鳴きもせず、木々を埋め尽くすカラス
すると、一匹のカラスが鳴いた
ガァーガァー…
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ガァー
ガァーガァー
ガァーガァーガァーガァー!!
それが合図かのように、今まで黙っていたカラスが一斉に鳴き始める!
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「な、なんだ!なんなんだよ!」
咄嗟に逃げようと立ち上がろうとした瞬間
ガッ!
右足に激痛が走る…つつかれたのか?
確認する間もなく、左足、手、頭、
次々にカラスが寄ってきては激痛が走る
「やめろ!俺は餌じゃない!」
手足をバタつかせて払おうとするが一瞬にしてカラスに群がられてしまった…
「や…やめ、やめろおおぉーー!」
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ガァー
ガァー
ガァー…
辺りにはカラスの羽音と鳴き声だけが異様に響いていた…
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*
*
「今日一日のニュースです。
今日未明、〇〇公園にある池の畔で男性の遺体が発見されました…」
「辺りには黒いカラスの羽が散乱していた模様で、専門家によるとカラスに襲われたとの見解です」
「カラスが小動物以外の生き物を襲うのは珍しく、引き続き調査を行う模様です…」
《終》
作者トド
お読み頂きありがとうございました!
諸先輩方に乗っかりました!失礼しました‼
たまには、カラスをヒーローにしてみようかと…
(^_^;)