【重要なお知らせ】「怖話」サービス終了のご案内

長編13
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グループLINE…

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ユカ「オーナー、コレ見て下さい! ちょっとひどいと思いませんか?」

そういいながら俺のいる休憩室にスマホを持って飛び込んで来たのはフロアリーダーのユカだった。

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マサキ「どうしたの、ユカちゃん? 血相変えて。」

ユカ「とりあえず、コレ見て下さい!」

そう言って彼女は俺にスマホを突きつけて来た。

画面に映っていたのは、LINEの1ページ…

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マサキ「グループLINE? コレがどうかした?」

ユカ「読んで貰えればわかります!」

彼女の剣幕に、ため息をつきながらスマホの画面に視線を落とした。

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クミ : 今日もまたあのユカってバカ女に文句言われたンだけど!マジウザイ!

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ケイ : えぇ!また~⁉ あの女リーダーだからって調子に乗りすぎだよね~‼ もうムシムシ~‼

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メグ : ちょっと~、コレバイト先のグループLINEだよ~‼ あの女も見てるよ~‼ 後が怖~い(笑)

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ユカ : みんなして私の悪口言って楽しい? 言いたいことがあるなら、面と向かって言えば!

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ケイ : はい、来た~‼ 空気読めないバカリーダー(笑) いちいち会話に入って来んなって!

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ユカ : なに言ってんの? もともとここはバイト仲間で気軽に愚痴ったり、相談しあったりしようって私が作ったものでしょ! ケイちゃんにそんな風に言われる筋合いはないよ!

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クミ : だから、バイト先のリーダーの愚痴を言い合ってるんですけどなにか? お気にさわったのならすいませ~ん(笑)

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はぁ~ッ

深いため息をついてしまった…

ユカ「呆れてる場合じゃないですよ!この子たち、こうやって誰かを集中的に攻撃してこの店を辞めさせようとしてるんです!先週辞めたルミちゃんもここで虐められたからなんですよ!」

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マサキ「ちょっと待って。ユカちゃんはそれを知ってたの? それならどうして止めるなり、俺に報告するなりしなかったの?」

ユカ「それは…、彼女の方にも原因があったから…」

マサキ「…」

(コイツ、一緒になって虐めてやがったな…)

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マサキ「…わかった… とりあえず彼女たちとは少し話をしてみよう。ユカちゃんもあまり感情的にならないようにね…」

ユカ「わかりました。お願いします…」

いまいち納得していないようだが、とりあえずその場をおさめて彼女を仕事に戻した。

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マサキ「クミちゃん、今日はラストまでのシフトだったよね? 終わった後少し話があるんだけど、いいかな?」

クミの顔色が明らかに曇った…

クミ「少しならいいですけど、どんな話ですか?」

マサキ「じゃ、よろしく。内容はその時話すから。」

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営業時間も終わり、片付けも済ませた。

他の従業員も帰宅し、クミと二人きりになった。

マサキ「ごめんね、クミちゃん。もうすぐケイちゃんとメグちゃんも来るから、3人揃ってから話をしよう。」

クミ「あの二人も呼んだんですか?やっぱりリーダーとの事ですね!やっぱりあの女、オーナーにチクったんだ!」

マサキ「そんな言い方は良くないよ。冷静に話をしよう。」

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ほどなくして、他の二人も店にやって来た。

ケイ「どうかしたんですか?こんな時間に呼び出すなんて⁉」

クミ「あの女がオーナーにチクったんだよ!だから今から、説教タイム。ですよね、オーナー?」

マサキ「…、説教なんて、そんなつもりで呼んだんじゃないよ。少し話を聞きたくてね。こんな時間に呼んだんだ、なにかおごるよ。場所を変えよう。」

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戸締まりをして、こそこそと話し合う3人を引き連れて、馴染みのバーの扉を開けた。

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マスター「いらっしゃい。おや、マサキさん今日は綺麗所を3人もお連れで。」

マサキ「ははッ、そんなんじゃないよ。店のバイトの子達だよ。ちょっと落ち着いて話がしたいんだけど…」

マスター「奥のボックスシートへどうぞ。なにか飲まれます?」

マサキ「俺はいつものやつで。君たちも好きなものどうぞ。」

彼女らも思い思いにアルコールを注文する。

マスター「では、飲み物は後でお持ちしますんで、奥へどうぞ。」

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席につき、落ち着いたいいお店ですねとか、誰と来るんですか?など他愛もない話をしているとマスターが飲み物を持ってやって来た。

マスター「どうぞ。ではなにかありましたらまた呼んでください。ごゆっくりどうぞ。」

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マサキ「で、どうしたの? 何があってああいうことしたの?」

理由もなくあんなことをしてるわけではないだろう。なにか原因となる経緯があるんだろう。

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クミ「もともとは冗談半分でルミをみんなでいじってたとこから始まったんです… そしたらルミがバイト辞めちゃって… 私たちのせいかなぁ?なんて言ってたら、リーダーが全部私たち3人が悪いみたいな言い方をし始めたから…」

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マサキ「だから今度は3人でユカちゃんを標的にしたってとこかな?」

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ケイ「はい… でも、最初はそんなつもりは無かったんです。確かに少しムカついたけど、あの人なんだかんだ言ってフロアリーダーだし、あまり逆らうのもまずいかなって思ってたンだけど…」

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メグ「バイトのシフトの事でユカさんに相談したんです。抜けられない講義があるから変わって貰えないかって… そしたらルミなら融通聞かせてくれたのに…辞めさせたあなたたちの自業自得よ なんて言ってきて…」

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クミ「それから事あるごとに、ルミの事を持ち出してきて… さすがに私たちもムカついて… だったら3人でやり返そうって話し合って…」

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マサキ「そんなことがあったんだね… とりあえず、そのLINEの会話見せてくれるかな?」

ケイ「わかりました… どうぞ…」

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スマホを受け取り、過去の会話の内容まで目を通す。他愛もない、若い女の子の会話がそこにはビッシリ詰まっていた。

マサキ「色々とお互いに誤解が生まれてるみたいだね。どうだろう今度の店の定休日に君たち3人とユカちゃんの四人で顔を付き合わせてきちんと話をしてみないかい?俺も立ち合うから。」

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クミ「今のまま、バイト続けるのって精神的にもキツいし、どうせ働くなら楽しくバイトしたいんで、また仲良く出来るならその方がいいから… お願いします。」

マサキ「うん、わかった。ユカちゃんにも俺から話しとくよ。」

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マサキ「ユカちゃん、今日の仕事終わりに他の3人も一緒に食事でも行かないか?何時までもギスギスしたって精神的にも疲れるだけだし。ここのあたりで腹を割って顔を付き合わせて話し合ってみようよ。」

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そう言ってユカに提案したのはまだランチの忙しくなる前の事だった。

ユカ「私は構わないですけど… あの3人が来ますかね?…」

マサキ「そこは、俺が何とかするから。」

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ユカ「お疲れ様です。まだ他の3人は来てないんですか?」

待ち合わせのファミレスにユカがやって来た。

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マサキ「とりあえず座って。なにか頼む?」

ユカ「あっ、じゃあとりあえずコーヒーを」

コーヒーが届くまでの間、彼女に事情を説明した。

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ユカ「えっ、じゃああの3人は来ないんですか?」

マサキ「ごめんね。最初は来るって言ってたんだけど、今日になってやっぱり君と一緒に話しはしたくないって…」

ユカ「そんな… なんでそこまで… 私がそこまで言われないといけないの… ひどい…」

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そう言って、ユカはスマホを取り出しグループLINEのページを開いた。

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メグ : やっぱり面と向かって話をするのはムリだよねぇ

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クミ : まぁ、オーナーが上手くやってくれるでしょ。

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ケイ : まぁ、オーナーに任せとけばいいかぁ。私達が出ていくと余計にこじれるから。

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ユカ「また、私の居ないところでこんな会話…」

マサキ「まぁ、面と向かっては、話しづらいこともあるんだろう… また3人に言っとくから…、とりあえずよそで飲みなおそうか…」

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目の前でユカはやけ酒をあおっている。

ユカ「なんで私がこんな目に合わなきゃいけないの? あいつら絶対に許さないから!殺してやる!」

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かなり酔いがまわって来てるようだ、ろれつも回らなくなってきてる…

酔っている…?

それとも…

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マサキ「あの3人に思い知らすいい方法があるよ…」

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『オーナー! 大変です!』

3人が大慌てで店に駆け込んで来たのは、まだ開店前の準備中の事だった…

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マサキ「あれ? 今日は早出の日ではないでしょ?」

クミ「リーダーからこんなのが送られてきたんです… 私達どうしたらいいかわからなくて…」

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そこには一本の動画が映されていた…

映っていたのはユカだ… 自室だろうかソファーに座りカメラに向かって話している…

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『あなたたちのせいよ。あなた達が悪いの… 私はあなた達を絶対に許さない… 呪ってやる… 殺してやる…』

目が完全にイッてる…

一通り、恨み言を言った後、ユカはカメラの前から消えた…

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次にカメラのフレームに入ってきた彼女が手に持っていたのは一本のロープだった…

そしてロープを首に回し、目を見開き大声で笑いながら首を吊った…

笑い声が歪んで行き、そして止まった…

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マサキ「大丈夫… ホントに彼女が死んでたら、あの画像を誰が送ったって言うんだ! 生きてるよ…」

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そのアパートの周りはたくさんの人でごった返していた。

警察…

何事が起こったのかと興味本意で集まった野次馬…

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我々が彼女の部屋に駆けつけると、そこには変わり果てた彼女の姿があった…

首吊りではなく、風呂場て手首を切っての自死だった…

それぞれが警察に事情を聴かれた…

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俺も当然疑われた…

当然だろう… 生きている彼女と最後に会っていたのは俺だろうから…

だが全ての疑いは彼女の遺書によって晴らされた…

アルコールと、覚醒剤による自暴自棄になっての自殺と断定された…

首を吊ったが死にきれず、手首を切って再度自殺を謀った… そのときに画像は送ったんであろうと…

そして、その遺書に名指しで書かれていた3人はかなり厳しい取り調べを受けたようだ…

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1週間後、彼女達3人の遺体が死んだユカの部屋で発見された…

ユカと同じく、遺体からは大量のアルコールと覚醒剤の成分が検出された…

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お互いを刃物で刺し合ったのだろう…

それぞれの遺体には、20ヶ所以上の刺し傷があったそうだ。

しかも死に顔は満面の笑顔だったそうだ…

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従業員の四人が覚醒剤を使用した形跡があるという事で、俺を含め他の従業員も覚醒剤の検査をされた…

連日連夜、マスコミが押し掛け、店はとても営業できる状態ではなく、再開未定の休業状態となり従業員やアルバイトも一人、また一人と店を去って行った。

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『有名レストラン従業員、連続不審死事件の続報です。

今日未明、このレストランのオーナー夫婦の遺体が自宅で発見されました。』

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『室内に争った形跡もなく、荒らされた様子も無し、部屋からは遺書が見つかったためレストランのオーナーであり、この家の主人でもあるオバラマサキ容疑者が、妻であるチカコさんを殺害し、自らも自殺を謀ったと見て捜査を進めている模様です。』

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『なお、警察の発表によると、二人の遺体からは微量の覚醒剤の成分が検出され、自宅内にも未使用の覚醒剤に大麻、注射器などか発見されたそうで、日常的に使用もしていたと見られ、入手先や流通ルートについても現在捜査をしている段階だということです』

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マスター「今回もお見事でしたね。マサキさん。誰もオーナーとあなたが入れ替わって居たことに気付いていない。警察では身体検査なんかもされたでしょうに…よくばれませんでしたね?」

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マサキ「警察が俺から採ったと思ってる血液も、指紋も全て本物のオーナーの物だからな。」

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マスター「そうなんですか?でもどうやって…?」

マサキ「その辺りは企業秘密さ。あんたみたいに金さえ払えば協力してくれる… そんな奴は色んな場所に居るんだよ…」

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マスター「では、警察内部にも?」

マサキ「だから、企業秘密さ…」

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マスター「聴かせてくださいよ。今回の一連のお仕事の事を。」

マサキ「あんたも好きだねマスター。いいよ。絶対に口外しないと約束できるなら。」

マスター「それはもちろん!」

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マサキ「今回の件の始まりは○○興業からの依頼だよ。」

マスター「ヤクザからですか?」

マサキ「そう言うこと。あの業界も今大変なんだろ?色々と締め付けもキツくなってる様だし。」

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マサキ『依頼内容は、あのレストランの入った物件からの立ち退き。マスコミでよく取り上げられるほどの人気店だから、あまり無茶なことは出来ない。そこで俺に依頼してきたって訳だ』

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マサキ『コレは俺の勘だけど、裏で公務員様も1枚噛んでるね。都市整備課ってところかな? あの周辺一帯を整備しなおすって計画があるみたいで、あの店にも移転話を持ちかけたがオーナーが渋ったみたいだね。』

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マサキ『だから、裏でヤクザに頼み、そこから俺に廻って来たってとこかな?

そこで俺が顔をいじってまでしてオーナーを監禁して本人になりすまし、あの店に潜りこんだってとこだ。』

マスター「オーナーの奥さんによくバレなかったですね?」

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マサキ『俺もそこが一番の不安要素だった。だけどあのオーナー、ここ何ヵ月か自宅には帰って無かったようだな。店のバイトの女の子にも手を出してた様だ。夫婦仲は冷えきってた様で、入れ替わって少し優しくしたら、「昔のあなたが帰って来た」って泣いて喜んでやがッたよ。』

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マスター「最初の子はどうやって殺したんですか?」

マサキ『おいおい、人聞きの悪いこと言わないでくれよ。今回の件では俺は手を汚して無いよ。直接はね。』

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マサキ『呼びつけて、他の子達が会いたくないと言っているって精神的に追い込んだ所であいつらの他愛もない会話を見せる。精神的に墜ちた所でここに連れてくる。』

マスター「そして私がクスリ入りの酒を飲ませる。」

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マサキ『意識が朦朧としているところに、いい方法があると持ちかける。自殺を偽装してあいつらを慌てさせるって計画を実行させ、遺書を準備させたって訳だ。そしてその動画を俺の計画通りあいつら3人に送らせ、あとは余計に追い込みホントに自殺させたって訳だ。』

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マサキ『あとは、警察の度重なる取り調べと、自分達への怨み持って死んだ人間が居るって後ろめたさから3人を追い込んで、疲れはてた所でまたクスリ入りの酒と、注射で撹乱状態にして、ユカの部屋に連れていき、そこであらかじめ録音しておいたユカの恨み言を延々と聴かせる。』

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マスター「撹乱状態になった彼女達はそこにユカさんの幻覚を見て、手元にあった刃物を振り回し、結果お互いを傷つけあい、最後には亡くなったと…」

マサキ『そう言うこと。』

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マスター「でも遺書は?」

マサキ『あらかじめ、書かせておいたのさ。遺書としてではなく、ユカを追い込んだことへの反省の手紙を書けって。それをユカの親御さんのところへ俺が持って行くからって嘘をついてね。』

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マサキ『そんなものが、遺体のあった現場にあったら警察はどう思う?しかも自分達の為に自殺した女の部屋での出来事ならなおさら…』

マスター「遺書として処理される…」

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マサキ『そう言うこと、警察が勝手に遺書と判断してくれたって事さ。計算通りにね。』

マスター「では、オーナー夫婦の方は?」

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マサキ『そっちは簡単な作業さ。監禁してオーナーからとりあえず、指紋と血液を採取しておいた後でクスリ漬けにする。そしてその状況のオーナーに見せつけるのさ。』

マスター「何を?」

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マサキ『自分の妻が、自分にそっくりな男に繰り返し抱かれる姿さ。毎日繰り返しライブとVTRで見せられれば、いくら浮気者の男でも壊れるわな。』

マスター「浮気者でもやはり独占的はあるって事ですか?」

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マサキ『それを何日か繰り返した所で、解放するのさ。嫉妬とクスリ漬けの野獣を帰宅させる。何も知らない妻は、今夜も可愛がって貰えると思ってオーナーに近付く、そこでブスりって感じかな?』

マスター「そして我に帰ったオーナーは自らも命を絶ったと…」

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マサキ『最初の計画では最後は俺が消すつもりでいたんだけど、自分で始末してくれたからね。あれはラッキーだったね。なんせ、俺自身の手を汚さないで大金を手にすることが出来たんだからね。』

マスター「依頼主のヤクザさんからですか?」

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マサキ『俺は億単位の金が手に入る。依頼主も仕事と謝礼が手に入る。役所も潤滑に都市整備に取りかかれる。整備されればそこに集まる人も増えて潤う人も増える。いいことだらけだね。俺も良い行いをして気持ちがいいよ。

はい、マスター。コレは今回店を利用させてもらったお礼だよ。』

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マスター「えっ、こんなに!」

マサキ『三千万円程ある。公務員様が反社会的組織を使ってまで取りかかる案件は、溢れだす甘い密も桁違いの量だって事だね。

まぁ、またなんかあったときには頼むよ。』

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マスター「それにしても、なんか怖いですね。たかだかLINEのやり取りで、確執が産まれてそれが元で人が命を亡くすなんて…」

マサキ『たかだかLINEだからだよ…』

マスター「えっ?」

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マサキ『文章や文字ってのは、それだけだと怖いんだよ。顔が見れないからそれを書いた人間の真意が伝わらない。声が聴こえないから、同じ言葉でもそれに悪意がこもっているのか、冗談で言っているのかが読み手には伝わらない。だから同じ言葉でも、受け手のそのときの心情によっては励ましになったり、誹謗中傷になったりもする。

だから、俺はこういうのが嫌いなんだよ。』

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マスター「だからマサキさんはいつもこうやって店に足を運んでくださるんですね。』

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マサキ『じぃさんにさ…』

マスター「えっ?」

マサキ『子供の頃、世話になったじいさんに口酸っぱく言われたんだよ。』

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マサキ『“ありがとう”っていう感謝の気持ちと、“ごめんなさい”っていう謝罪の気持ちは、相手に伝わらなければ意味が無いって…

“いつもそう思ってる”とか“言ったつもり”では1円の価値もない。

伝えようって思う相手に受け取って貰って初めて意味のある言葉に変わるってね。』

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マスター「素晴らしい方なんですね…」

マサキ『まさか…、 俺みたいな男を作り上げたじいさんが素晴らしいか?

まぁ、その言葉があるからこうやっていちいち顔を見て、話をするんだけどね。』

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マサキ『今日は喋り過ぎたかな?大金が入って少し気が弛んだみたいだ…。忘れてくれ…。

そろそろ帰るとするか。じゃあマスターまた…』

マスター「ありがとうございました。お気をつけてお帰りください。またのご来店を心待ちにしております。」

Concrete
コメント怖い
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烏賊サマ師さま
はじめまして。大変面白く(恐ろしく)拝読させて頂きました。
おっしゃる通りで、言葉は相手の受け取り方しだいで形が変わります。意図しないように受け取られることも多々ありますよね。相手に届いてしまった言葉は後で撤回しようと、訂正しようと、弁解しようと戻りません。私は臆病なので考えて発言しているつもりですが、それでも誤解されることは頻繁にあります。こういう顔の見えない場所なら尚更ですよね。

長文失礼しました。
これからも恐ろしく面白い話を期待しております。

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