コレは、先週の話し…
疑われるかも知れないけど、ホントの話し…
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俺の過去の作品を読んで頂いた人はわかると思うが、俺は釣りが趣味だ。
メインのターゲットはアオリイカ。
俺の住む地域では、ゴールデンウィーク頃からぽつぽつと釣れ始める。
その日、俺は早速夜釣りに出かけた。
仕事を終え、夜の8時過ぎに家を出た。
車で30分程の、いつもの漁港でしばらく竿を出すがやはりまだ早いのか、なんの反応もない。
「う~ン、やっぱり出雲まで行かんと無理かなぁ」
独り言を呟きながら、車を西へと走らせる。
神話の里、出雲まではここから一時間程度。
目指すのは出雲大社のすぐ近くにある漁港だ。
ただ西へと向かうのはもったいない気がして、海沿いの道を走らせながら、通り道にある漁港に立ち寄りながら向かう。
いくつ目かの港を過ぎた頃だった…
時間は0時半ごろだった…
俺の車の前に何台かの車が走っていた。
「こんな時間に珍しいな…」
この道、ホントに海沿いを走る道で、いつもこの時間になるとすれ違う車もほとんどいなくなるほど交通量の少ない道なんだ。
少し内陸側に入れば国道だって走ってる。
こちらの道は狭い上に、アップダウンとカーブのやたら多い道。
数㎞ごとに小規模な集落があり、そこには自販機程度の物はあるが、集落と集落の間は街灯すらない真っ暗な狭い道。
この時間にこの道を通るのは地元住民か、釣り人ぐらいだろう。
少し違和感を感じながら、漁港に立ち寄り竿を出した。
30分ほど釣りをして、また車に乗り込む。
西へと車を走らせる。
走り出して、最初の左カーブを曲がりきった時だった。
目の前にまた車の列が現れた。
何か言い表せない不安と、背筋に冷たいものを感じる。
その不安の根拠はすぐにわかった。
俺の前を走る車…
さっき漁港に立ち寄る前にも俺の前を走っていた車だ…
「ウソだろ… だって30分ぐらいは釣りしてたんだぞ…」
そんなバカなことあるはずない…
きっと見間違えたんだ…
自分に言い聞かせる。
かなり古いタイプのス○キの白の軽自動車…
ナンバーの都道府県表記が“島”の一文字…
だから印象に残っていた…
間違いなく同じ車だ…
さっきと違うのは、明らかに車の台数が増えているということ…
「なんなんだよコレ?」
もうすぐ、少し規模の大きな漁港のある集落に着く。
長めの直線道路になるはず…
坂を下りながら、道は左にカーブする。
坂の上から直線道路を見下ろす…
20数台の車の列…
どの車にも共通しているのが、とにかく古い車だということ…
軽自動車、普通車、軽トラック…
色々な車があるが、どこか古びた車ばかりだ…
何故そう感じたかはよくわからないが、自分の周りの景色が何故かセピア色に見えた…
深夜の真っ暗な道を走っているにも関わらず…
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とにかく遅い…
スピードメーターに目を向けると、30㎞を少し越えたぐらいのスピードだ…
車列の先頭を走っている車が霊柩車であることに気づくのにそれほど時間はかからなかった…
「絶対に普通じゃないよな…」
そう呟きながら、前の車の車内を伺おうとするが、よく見えない…
数少ない街灯の下を通りかかった時に、かろうじて車内にヒトカゲがあるのが見えた…
軽自動車にはあり得ない数の無数のヒトカゲが…
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トンネルに差し掛かった…
トンネルに入った瞬間、まぶしい光がフロントガラスから差し込んだ…
ほんの一瞬だった…
普通にまばたきをしたのよりも気持ちだけ長い時間だっただろう…
前を走っていた車列は跡形もなく消えていた…
作者烏賊サマ師
最後まで読んで頂いた方ありがとうございました。
実話です。そんなに怖い話しでは無かったですね。
実際に体験した自分でも怖いというよりは不思議って思いの方が強かったですし…(^_^;)
う~ン、実体験を文章で伝えるのって難しいですね(^_^;)