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俺はナンパした女を乗せて、車で山奥までやってきていた。
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車を停め、ライトを消すと、そこは全く光のない世界だ。
近くに民家もないし、観光名所もない。ただただ深い森の中を走る道の路肩だ。
俺にとってはそれでよかった。いや、それがよかった。
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なにしろ目的はアレなんだから。わかるだろ?
俺はこれまで、何度もこの場所を利用している。もちろん毎回違う相手と、だ。
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シートを倒し女の身体をそこへ横たえ、服を脱がせる。
暗闇の中にぼんやりと女の白い裸体が浮かび上がる。
お互いの息遣いだけが聞こえる空間。
お互いの肌のぬくもりだけが伝わる空間。
俺は女の上に馬乗りになり、思うさま愛撫する。
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「あっ……、はあっ……」
俺の指に、舌に、女が反応する。
女の鼻にかかった甘い声に、俺の興奮は否が上にも高まる。
そしてたまらなくなった俺は、女の中に俺のアレを深く突き入れた。
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「あああ!んあああぁ!」
女がはしたなく叫ぶ。
いいぞ。人に聞かれないためにこんな山奥まで来てるんだ。思う存分乱れてほしい。
俺は緩急をつけて何度も女の身体に突き入れる。
女の温かい液が俺の身体を濡らす。
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「あああああ!あ、あ、あ、ああ……」
一際大きな叫びの後、身体をビクつかせて、女の身体から力が抜ける。どうやらイッたらしい。
それに合わせて俺も射精する。
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俺はしばし呆然と女の身体を眺める。
車の中はふたりの体液でビショビショだが……それはまあ、後で考えよう。
今は、脱力した身体を女の隣に横たえ、ピロートークとしゃれこむことにする。
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ふと、横になった俺の目に、運転席の横のガラスが映った。
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そういえば、今日は昼から曇天だった。夜になっても厚い雲が空を覆っている。
そういう日は、逆に夜の底がぼんやりと明るい。
茂みの奥や車内はさすがに暗いが、例えば運転席の横のガラスの外なんかは、ぼんやりと色のない景色が見える。
そのガラスの前に。
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無表情の少女の顔があった。
こちらをじっと見つめている。
「ひっ……!」
俺は思わず息を飲んだ。
なぜだ?どうしてこんなところに子供がいる?
山奥だぞ?深夜だぞ?いつからそんな……?
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見たくないものから目を背けるように、助手席側のガラスに目をやると、
「なっ……!」
さっきの顔が俺を覗いていた。
俺が頭を振るのに1秒もかかっていない。
なのにさっきの子供はそこにいた。車の前を回り、こちら側へと?ありえない!
とっさに運転席側を見るが、そこには誰の影もない。
俺はもうそれ以上ガラスの外を見ることができなかった。
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目をつぶって運転席に座り、いつもの感覚にまかせてエンジンをかける。
そして猛烈な勢いでバックをすると、車を急回転、急発進させた。
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なんだ!なんだ!なんだ!なんだ!
なんなんだ、アイツは!
俺は二度とあの場所には近づかないと、固く心に誓っていた。
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『次のニュースです。
昨年の9月から今年の6月にかけて、6人の女性が誘拐され殺害されていた事件で、今日午前、埼玉県さいたま市在住の会社員の男を殺人容疑で逮捕しました。
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逮捕されたのは○○○容疑者、27歳です。
調べによると○○容疑者は街で未成年の少女に声をかけ、「ドライブに行こう」などと言って車に連れ込み、人気のないの山奥に移動、車内でナイフなどを使って被害者を殺害したうえ、遺体を現場に遺棄していたとのことです。
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昨日10日の深夜、○○山の山中で、容疑者が車中で被害者の女性○○○さんを殺害していたところを、その日たまたま近くの沢にキャンプに来ていた家族の、双子の姉妹が目撃し通報しました。
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二人が証言した、現場から逃亡した車の特徴と、○○容疑者の所有する乗用車の特徴が一致したために捜査本部が調査に乗り出し、車の中から被害者のものと思われる大量の血液が発見されたことから、逮捕に踏み切りました。
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調べに対し、○○容疑者は
「自分が誘えば皆喜んで車に乗ってきた。自分がすることに、女性たちは皆喜んでくれていた」などと供述しており、薬物使用の疑いも含めて、現在調べを進めているとのことです』
作者綿貫一
こんな噺を。