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【セブンスワンダー】 七不思議

短編2
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【セブンスワンダー】 七不思議

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机の上には10冊の冊子が並べられている。

表紙に小さく書かれている刊行の日付を見ると

直近が6年前、その7年前、さらに7年前、7年前、7年前…。

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「へえ、たしかに7年ごとに刊行されているんですね。ってことは、この一番古いのは70年以上も前のですか?すごいですね」

俺は目の前に座る部長に話しかけた。

「そう、毎年秋の文化祭で我が文芸部が刊行している部誌が『陽炎』。

小説でもエッセイでも詩でも、文章だったらなにを載せてもいいんだけど、7年に一度、特集号の時はテーマが決まっているの」

並べられた冊子はすべて「雨ノ杜高校七不思議特集号」と銘打たれている。

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俺は比較的新しい号の目次をパラパラと見比べてみる。

さっき先輩が話してくれた「顔」の話は、直近の3冊には掲載されているが、それ以前には名前がないようだ。

実際に事件があった20年ほど前から不思議に加わった話ということだろう。

つまり、七不思議が「改訂」されているのだ。

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よくよく見ると「顔」の話以外にも号によって不思議のラインナップが微妙に変化している。

「掲載する七不思議を選定・認定する権限は、その時々の現役生に一任されている。つまり、よりタイムリーな話を掲載しなさい、ってこと。これが我が文芸部の伝統ってわけ」

――変わった伝統もあったもんだ。

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俺は一番古い号にはどんな七不思議が載っているのだろうと思い、机の上に手を伸ばしたが、一瞬早く部長にかすめ取られてしまった。他の号もあわせて回収されてしまう。

――ケチ

「最初から全部読んじゃ面白くないでしょ?折に触れて私が話してあげる」

そう言うと、部長は部誌の束を部屋の隅の古めかしいダイヤル式金庫の中に閉まってしまった。

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「来年は、前の特集号から数えて7年目。私たちの番。今年の新入部員は君しかいないわけだし、必然的に来年は私から部長の座を引き継がれるので、ヨロシク!」

なんか、えらいプレッシャーを感じる。今なら入ったばかりだし、辞退するなら、

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「――辞めちゃヤダよ?」

キレイなお姉さんの上目遣いは卑怯だ。

俺はハア、と力なく返事をした。

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