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カァ~ カァ~
カァ~ カァカァ~
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「こら、あっち行け!」
ゴミ屋敷のおじさんがカラスたちに向かって怒鳴る。
長い棒を振り回すが、カラスたちは馬鹿にするようにまた戻ってくる。
「くそ、生意気な奴らめ!」
近所の人たちは、嫌なら早く片付けろよ!と言うがおじさんは聞く耳を持たなかった。
…………………………
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ある日の夕方、冷蔵庫にビールが無いことに気づきコンビニへ。
白いタンクトップとヨレヨレの半ズボン、小銭をチャラチャラいわせながら歩く。
ボサボサの白髪頭をガリガリ掻いてコンビニへ向かう。
途中の公園を通りかかったとき。
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「ねぇ、黒い家って知ってる?」
「うん、たまに聞くよ。でもただのウワサでしょ?(笑)」
二人の女子が話しているのが見えた。
ん?と思いしばらく聞いていたが、子供の話だからと鼻で笑って歩き出した。
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「黒い家って……(笑)
そんなの世界中探せばどこにでもあるだろ(笑)」
ボソッと呟きながらビールを買って帰る。
…………………………
家からいつものようにカラスたちの鳴き声が。
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カァ~ カァ~
カァ~ カァカァ~
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「ったく、またカラスが集まってやがる!」
…………………………
自分の家に集まるカラスたちを見て、背筋に寒気が走る。
窓や玄関、壁が全く見えないほど、無数のカラスたちがゴミ屋敷を埋め尽くしていた。
「なんだよ、これ……」
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…………………………
「くそ、胸くそ悪い!」
眉間にシワを寄せて舌打ちすると、あっち行けよ!と怒鳴りながら長い棒を振り回す。
しかし、カラスたちには通用しない。
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カァ~ カァ~
カァ~ カァカァ~
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「うわぁ!」
一羽のカラスが顔に飛びかかる。
それを見た他のカラスたちが何度も鳴きつづける。
「やめろよ、どけよ!」
無我夢中で手足をばたつかせるが、カラスはどいてくれない。
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バサバサバサバサ……
カァ~ カァカァ~!
「ひぃ~!」
おじさんの動きがピタリととまる。
鳴くのをやめたカラスたちの目が獲物に狙いを定めるように赤く光っている。
あまりの恐怖にその場で立ち尽くす。
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カァ~ カァ~
カァ~ カァカァ~
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鳴き声に反応するかのように、おじさんは一歩また一歩と歩き出した。
右手をゆっくり前に伸ばして、誰かに引っ張られるように。
…………………………
…………………………
…………………………
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「あ……」
友達の家から帰る途中の菜々美が、近くを通りかかった。
ゴミ屋敷のおじさんだと思い、電柱に隠れて様子をうかがう。
明らかに様子がおかしいと思いながら、ふとカラスたちで埋め尽くされたゴミ屋敷が目に入る。
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「黒い家……」
そう呟いた瞬間、菜々美はあわてて口をふさぐ。
…………………………
見てしまったと……。
顔が真っ青になり、気持ちが悪くなってきた。
早く帰らなきゃ!私もヤバイかも!
菜々美は走って家に帰った。
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…………………………
次の日、菜々美は死んだ。
おじさんも数日後に見つかった。
十数キロも離れた山の中で。
どこへ行こうとしていたのかは分からない。
息絶える前に書いたであろう、赤い血で、“くろいいえ”と書かれていたらしい。
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またどこかでカラスたちが鳴いている。
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カァ~ カァ~
カァ~ カァカァ~
…………………………
作者退会会員
完結編です!
どんなお話かな~?(笑)
ヽ(*´▽)ノ♪