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中編3
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真っ暗

その日はバイトもなく夕方、一人暮らしをしているアパートへ帰っていたんです。

いつも通る公園を通りかかると小学三年生くらいの女の子が一人いました。

もう少しで日も落ちてしまうだろうという時間です。もともと子ども好きってのもあったし、時間的にもあまりよくないだろうと思い

「ねぇ、もお暗くなるよ?帰らなくていいの?」

と声をかけたんです。

周りから見たら不審者のように見えたかもしれません。

『お兄ちゃん、遊んでくれない?』

と俺の言葉は無視して返してきました。

「時間も遅いし、今日は無理だなぁ。また会えたら遊ぼうか。お母さん、お父さんが心配するから、帰りなね?」

『は~い。』

そう言って女の子は公園を出ていきました。

女の子を見送ってから俺は帰りました。

そんな出来事があったことなんて忘れてしまった1ヶ月後頃のこと

バイトから帰ってきて部屋でのんびりとしていた0:00頃

ピンポ~ン…ピンポ~ン…ピンポ~ン

とチャイムがなりました。

誰だろうとインターホンの画面を見ると真っ暗なんです。

おかしいなぁ~、外の廊下は一晩中電気ついてるのに…電球切れてるのかなぁ?画面の故障?

ただ、時間が時間だったもんで無視することにしました。

近所のやつが酔って間違えたんだろう。

その程度に考えました。幸いチャイムも数回で止みました。

朝、インターホンを確認してみるとちゃんと写っていたため

やっぱり廊下が暗かっただけか、なんて思っていました。

次の日も次の日もこれといったことがなく一週間が経った日

また同じ0:00に

ピンポ~ン…ピンポ~ン…ピンポ~ン…

チャイムが鳴り、インターホンを確認してみるとまた真っ暗なんです。

またかよ…なんて思ってまた無視しました。

また次の週も同じことがあったので、いい加減腹が立ち文句言ってやろうと玄関を開けました。

すると、誰もいません。

くそっ、もう部屋に入ったのか!

また次の週も同じことがあり、玄関を開けましたがやっぱり誰もいません。

こうなったら…と今思えばどうしてこんな行動にまで出たのか正直わかりませんが犯人見つけてやる…と玄関のドアが写るように外にビデオカメラを取り付けました。もちろん分かりにくいようにカモフラージュなんかもしました。

また、同じ時間にチャイムが鳴りました。

ビデオカメラもあるし…とまた玄関を開けたが誰もいません。

よし…とカメラを回収し部屋に戻って再生しようとしたときに一つ気がつくことがありました

異常がないはずのインターホンの画面は真っ暗だったのに、ドアを開けた先の廊下は電気がついていたんです。

どういうことだ?

そう思いながら恐る恐るカメラを再生すると、インターホンのカメラを公園にいた女の子が眼をギリギリまで近づけて覗いてるんです。

どうやってカメラのついた壁にくっついてるのかわかりませんが、カメラを覗き込みながらチャイムを押してるんです。

うわぁ…

あまりの衝撃にカメラを落としてしまいましたが、続きをちゃんと見ようと見ていると俺がドアに近づいてきたのを察してか女の子が壁から離れ、ドアの開く反対側に隠れたんです。

うちのドアは左側に蝶番があるため、中から開ける俺には半時計回りに開きます。

つまり、女の子はドアの開く左側にドアを盾に隠れたんです。

そして、カメラを回収する俺が写ったとこで映像は終わりました。

俺は気味が悪く怖かったため映像をすぐに消去し、部屋を引き払いました。

真っ暗なインターホンの画面を見たとき、インターホンのカメラを通して女の子と眼があっていたのかと考えると背筋が震えました。

あの女の子は人間なのか、他のものなのかはわかりませんが、真っ暗な画面のインターホンカメラの先はもしかすると誰かがこちらを覗こうと眼を近づけているのかもしれません。

お気をつけください。

Concrete
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