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皆殺しの家【リレー作品③】

中編3
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皆殺しの家【リレー作品③】

フェンスを潜ったとたん、季節が冬へと変わったように感じた。

冷たい…とにかく空気が冷たいのだ。

耐えきれずに身震いをすると、俺にくっついてる史華が不思議そうにこちらを見てきた。

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「進くん、どうしたのぉ?寒い?

あ!史華が温めてあげよっか!」

『え、遠慮しておくわ…w』

全く…頼むから夏美ちゃんの前であまりベタベタしないでくれよな…。

俺の心の声は、ため息となって消えた。

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夏美ちゃんの方を見ると…

円を描くように建てられた家のうち、最も奥の1戸を凝視していた。

目を見開き、呼吸も浅く、細くきざんでいた。

近くでテンション高く騒いでいる、太郎と洋子の声は聞こえていないようだった。

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俺は話し掛けようと肩を叩いた。

「!?」

電気が走ったようにビクッと跳ねる夏美ちゃん。

『どうしたの、大丈夫?』

「ハッ…ハッ…ハッ…、ここヤバイ…

ヤバイですよ進さん…!」

震える指でさっきまで見ていた家を指す。

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「あの家で間違いない…!…女の人は絶対に入ったら危険!!」

俺も恐る恐る指差す家を見てみる。

確かにやばそ…………ん?

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「…夏美ちゃん…。ちょ…w

あ、あれ…www」

『え?どうし…え!?

shake

兄貴!!洋子さん!!』

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俺達が話している間に、先ほどまでは隣で騒いでいたはずの太郎と洋子は

家に入ろうとドアをガタガタと2人で動かしていた。

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「ちょっと兄貴!?よりにもよってなんでその家…!待って!!」

『おい太郎!洋子!まじヤバイんだって!戻ってこい!!』

俺達の声は届いているはずなのに、2人は振り向きもせずに

古びたドアをこじ開けることに夢中になってた。

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「兄貴!」

夏美ちゃんが太郎達の元へ走り出した。

俺も加勢を…

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shake

グッ!

『!?』

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走り出そうとした俺の身体は、左腕に掴まれている力によって制止された。

振り向くと俺の左腕を掴んだ史華がうつむいていた。

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『おい史華…!太郎達を止めなきゃ!離してくれ!』

「なんでですかぁ?」

俺を掴む手に力がこもった。

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『なんでって…、状況的にまずいだろ!頼むから離してくれ!

怖いなら一緒に行こう、ほら!』

「嫌ですぅ。なんで行く必要があるんですか?」

…おかしい

俺はさっきから全力で振りほどこうとしてるのに…

史華の身体がピクリとも動かない!

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「…あ、わかったぁ!」

『へ?』

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shake

「お前もママを奪いにきたのか!!」

突然顔を上げた史華は、鬼の形相だった。

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『うわあぁぁ!!!』

ドンッ!ドサッ!

左腕が折れそうなほどの力で掴む史華を全力で突き飛ばした。

痛がる様子も無く起き上がってこようとする史華に

俺の全神経が警報を鳴らしていた。

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ヤバイヤバイヤバイ…

こいつ…史華じゃない!

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俺は夏美ちゃん達が向かった家へと、走り出した。

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『夏美ちゃん!』

「あ、進さん…。」

『2人は?』

「ドアが開かないと悟ったのか、あそこの割れた窓から入って行きました…。

私の声も聞こえてないみたいで…。」

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夏美ちゃんの指差す方を見ると、庭側の窓ガラスが割れていた。

…あそこから入ったのか。

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「…あれ、史華さんは?」

『!!…そうだ、史華も様子がおかしかったんだ!

突然怒り出して…〈ママを奪うのか!〉って…。』

そう説明しながら史華がいる方を振り返り、懐中電灯で照らす。

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史華は、歩きながらこちらに向かってきていた。

『…まずい、こっちにきてる!』

「進さん!私達も中へ入りましょう!

史華さんもまずいけど…兄貴と洋子さんは、もっと危ない!」

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そう言った夏美ちゃんは、意を決して窓の中へと入って行った。

俺もそれに続いて、家の中へと足を踏み入れる。

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…こうして俺達の、長い夜が始まった。

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この時、俺は甘く見ていたのかもしれない…。

〈皆殺しの家〉の恐ろしさを…。

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つづく

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マガ兄様 ごきげんよう!
コメントありがとうございます。

色んな妄想が広がる中、よもつ様に一番締めてもらいたいストーリーを
私の独断と偏見と好みとミルクティーで考えた結果
このような展開になりましたwww

みつ姫お姉様なら、どんなストーリーでも安心してバトンを渡せますので
書きたいままに書きましたw

さて、なんか過呼吸になってる猫さんがいるので
マタタビでも与えようかな!w

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いやいや〜憑かれちゃ駄目でしょう(>_

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