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ピンポーン♪
残暑が厳しい夏の日の夕暮れ時、俺の部屋のチャイムがなった…
『誰~?」
外出から帰り、シャワーを浴びていた俺はユニットバスの扉を開け、玄関に向かって声をかけた…
「お~い、俺だよ、亮太だよ!近くに遊びに来たから、寄ってみた。」
『……………』
亮太は、俺の地元の友人だ。高校を卒業してから1度も会っていなかった…
「いやぁ、年賀状の住所を頼りに来たんだけど、たどり着けて良かったよ~」
『まぁ、今玄関開けるからちょっと待ってよ。』
そう言って玄関を開ける…
「おッ! なに? 風呂入ってたの?」
『おぉ、今帰ったとこでね! 』
「そっかぁ、悪いね。前もって連絡もしないで、急に来たりして。」
『いいよ。気にすんなって。会いに来てくれて嬉しいよ』
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そこから、俺たちは長い時間話し込んだ。
昔の思い出話し…
卒業してからのお互いの話し…
時間を忘れて話し込んだ…
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どれくらい時間がたったんだろう…
夕暮れの茜色の空が、夜の星空に変わり、その空も少し明るくなり始めていた…
『悪い、亮太… 俺、今日はバイトが入ってンだわ…
もうそろそろ出掛けないと…』
「そっかぁ、こっちこそワリィな… 急に来て、長々と話し込んじゃって…」
『イヤ…、楽しかったよ。なんか高校時代に帰った気がして。』
「そっかぁ、そう言って貰えると嬉しいよ。」
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『……………』
「……………」
『……………』
「……あのな、俺… この間さ…
………死んじゃったンだわ…
………車で… 、 事故っちゃって…」
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『あぁ、聞いたよ… 俺のとこにも連絡があったから… 一緒に乗ってた、おふくろさん… 大丈夫だったんだろ…?』
「うん… なんかおふくろ… 責任感じててさ…
……なんて言うか…… 見てらんないんだよ…
運転してたの俺だし、悪いのは俺なのになぁ…」
『初の盆だろ… おふくろさんとこ、行かなくていいのか?』
「あぁ、行かないとな…」
『じゃあ、もう、帰りなよ…』
「そうだな… ありがとうな… 最後に話が出来て良かったよ…」
『また、地元帰ったら、オマエに線香供えに行ってやるよ(笑)』
「あぁ、待ってる… じゃあな… ありがとう…」
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そう言って、亮太はまた玄関から出ていった…
『じゃあな、亮太…』
作者烏賊サマ師
最後までお付き合い頂いた方、ありがとうございます。
お盆の思い出です。
中・高と同じ学校に通い、同じ部活で精進しあった大切な仲間でした。
この後、涙が止まらなくなってバイトは休みました。