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・・・・・
私は、野呂 夏美。
17歳の女の子。
・・・
今日は、兄の野呂 太郎にそそのかされて、結局、こんな深夜に狩り出される事になった。
・・・
どうしてかって?
それは、私が他の人よりほんの少し・・・霊感があるからだ・・・
こんなモノはなくても良いのに!!
とは思うモノの、兄の太郎は邪の塊の様な男なので霊に憑りつかれやすく、結局、いつも私が強制的に兄に憑りついた霊を祓う羽目になる。
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これから向かう先は、ネットでも評判の、かなりヤバいところみたい!!
・・・
「ねぇねぇ~皆聞いて?
今ね、これから向かう先の別荘を調べてみたらねぇ・・・」
兄の運転する車の後部座席に座る夏美の隣の隣に座る川久保 史華が舌足らずな甘えた声で、暗闇をそこだけ明るく照らすスマホを手に話し出す。
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「これから行く別荘はねぇ・・・ある一家が所有してたんだってぇ。
その年は、子供3人とそのお父さん、お母さん。
そして、その別荘の所有者でもあるお祖父ちゃんとお祖母ちゃんの7人で行ってたんだってぇ・・・。
その別荘地には、代々、別荘の管理人をしている一家がいてねぇ、いついつに来るって連絡が入れば別荘に来た人がすぐに寛げるように掃除をしたりシーツを交換してぇ、ベッドメイキングなんかもやっていたらしいのぅ。
シーズンオフの時も、不審者が入り込んだりしない様にぃ・・・」
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「なになに?どこにそんな詳しく載ってるのー?どのサイト?」
助手席に座る兄の彼女の平坂 洋子が後ろを振り向き史華に聞く。
・・・
「え~とぉ・・・これ!!今、URL送るねぇ!」
すると、狭い車内に軽快な着信メロディーが流れ、洋子はたった今史華に送られたURLを開き、この事件についての“まとめサイト”を読み出した。
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「うんうん・・・それでその管理人は、一家のお母さんに惚れちゃってた訳だー。
そして、自分の募る想いが叶わない事を嘆いて、自分のモノにならないならいっそ・・・って、一家全員を惨殺しちゃったみたいねー。
電柱に登って送電線切って、別荘一帯を停電にしちゃってー
それから電話線も切ったらしいね!
でも、携帯があるじゃんw」
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「それじゃ、まるでストーカー殺人みたいじゃね???」
兄の太郎がハンドルを握りながら答える。
・・・
「うん・・・
でもさ・・・」
・・・
夏美の隣に座る兄の親友の龍田 進が神妙な声で話し出す。
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「別荘のシーズンなんて、1年のうち長くても数か月だろ?
1ヶ月もいないよな?
犯人の男の一家は、代々その地で管理人をしていたとするなら・・・
人里離れたそんな場所に孤立していたとするなら・・・
精神を病んでも、ある意味頷けるよな・・・
人数の違いは有るけど、俺は“津山三十人殺し”が頭に浮かんで来るんだ・・・」
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「なにそれ?“津山三十人殺し”って?」
太郎が進に聞く。
・・・
「“津山三十人殺し”って言うのは、昭和13年に、実際にあった事件だよ。
僅か2時間足らずで30人の村人達を、猟銃と日本刀で殺害して、犯人も自殺したんだ。」
・・・
「ひ・・・マジか・・・頭のイカれた奴だな・・・w」
太郎の言葉に返事もせず、進は話を続ける。
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「両親を結核で亡くしていた犯人は、祖母の家に引き取られて住んでいたんだ。
当時は割と裕福な家庭のお坊ちゃんだった訳だが、戦争が始まり、村の男達はどんどん兵隊として出征して行く。
男達の少なくなった家庭の主婦達や村の娘たちは、自分の欲求を年若い犯人で埋めていたんだ。
犯人の都井 睦雄(とい むつお)も20歳になって徴兵検査を受けるんだが、結核で不合格になったんだよな・・・
結核なんて、当時は不治の病だろ?
それまで睦雄と関係を持って来た主婦達も、やがて睦雄を邪険にする様になるんだ。
そりゃそーだよな?
自分までそんな病気に罹りたくないもんな!
でも、睦雄って言うのが・・・これまた、太郎!
お前みたいな奴だったんだよww」
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「ええッ???俺???」
真剣に進の話を聞いていた太郎は、いきなりフラれてビックリした声で言う。
・・・
「wwwそうだよwww
太郎みたいな、異常性欲の持主だったんだwww」
・・・
「えええッッ!!!!!」
太郎の声を聞きながら、夏美は運転席に座る兄のシートを後ろからドフッと思い切り蹴る。
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「ゲフホッ・・・」
どうやら蹴られた衝撃で、ハンドルに胸を打ち付けた様だ。
車内が笑いに包まれる。
・・・
「ヒーヒーwww・・・そんな、太郎みたいな異常性欲の持主の睦雄が、女なしでいられると思うか?」
進が大笑いしつつそう話し出すと
・・・
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「ブホヘッ・・・」太郎が又変な声を出す。
どうやら今度は助手席の洋子に肘鉄を喰らった様だ。
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「ブワハッハッハwwwww・・・」進は笑いながらも話を続ける。
「夜這いしても、雨戸を開けて睦雄を迎え入れてくれる女はいない。
だが、溜まって来るモノは溜まって来ちまうしww
それで睦雄は、嫌がる女達を【殺すぞ!!】って脅しながら、コトに及んでいたんだ。
独身の女は勿論、旦那のいる女まで、本当に・・・太郎みたいに?w女なら見境なく?w」
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「ゲフブフォッッッ!!」
今度は、後部座席の夏美と助手席の洋子2人に鉄槌を下され
「進!頼む!!俺はそんな男じゃない!!
頼むから俺の名前は出さないでくれ!!!」
太郎は涙声で進に頼み込む。
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「悪かったwwwww
そのうち、睦雄は自分を拒否する女達に激しい憎しみを抱く様になって・・・。
その中でも、自分と関係を持ちながら他の男と結婚をした2人の女に対して、特に強く・・・。
・・・
その頃から睦雄は、祖母の田畑を担保にして、銃や刃物を集め始め、着々と大量殺戮の準備を始めていたんだ。
・・・
そして、決行当日、村の送電線と電話線を切断。
・・・
初めに、寝ている祖母を殺害すると、深夜1時から3時の間に33人の人を、銃や日本刀や鉈を使って、次々に殺害して行ったんだよ・・・
その中の3人だけは、怪我は負った物の、命は助かった。
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そして、睦雄自身は、殺戮の夜が明けると、村を一望できる山の高台で、猟銃を使い、自らの命を絶った・・・
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ホラ!!フケだらけのボサボサの頭にパナマ帽被って、羽織袴に下駄履いて・・・ヨレヨレのマントみたいなの羽織ってる探偵の出て来る映画・・・あるだろう?
《祟りじゃ・・・祟りじゃ・・・八つ墓の祟りじゃー・・・》って、頭に蝋燭立てて走ってるやつ!
この津山三十人殺しは、八つ墓村の基になった事件なんだよ。」
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確か・・・父が存命だった頃、一緒にテレビのロードショーで観た様な記憶がある。
母に「小さい子に、こんな映画観せないで!!」
そう父が叱られていた事を夏美は思い出していた。
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「着いたぜ!!!w」
太郎の声で、皆がハッとする。
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それぞれが手に懐中電灯を握り、静かに車を降りた・・・。
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車のライトを消した今、明かりは5つの懐中電灯の明かりだけ。
空には月も無ければ星も見えない。
周りには、虫の声も獣の声も聞こえて来ない。
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ただ、静かな闇に圧し掛かられる様な、重い空気が辺りを包む。
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そして問題の別荘の周りには、来る者を拒むかの如くフェンスがグルリと立ちはだかる。
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「どっから入れっかなー?あんだけ話題になる心霊スポットだろ?
どっかに穴が開いてんだよ・・・きっと・・・」
太郎は懐中電灯の明かりでフェンスを隈なく照らしながら、独りごちる。
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《ここ・・・マジでヤバい・・・》
夏美の全身が総毛立つ・・・
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気をシッカリ持たなければ、兄を守るどころか・・・自分まで魅入られてしまう可能性もある。
夏美は下腹部に力を入れると、大きく深呼吸をした。
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すると
キャンキャン騒いでいる太郎、洋子、史華を呆然と見詰める進と目が合った・・・様だ。
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進は懐中電灯で自らを照らし、【グッッ!!】と親指を立てて夏美を安心させてくれる。
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夏美も同じ様に親指を立てると、意を決して問題の別荘の真正面に立った。
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「おーーーいっ!!
夏美ぃーーー!!
進ぅーーー!!
こっから入れんぜ♪」
太郎はフェンスの下に開いた直径50cmほどの穴を照らした。
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「進くぅ~ん♪史華怖いから、一緒に行ってね?」
史華は、チラリと夏美を見ると進の袖を引っ張る様に連れて行く。
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夏美が穴を懐中電灯で照らし、兄と洋子が入ったのを確認すると、進が先に入れと言うように自分の手にした懐中電灯で合図をしてくれた。
夏美は頷き、地面に近い穴から入ろうと・・・
目の前のフェンスを無意識に照らした・・・
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《ッッッ!!!》
いつの間にか、夏美の目の前に女が立っている。
フェンスの向こう側から助けを求める様に、ガタガタとフェンスを揺らしている。
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進をみると、懐中電灯で照らされた女の姿を見、そして夏美を見た。
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夏美と進以外の人には見えていない様だ・・・。
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・・・
夏美は、下腹部に力を貯めたまま指で九字を切る。
・・・
そして兄達のいる別荘敷地に入り込んだ・・・。
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・・・
【続く・・・】
作者退会会員
ロビちゃんから渡されたバトンで、2作目担当しました鏡水花です♪
長い話ばかりの私が書くと、、10人までバトンが渡るまでが大変になってしまうので
キリの良い所で、可愛い妹にバトンを渡します( ´艸`)♡
では・・・
紅茶ミルク番長の出番でぃすッ(*゜∀゜)ノ~
【ルール説明】
一応、作者様の数は私を含め、後9名様までと決めさせて頂きます。
書き終わった作者様が、次の愛すべき作者様を指名して頂きます。
文章は短編でも長編でもオーケー!但し、バトンを引き継いでから「24時間以内」の執筆、upでお願い致します。
24時間を過ぎますと、新しい作者様を指名されるか、我こそは!という作者様に引き継がれます。
※ 男性の作者様と女性作者様がおられるので、必ずしも「太郎目線」で無くとも構いません。←これ重要
あと、解りやすい様に、タイトル部分に【リレー作品】と番号を入れて下さい。
そして8番目、9人目の作者様は次の方がラストですので、余り伏線を広げ過ぎない様にお気をつけ下さいw
登場人物は下に書いた5人+2人(幽霊除く)まででお願い致します。
勿論、今はお忙しい時期なので指名されたからといって無理に引き受けず、辞退されても構いません!
お祭りなので時間のある、書きたい方のみで結構でございます。
【登場人物】
野呂 太郎 → 年齢20歳、元暴走族上がりのオラオラ系だが、現在はすっかり丸くなり、ガソリンスタンドで契約社員として勤めている。霊感多少有り。
龍田 進 → 年齢20歳 太郎の親友(幼馴染み)。太郎とは正反対の容姿で、頭脳明晰な大学生。実家暮らし。霊媒体質。
平坂 洋子 → 年齢19歳、太郎の彼女。一方的な太郎の片思いと積極的なアプローチに負け、三カ月前から付き合い始めた。 社会人一年目の美容部員。霊感無し。
川久保 史華 → 年齢19歳。洋子の親友。高校卒業後、実家の由緒ある酒屋さんの手伝いをしている。話し口調は萌え系。密かに龍田進に想いを寄せている。霊感無し。
野呂 夏美 → 年齢17歳。太郎の妹で美人。口調は男っぽく柔道の有段者。意外と泣き虫。高校二年生。霊媒体質。
…
後、ご質問、ご要望、参加希望者の方がおられましたら、ロビンM太郎.com宛てにお願い致します♪
さあ、それではお祭りを開催しましょう!
よもつ先生には「ラスト」を飾って頂きます(≧∀≦)v☆←コレ重要!!
これまでのお話は、以下リンク先をクリックしてご覧ください。
第一走者:ロビンM太郎.com様→http://kowabana.jp/stories/25198
第二走者:鏡水花→http://kowabana.jp/stories/25206
第三走者:紅茶ミルク番長様→http://kowabana.jp/stories/25219
第四走者:あんみつ姫様→http://kowabana.jp/stories/252
第五走者:mami様
→http://kowabana.jp/stories/25244
第六走者:ゴルゴム13様
→http://kowabana.jp/stories/25256
第七走者:ラグト様
→http://kowabana.jp/stories/25269
第八走者:龍田詩織様
→http://kowabana.jp/stories/25277
第九走者:小夜子様
→http://kowabana.jp/stories/25283
第十走者:よもつひらさか様
→http://kowabana.jp/stories/25296
【最後に・・・】
リレー用の画像を30枚ほど投稿いたしました(・O・)ノ
参加者の皆様、どうぞ作品に色をお飾り下さいまし(*⌒艸⌒)