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これは私が小学四年生の頃の話です。
当時夏休みの自由研究で父が出張先の北海道から持ってきた「まりも」を育て(?)ていた私は、毎日まりもが大きくなるのを観察していました。
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まりもを育てるのは意外にも難しく、直射日光は避け、かつ光合成はさせないといけないという小学生にしては難易度が高いものでした。
まりもを育て始めて思ったのは、まりもは気持ちが悪いということでした。なぜ丸いのか、なぜ大きくなるのか、当時の私は疑問で一杯でした。
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ある日私はまりもを増やしたいと思いわざと手でちぎってみました。
すると2、3日でちぎれたまりもは丸くなり、2つともまりもになりました。
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またある日、私はまりもがどこまで温度変化に耐えられるのか実験したくなり、まりもの一つをお湯に入れてみました。
すると薄緑に変色しまりもはただのコケが散らばったかのようになってしまいました。
ふむ、ふむ。温度変化には耐性が無い。などと小学生ながらに観察日記をつけていた気がします。
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新学期となり、私は自由研究を発表しました。どうだ!すごいだろと!と言わんばかりに自画自賛で発表したのを覚えています。
当然クラスメートもまりもの存在自体に驚いたり、研究内容に興味津々でした。その時、ある女の子がこんなことを私に投げかけてきました。
「まりもがかわいそう。ちぎられて、ゆでられて。生きているのに。もしこれが貴方の家族の誰かと置き換えてみたら、こんなひどいことはできないよ。」と。
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小学生は残酷です。
その発想自体残酷ですが、純粋な小学生のクラスメート達は完全にその言葉に感化されたようで、私のあだ名は「人殺し」になってしまいました。
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こんなにつらいことは小学生の私にとってありませんでした。次の日からいじめの対象になってしまったのも、すべてその女の子の一言が原因です。まりもの気持ちを考えることをしなかった罰なのでしょうか。今私は高らかに叫びたい・・・
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まりもとかただのコケだし!
まりもの気持ち-完-
作者ジンジン